ほっぷ すてっぷ

精神保健福祉士、元新聞記者。福祉仕事と育児で「兼業」中。名古屋在住の転勤族。

山口一男・樋口美雄「論争ワークライフバランス」

2014-02-28 13:16:43 | Book
先月は、必要に駆られて「ワークライフバランス」の単語に関連する本をいくつか読んでいた。図書館の返却期限も過ぎているので、その時に読んだ本についてのメモを少し。

山口一男・樋口美雄「論争ワークライフバランス」
2007年に、ワークライフバランスをテーマに公開討論会を行い、それをまとめた本。この中で、権丈英子先生がスピーカーを務めたところで紹介された、オランダの例がとても興味深かった。(本題とは少し違ったけれど)
オランダでは、日本と同じで保育所に預けることへの抵抗がある人が多かった。なので、夫が週4日、妻が週3日、などと勤務日数を短縮することで、保育所には週2、3日だけ預ける、というようなスタイルを作って行った。また、このような「フルタイム・短縮日数勤務」の背景には、元々短時間勤務(1日6時間×5)を求めていた女性主体の労働組合が、通勤時間を含めて考えると「毎日通勤」よりも通勤日数を減らした方が時間を有効に使えることに気づき、要求を変えて行ったために実現してきたという。

「育児休暇の功罪」については、本の後ろのほうで、パク・スックチャさんが指摘している。大手企業で、子育て支援の一環で「育休3年」などと掲げているところがあるが、女性が3年も家庭にいたら、家庭内の性別分業が定着し過ぎてしまって、夫の給料はその間も上がって行くわけで、妻はますます仕事に力を入れるインセンティブがなくなってしまうよ、と。これは最近つくづく感じていること。

この二つの気づきについて言えるのは、「労働者・働く女性が主体的に、キャリアと生活について考えて、主張する場面がない、ということだ。「当事者」でない、専業主婦を持つ財界の男性陣や、年齢の高い経済学者や、ワークライフバランスなど思いもよらない環境で働く官僚たちばかりで、働く女性・男性のカップルが不在のように感じてしまう。オランダの例などを見ると、やっぱり労働組合って大事だよなあ、本当は・・・と残念な気持ちになってしまう。

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