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川崎浮世絵ギャラリー「月岡芳年の月百姿展」(JR川崎駅直結) 2020.9.8

2020-09-15 13:32:05 | Weblog

(写真は、「月百姿」展のポスター)


六本木・森美術館、上野・東京都美術館、神奈川県立歴史博物館に続いて、今回は”美術館で浮世絵鑑賞”の4回目で、「月岡芳年(つきおか よしとし)  の 月百姿(つきひゃくし)」です。

 

月岡芳年(つきおか よしとし) は、幕末から明治初期を代表する浮世絵師です。

おびただしい血が流れる残酷な場面を描いた芳年の「血みどろ絵」は、谷崎潤一郎、江戸川乱歩、三島由紀夫などの文学者たちにさまざまな影響を与えました。

しかし、芳年は、血みどろ絵だけに止まらず、緊迫感あふれる構図で描いた歴史画や妖怪画、女性たちの心の動きに迫った美人画など、様々な領域の作品を描いています。

この展覧会では、芳年の幅広い領域の中から、最晩年の代表作である、月にまつわる物語を題材とした「月百姿」(つき ひゃくし)を取り上げています。

「月百姿」は、月をテーマとしていますが、戦国武将や美女などの歴史上の人物をはじめ、妖怪や幽霊までもが登場します。

また、能や謡曲から得た題材も多く描かれるなど、変化に富む作品です。

会場:川崎浮世絵ギャラリー:月岡芳年の月百姿:会期:前期が9月13日まで、後期が9月19日~10月18日、開館時間11:00~18:30、入場料 500円、 月曜休館)

 

川崎浮世絵ギャラリーは、JR川崎駅の北口から徒歩2分の便利な場所に昨年オープンした川崎駅前の美術館です。 

JR川崎駅の北口改札を出て右へ進み、東口への階段を下りる途中に、案内矢印(下の写真の赤線矢印)があるので、それに従って、「川崎駅前タワーリバーク」ビルの中に入って行きます。

上の写真は、川崎浮世絵ギャラリーへの案内矢印ですが、描かれているのは、広重の東海道五十三次の川崎宿です。

(上の浮世絵の説明は、「バスで行く東海道・日本橋~神奈川」の中の川崎宿を見てね。)

このビルの3階の「アートガーデンかわさき」の中にあるギャラリーです。

チケット売り場でチケットを買って、廊下の壁面に飾られた浮世絵を見ながら奥の方へ進むと、「川崎浮世絵ギャラリー」の入口があります。

「川崎浮世絵ギャラリー」は、ビルの1室のコンパクトなギャラリーです。

壁面展示を中心に、50点余りの作品が展示されています。

(月百姿:源氏夕顔巻:展覧会のパンフレットから)

紫式部の源氏物語の中の夕顔を題材にしています。

(月百姿:大物海上月:展覧会のパンフレットから)

平家物語や吾妻鏡などをベースにした能楽の「船弁慶」(ふなべんけい)を描いたものです。

登場人物は、源義経、弁慶、静御前、平知盛などで、華やかで劇的な構成です。

(月百姿:はかなしや 波の下にも人ぬべし つきの都の 人や見るとて 有子:展覧会のパンフレットから)

「源平盛衰記」の「有子入水事」を描いています。

徳大寺実定が、厳島神社に参籠した際に目をかけられた内侍有子でしたが、所詮は叶わぬ恋と、最期は住吉津の沖で海に身を投げました。

(月百姿:吼噦(こんかい):展覧会のパンフレットから)

狂言の演目の「釣狐(つりぎつね)」を描いています。

表題の「吼噦(こんかい)」は「釣狐」のことです。

猟師に一族をみな釣り取られた老狐が、猟師の伯父の白蔵主(はくぞうす)という僧に化け、猟師のもとへ説教しに行きます。

白蔵主は、狐は本来は神であること、退治された狐の執心(しゅうしん)は、人間を取り殺す殺生石(せっしょうせき)になること、等を語って猟師を脅かします。

この恐ろしい話を聞いて、猟師は、狐釣りを止めると誓います。

説教が上手くいったと喜んだ老狐は、帰路、小歌を歌いながら跳び回るうちに、罠を見つけ、餌に引き寄せられます。

餌に我慢できなくなった老狐は、「仲間を釣られた敵討だ。身軽になって食べてやろう」と理屈をつけて、僧への変身を解いてしまいます。

そのため、老狐は罠にかかりますが、見回りに来た猟師と渡り合ううちに、罠を外して、逃げていきます。

(月百姿:賊巣の月 小碓尊(おうすのみこと):特設ショップで購入した絵葉書から)

