思いつくまま

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北野武著『余生』・『孤独』・『時効』(ソフトバンク文庫)を読む。

2008年06月29日 21時04分02秒 | 読書
自分は、実はビートたけしフリークでもあった。
タケちゃんの書いた本は特殊なものを除いてはほとんど読んできた。一番好きなのは『漫才病棟』だった。
自分が学生時代に、ツービートととして出てきた時は、「赤信号みんなで渡れば怖くない」とか田舎もんや老人を虐待するネタとか「コマネチ」とかをやってウケていたが、その頭と口の回転の速さに、こいつはすごいなぁ、頭の構造が違うなぁ、といつも思っていた。
もちろん「オールナイトニッポン」は初期の頃から聴いて、一発屋だった城みちるとかをネタにしていたりして、ものすごく面白かった。 TVではやっぱり「オレたちひょうきん族」が最高だった。

5月下旬に本屋で山のように『余生』、『孤独』、『時効』の3冊がいっぺんに文庫本になっているのを見て、飛びついて買って読んだ。
この3冊ともハードカバーでロッキング・オンから出ていたのは承知していた(もちろん立ち読みもした)が、いつかは文庫になるだろう、その時に読んでも十分面白いだろうと思って待っていたら、ようやく文庫になった。

『余生』は、タケちゃんが1994年にオートバイで死の直前まで行った事故を起こした後、北野武の本名で過去を振り返る形で2001年に書かれたものだ。タケちゃんが死・愛・笑い・テレビ・映画についてインタビュアーに語ったものだ。
フライデー襲撃事件の時の彼女(といっても女子大生だった。)だけが唯一の恋愛、女性を母親のイメージで捕らえた甘ったれた付き合いではなくて、五分五分の対等に付き合える関係だった、ということぐらいが自分にとっては目新しい内容だった。
漫才ブームに乗っかって TV進出、そして素人感覚で作ったという映画で国際映画祭での賞を数々受賞 など、自分から見れば大成功の人生のように思えるが、いつも第三者的な視線で醒めて見ているタケちゃんがそこにはいる、 といった感じの内容だった。
「TVタックル」を一緒にやっている阿川佐和子さんの「空調の仲」という解説も非常に良かった。
あんまり感想にはなっていないけど、すっ~と読めて面白かった。

『孤独』は、『余生』の1年後に出た本だ。
タケちゃんが家族・酒・暴力・野球・新宿・宗教についてインタビュアーに語ったものだ。
オヤジさんは怖かったようだし、サキさんは教育ママだった。タケちゃんが息子について語ったのも非常に珍しかった。
酒については、順々に進化しているのが面白い。最後はレミー・マルタンか。
暴力はよくわからない。野球はもっと上手だったのかと思っていたが、ただ単に好きだったんだねぇ。
映画のことはさっぱりわからない。一応タケちゃんが出演したり、監督した映画は一通り見たけど、やはり自分にはその良さがよくわからなかった。だから、映画監督の催洋一監督のこの本の解説も何が何だかよくわからなかった。
外国ではしっかり評価されているのにねぇ。
新宿について、タケちゃんの学生時代と今とではやはり違うので、なんとも言えないなぁ。
宗教については、なかなか良いとこ突いているんじゃぁないか。哲学者のようであり、宇宙学者のようでもあり、すべては重力で地球に引っ張られているところから始まるのか。
ともかく、小さい頃に親から受けた教育というか躾というものがトラウマになって今のタケちゃんがあるという感じだった。

『時効』は、『孤独』の1年後に出た本だ。
タケちゃんがラジオ・お金・車・ゴルフ・アメリカ・受験・コンピューター・老いについてインタビュアーに語ったものだ。
解説の爆笑問題・太田光も書いているが、タケちゃんの悪事に時効などというものがあるのか
ラジオ、というより「ビートたけしのオールナイトニッポン」、ツービートからビートたけし1人になって、より一層タケちゃん本領発揮といった感じ、「村田だという村田英雄やガッツ石松などをいじりまくっていたなぁ。自分のラジオに対する思いとタケちゃんの思いはかなり違っていた。
アメリカについては、拉致問題も含めてスカッと切ってくれた感じ。
金でも老いでも語っているが、一旦上に上がると、その後落ち目になってもダメになったって思われたくないから、祝儀を出し続けたり、タップ踏み続けたりして大変だネェ。

ともかく3冊次々に読んでみて、とりあえずお腹一杯になったなぁって感じだった。


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2 コメント

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ANN聴いていました(^^) (あんこーる)
2008-06-14 11:23:29
まっちゃさん、しばらくです。
ビートたけしさん・・・私も【ツービート】時代からのファンです。
深夜番組も、良く聴いていました。ハガキ投稿者の名前を「○○県の××」と呼び捨てで紹介するのが独特のステータスでしたね(^^)

いろんな肩書をお持ちですが、最近では「県知事の師匠」も加わりました(笑)。【東スポ】(中京スポ)で、月に1回ぐらいのペースで展開される世相メッタ斬りも面白いです。
破天荒なイメージが強いですが、実は、使用した公共トイレが汚れていると、必ず自分で清掃してしまう習慣があるそうです。

御本の中では、ドラマにもなった『浅草キッド』が特に好きです。今回の3部作、私もひとつぐらいは拝読してみましょうか。

コメントありがとうございます。 (まっちゃ)
2008-06-14 21:31:06
>あんこーる様
ビートたけしのオールナイトニッポン、面白かったですね。
『浅草キッド』も確かに読んではいますが、あまり内容は覚えていません。
いずれにしても、これからも北野武には、もっと本を出して欲しいと思っています。