亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金地金不足、現物需要の引きの強さ

2020年04月06日 21時41分17秒 | 金市場
まず金市場の話から。米政府機関CFTC(商品先物取引委員会)が週末に発表したデータ(3月31日時点)では、NY金先物取引のファンドの買い建て(ロング)は大きく減少していた。もっとも、傾向的には、3月入り以降の取組と呼ばれるポジション減り方が続いており、1カ月で32%減少し、昨年6月4日以来となる50万枚(1枚=100オンス)割れとなった。その中で買い建て(ロング)も重量換算で直近ピークの2月18日から3月31日まで6週間で375トン、30%の減少となっている。売り建て(ショート)を含むネットでも295トン、27%の減少に(いずれもオプション取引を除く)。

株式市場が暴落状態となり、債券市場も乱高下する中でNY金先物市場ではファンドの取引縮小が進んだことを表す。先週3月31日にNY金がこれといったニュースのない中で46.60ドルの大幅安となった際に、4月1日にここで「月末、四半期末で先物市場でのファンドのポジション整理が下げにつながったと思われる」とし、「株式市場はじめとする暴落相場の中で、傷んだファンドも多いとみられ、いったん手仕舞いということだろう。売りが一巡すると収まる類の動きと思う」と書いた。図らずも、それがデータで示され3月31日までの1週間でもロングは100トン近く減っていた。

すでにここで取り上げたが、3月中旬にNY先物価格とロンドン現物価格に通常では考えられない価格差が生まれ、瞬間的には100ドル近く開くという事態が発生した。新型コロナ感染拡大阻止に向けた世界同時多発的な経済活動の休止は、各方面で想定外を引き起こしているが、金市場にもそれが及んでのことだった。イタリア国境に近いスイスの精錬3社が操業を一時見合わせたことに加え、一般航空便の激減が重なり、地金の流れに支障をきたし、市場間取引を行えなくなったのが背景だった。

地金不足の要因は他にもあって、精錬所の操業中断など物理的な供給障害に加え、現物需要の高まりを示すデータが各方面でみられていることもある。これも取り上げたが、欧米で現物需要がETFを含め高まっていることがある。ETFを見ても月28日から3月27日の1カ月間で、全体で132トン(小数点以下切り捨て)の残高増となっている。目立つのは欧州で77トンで北米の44トンを大きく上回る。さらに今回驚いたのは、NYコメックスの4月物受け渡しで24489枚(1枚=100オンス)の現引きがみられたこと。重量換算で約76トンに上る。“金現物は要らない、金価格の変動が欲しい”先物市場での大量現引きは異例のこと。新型コロナ感染急拡大と経済の急収縮による社会不安と金融市場の混乱の高まり中で、水面下での金現物の引きの強さが目立っている。

いよいよ日本も主要都市を対象に緊急事態宣言を出すと報じられている。リーダーの決断でスパッと決定した方がよろしいのではないかと思うが、包括的な判断というのは各方面プロコンあって難しいのだろう。それゆえ、ここまで検討を重ねてきたということか。この期に及んで明日、専門家委員会に諮問したうえで判断と報じられていた。諮問はセレモニーというわけではないのは言うまでもないのだろう。専門家委員会には的確な判断をしてもらいましょう。
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