ウォーク更家の散歩(東海道・中山道など五街道踏破、首都圏散策)

熊野古道を歩く (中辺路から高野山の宿坊へ)2014.5.24


(写真は、高野山の宿坊の精進料理)

以前からずっと興味を持っていた熊野古道を、
ツアーに参加し、中辺路コースのさわりの部分
だけを歩いて来ました。

熊野古道は、熊野三山へと通じる参詣道の総称で、
「蟻の熊野詣」と例えられるほど、古代から多くの
人々が切れ目なく熊野に参詣したと伝えられています。
熊野古道には幾つかのルートがありますが、
後鳥羽院、藤原定家、和泉式部などの多くの
上皇・貴族も歩いたという「中辺路(なか
へち)」コースが一番人気らしいです。
”熊野古道歩きツアー”は、その中辺路コースの
中でも、更に魅力が圧縮された部分のみを歩きます。
ガイドさんの説明によると、このコースは、地道
あり、石畳の道あり、牛馬童子ありと、熊野古道
の色々な雰囲気、魅力が全て含まれる「おいしい
とこ取り」の最短コースとのことです。

ツアーは、道の駅中辺路をスタートして、牛馬
童子像、そして近露(ちかつゆ)の郷へと至る
熊野古道らしい雰囲気の山道のコースを歩き
ます。


中辺路の牛馬童子から近露王子までは、起伏が
あって狭い山道です。
でも、中辺路コースは、道標が整備されている
ため、歩きやすく道に迷うこともありません。













「熊野は死者の国です。
 人が死ぬと、必ず枕元にたてられた樒(しきみ)
の1本花をもって、熊野詣をすると云います。
 だからこそ、生きている人が熊野詣をすると、
 途中でよく死んだ親族や知り人に会うのです。
 熊野の黒い森の径(みち)が、死出の山路と
 交叉しているあたりでね。」
(新潮文庫「吉原御免状」 隆慶一郎 著)
(注)樒(しきみ)は、昔、土葬にしていた頃、
   遺体を埋めた墓地を動物が掘って荒らした
   ため、これを防ぐために、有毒植物である
   「樒」を供えることで動物を避ける役目を
   した。
現在でも関西の葬儀などでは用いられる。

(一里塚跡)
更に進むと、箸折峠(はしおりとうげ)に差し
掛かります。

花山(かざん)法皇が、食事の際に、カヤを
折って、箸にしたので箸折峠の名前がついた
そうです。
この箸折峠には、熊野古道のシンボル的存在に
なっている、写真の牛馬童子(ぎゅうばどうじ)
の石像があります。

写真の左側が牛馬童子像、隣が役行者像です。

写真の奥が地蔵・不動像と、鎌倉時代の宝篋印塔
(ほうきょういんとう)です。
何故か、明治時代に作られたという牛馬童子の方
が有名になってしまい、現在では熊野古道の一番
人気だそうです。
写真の様に、花山法皇が、牛と馬の2頭に
またがっていますが、左端の人の足と比べると
分かる様に、意外と小さな石像です。
隣の「役ノ行者像」も童子に合わせて可愛い顔を
しています。
牛馬童子のある場所は、花山法皇が御経を埋めた
所と伝えられます。
牛馬童子像から「近露王子」までは、下り坂が
延々と続きます。





ようやく近露の集落が見えて来ました。

「近露」の地名の由来が面白いです。
花山法皇が、カヤを折って、食事の箸にした際に、
カヤの箸から赤い露が伝わるのを見て、「これは
血か露か」と尋ねられたので、この地が「近
(ちか)露(つゆ)」という地名になったのだ
そうです。
この辺りから先は歩きにくい石畳道です。
石畳道を下り切って、日置川に架かる北野橋を
渡ると、近露王子碑があります。

熊野古道歩きツアーバスは、近露王子から、今晩
の宿である高野山の宿坊を目指します。

写真の様に険しい山中を、ツアーバスは、高野山
の宿坊へ向かいます。
ガイドさんの案内だと、下の写真の赤い線が、
山の稜線に沿っている熊野古道で、赤丸印の
部分に小さく見える集落に、タレントのイーデス
ハンソンさんが自給自足の生活をして住んで
いるそうです!


高野山に到着しました。
高野山には宿坊が53もあるそうです。

今回お世話になったのは、立派な門構えの西門院(さいもんいん)です。







ここは高野山街の中心エリアにある宿坊で、周辺
には土産屋や食堂があります。

宿坊の部屋は写真の様に純和風で質素です。

狭いながらも、テレビ、浴衣、タオル、歯ブラシ、
お茶セットなど必要最小限なものは揃っています。

食事を運んだり、蒲団を敷いて下さる方が修行中
のお坊さんという以外、普通の旅館とあまり
変わりません。
ただ、襖で仕切っただけの狭い部屋なので、周り
の音が少々気になります。