 小碓尊は、のちの日本武尊(やまとたけるのみこと)のことです。

(月百姿:嫦娥(じょうが):特設ショップで購入した絵葉書から)

中国の神話では、后羿(こうげい)という弓の名手が活躍しますが、后羿は、最後は、上に描かれている妻の嫦娥に裏切られ、弟子の逢蒙(ほうもう)によって殺されます。

(月百姿:朝野川晴雪月 孝女ちか子:特設ショップで購入した絵葉書から)

浅野川(金沢市)は、犀川を男川と喩えられるのに対して、女川と称されています。

幕末、加賀藩の湖の干拓事業を請け負った大富豪の銭屋五兵衛は、加賀藩から湖に毒を流したとの疑いをかけられ牢に繋がれました。

五兵衛の長男の喜太郎も連座で囚われ、喜太郎の娘ちかは、上の絵の様に、雪の浅野川に飛び込んで、父の喜太郎の赦免を願いました。

(銭屋五兵衛については、「バスで行く奥の細道:金沢」を見てね。)                                                                   

(月百姿:卒塔婆の月:特設ショップで購入した絵葉書から)

小野小町を主人公とする「小町物」の代表的作で、能楽の金剛流では、卒塔婆小町(そとばこまち)という題目です。

また、月百姿以外の上の絵の様な月岡芳年作品も一部展示されています。

(風俗三十二相:天ぷら:浮世絵展のパンフレットから) 

(風俗三十二相・天ぷらについては、六本木・森美術館「おいしい浮世絵展 」を見てね。)             

                                                         

展覧会を見終わって、美術館の下の階の熊本名産の馬刺しの店で、焼酎で一杯やるのを楽しみにしていたのですが、コロナのため長期休業の貼紙が・・・

残念!

     

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6 コメント

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浮世絵 (hide-san)
2020-09-16 11:12:01
このところ浮世絵づくしですね。

浮世絵三昧 (ウォーク更家)
2020-09-16 12:57:38
ええ、このところ、事前予約制度でコロナの3密を避けながら冷房のよく効いた美術館で浮世絵鑑賞三昧の日々を過ごす予定です。
幕末・明治の浮世絵師  (もののはじめのiina)
2020-09-20 09:08:57
> おびただしい血が流れる残酷な場面を描いた芳年の「血みどろ絵」
幕末から明治初期の浮世絵師・月岡芳年(つきおか よしとし) をはじめて知りましたが、更家さんは浮世絵に憧憬が大層深いですね。^^

血みどろの絵は、遠慮したい気分ですが、文芸や芸術家には刺激的なのでしょうね。


> ワンパターンのストーリーなのに ・・・ ドキドキしながら見入っていました。
いま全60本を見て、キンブルは余程惚れ薬をふりまいて女性を味方にし、善良なる人を無罪と信じ込ませる天才だと思いました。(^_^;)



幕末明治の血みどろ浮世絵 (ウォーク更家)
2020-09-20 09:28:35
私は、月岡芳年の血みどろの絵は好みではありません。

確かに、三島由紀夫の小説では、芳年の血みどろの絵を想像させる場面が出てきますが、文章なのでおどろおどろしい感じはしませんでした。

小説では三島由紀夫の才能を感じましたが、月岡芳年の絵では才能というよりも不快感が強く、私は血みどろの絵は拒否反応です。
多彩な月岡芳年 (tadaox)
2020-09-20 10:23:12
(ウォーク更家)様、いま『日曜美術館』を横目に見ながらコメント書いています。
月岡芳年という人は明治の浮世絵師なんですね。
幽霊の絵ばかり印象にありましたが、更家さんの紹介で「月百姿」など多彩な絵師なのだと知りました。

そのうえなんとなんと、ニンプの逆さづり。教育テレビもやるもんだなあ。(団鬼六顔負け?)
多彩というより、多面的な月岡芳年に興味津々。
谷崎潤一郎、江戸川乱歩、三島由紀夫など小説家はこのあたりに注目したのかもしれませんね。

月岡芳年の世界は多彩 (ウォーク更家)
2020-09-20 17:25:28
そうですか、日曜美術館でもやっていましたか。

そう、幽霊や妖怪の絵もかなりありますね。

ええ、月百姿など、月岡芳年ワールドは、私が知る範囲では、最も多彩で広範囲の題材の浮世絵師です。

ただ、団鬼六顔負けのニンプの逆さづり等は、グロテスクで悪趣味な世界ですが、谷崎潤一郎、江戸川乱歩、三島由紀夫などの小説家を惹きつける何か高度なものがあるのでしょうね。

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