亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

イベント通過でNY金は日柄整理継続 

2020年09月17日 23時16分17秒 | 金市場
日本時間の本日早朝に発表されたFOMCの結果は、「フォワードガイダンスの導入をした」とされる23年末までのゼロ金利策の維持を確約したものの、結局、株式市場を中心に織り込み済みと判断され材料にならなかった。あるいは、織り込み済みゆえに、イベント通過で材料出尽くしということになった。ここに「肩透かし」になるかもとしたが、結果的にはそういうことになった。ただし、想定の範囲内ということになる。

昨日は、16日発表の8月の米小売売上高に注目としたが、NY金が反応したのはFOMCの声明文や参加者の経済見通し、さらにパウエル議長の記者会見よりも、こちらの方だった。前月比で5月が18.2%増、6月8.4%増、そして7月が1.2%増と減速傾向にあることが注目され、市場予想は1.0%増だった。結果は0.6%増にとどまった。さらに7月分が1.2%から0.9%増に下方修正された。さらに自動車・ガソリン・建設資材・食品サービスを除くコア小売売上高は0.1%減と、市場予想の0.5%増に反してマイナスに転じた。結局、連邦政府による週間ベースで600ドルの雇用保険上乗せ給付が7月末に失効したことが影響したと見られた。いずれにしても、このまま放置すると米国景気の基盤ともいえる個人消費に影響を与えるとなると、景気回復の先行きは一気に怪しくなる。何らかの追加策を早急に打つ必要があるが、議会は選挙を間近に控えることもあり、期待はできない。

NY金は昨夜この時点で1983.80ドルまで買われたのは、こうした政治リスクを予見してのことだった。しかし、現実のものになっていない予見される材料で、さらなる上値追いの勢いは足元の金市場にはない。そして、本日はパウエル議長の記者会見の途中から失速状態となった株式市場ともども、NY金も売られているが本日の終値がどの程度に水準に踏みとどまるか見ものとなる。日柄整理が続くことになった。

ちなみに本日発表になった米国の9月12日までの1週間の新規失業保険申請件数は、86万件となった。前週からは3万3000件の減少となるが、高水準が続いていることを表す。明日はミシガン大学の消費者信頼感指数だが、低下が予想される。今後発表されるデータがひとつひとつが折り重なって相場ベクトルを形成すると思う。問題は、それがどちらを向くかということだが。

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