また、トイレは共同で1階にしかないので、2階
に泊まった私はやや不便でした。
お風呂も、定員5人の狭さで・・・順番待ちの
状態に。

そういう事を気にしなければ、ちょっと敷居が
高く思われがちな宿坊ですが、宅配便も受け付け
てくれるし、意外と気軽に泊まれそうです。

本堂は撮影禁止だったので、写真は宿坊スペースのみです。


先ず、大広間でツアー全員揃って、精進料理の
夕食です。

宿坊では、お酒の注文をとっていました。
私は、ビールと日本酒をお願いしました・・・

精進料理ですので、肉や魚はありませんが、
揚げ物が入るので意外とボリューム感が
あって、お腹いっぱいになりました。

写真の様に、天ぷら(かぼちゃ、生姜、海苔)に、
空海(弘法大師)がこの地に伝えたという
ごま豆腐、和え物、ダシの効いた吸い物、それに、
高野山と言えばやはり高野豆腐です。

宿のスタッフの若いお坊さんが、無駄のない動き
で、きびきびと動き回って、お茶を出したり、
お代わりのご飯を運んだりしている姿は、礼儀
正しく、見ていて実に気持ちよい風景でした。


添乗員さんの話だと、標高900メートルのこの
辺りは、平地に比べると、気温は7~8度低く、
今でも夜は冷えるそうです。

翌朝、本堂で早朝のお勤めがありました。
(撮影禁止)
朝のお勤めは強制ではありませんが、これが宿坊
の醍醐味ですから参加します。
参加といってもお経を拝聴するだけですが、朝の
お経というのは厳粛で身の引き締まる思いがします。

お勤めは、6:30から30分間で正座の必要は
ありません。
足をくずしても、椅子でもOKです。

その後はそのまま朝食です。

ホテルとも旅館とも違う、独特の宿坊のもてなし
を初体験出来ました。

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

コメント一覧

更家
吉原御免状
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
そうなんですよ。
たまたま、吉原御免状を読みながら熊野古道を歩いていたら、ぴったりの文章に出会ったので、引用したんですが、書いた私は書いた事を忘れていました・・・
(iinaさんが検索したら、たまたま、この文章に当たったというのでびっくり!思いだしました・・・)

それにしても、四民の下に置かれていながら大名の行装が認められていたというのは、どう考えても、やはり不思議でミステリーです・・・
iina
ふたたび参上
http://blog.goo.ne.jp/iinna/
隆慶一郎著「吉原御免状」を検索したら、こちらに再び導かれました。
最後の代の弾左衛門は、身分の引き上げを念願して、新選組が指揮した甲陽鎮撫隊(こうようちんぶたい)にも参加しています。

身分は士農工商の下にありながら、巨大な利権(人の嫌がる職)を有していたことから献上金が莫大であったため、その見返りに
大名行列を模した行列を見過ごしにされたか許されたと思われます。身分制度のうるさい時代に、幕府のたかがゆるんでいた
のでしよう。
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/3dda3ade27c2ae786147cecb03111e12

 
更家
宿坊の敷地内に国宝
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
熊野古道の伊勢路踏破ですか、凄いですねえ!!
伊勢路は結構距離があるし、地図を見ても大変そうだし・・・
中辺路は、結構色んな要素が含まれていて、楽しかったですよ。

宿坊の金剛三昧院の敷地内に国宝の多宝塔ですか。
それも凄いです!、感動しますよね。
Komoyo Mikomoti
高野山の宿坊
http://blogs.yahoo.co.jp/ya3249
熊野古道は、伊勢路踏破に専念しているので、
まだまだ遠い将来かもしれませんが、
中辺路も歩いてみたいものです。

高野山に泊まる場合、宿坊に泊まるしか選択肢ががないですね。
ただ、結構、世俗的で、気軽に泊まれますね。

私は、家族旅行で金剛三昧院というところに泊まったのですが、
敷地内に、国宝の多宝塔があるところで、それが感動でした。
朝のお勤めも出ましたが、強制でないので、それも気楽ですね。
更家
健康的な旅行
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
そうなんですよね。
歳をとると、旅行の旅館の豪華夕食が、逆に、何とか食べ切らないと!、と負担になったりして・・・
そういゆう意味では、日中は十分に歩いて、夜は、塩分控えめの適量食事で健康的な旅行でした。
hide-san
宿坊ですね
http:blog.goo.ne.jp/hidebach
宿坊ですから精進料理で、
拝見するところ年寄りのボクにはちょうど良い量の食事に見えます。
更家
一人で計画するのは難しく
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
ホント、熊野古道歩き、宿坊泊して精進料理、朝のお勤め等、地理感のない和歌山山中での行動を、一人で計画するのは難しく、ツアーで貴重な体験が出来て良かったです!
iina
貴重な体験
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/6aaea78c6909c4dabfc40e6b89033d92
熊野古道を歩き、宿坊に泊まり精進料理を食べ、朝のお勤めをするなど、心身を清められてよかったですね。
なんとなく、那智の滝で身を清めた印象です。

「142857」のことなんか、ちいさい小さい。
ただ、不思議さの中に身を置くだけで充分です。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「街道歩き」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事