ミセスローゼンの富士日記

チェリストのナサニエル・ローゼンと日本に住んで八年。音楽仲間と富士山麓に暮し、俳都松山へ通う日々。

木の影の中にも霜の光かな

2019-01-09 11:06:08 | 日記


上海の弟子のスカイプレッスンが復活したので、久しぶりに横で聞いた。スケールとエチュードに続く数曲の中でも、フォーレのエレジー(悲歌)が興味深かった。

君の師匠が死んだ際のメモリアルコンサートのように弾け。心を込めて弾くとは、悲しみに身を任せる事ではない。例えばこの最大の山場のこの一音、大きな音で弾きたくなる衝動に身を任せてはならない。出来うる限り長く弾く事、出来うる限り最高のビブラートと完璧なストレートボウで弾く事に集中するのだ。悲しみの感情は何の助けにもならない。具体的なイメージを思い描け。偉大なマスターが灰になり、それを胸に抱いて歩む君。遺灰の質感を思い描け。道に落ちた君の影を思い描け。その影の中にある光を思い描け。楽しいパートでは、先生と談笑した思い出を想起せよ。先生がどんなに寛容だったか。どんな暖かい言葉で君を励ましたか。具体的なイメージはいつも助けになる。最大の場面では冷静にテクニックに集中するのだ。



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