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死を抱く氷原

デイナ・スタベノウ著 ハヤカワ文庫
アリュート人(アラスカ原住民)の女性で、アンカレッジ地方検事局の元捜査官であるケイト・シュガックが活躍するシリーズの第四作目です。
アラスカの厳しい大自然やそこに生きる人々のちょっと変わった人生模様が楽しめる、ハードボイルドっぽいミステリーです。

前作では男ばかりのカニ捕り漁船で潜入捜査したケイトだが、今回の舞台は北海のなかにある孤立した石油採掘基地が舞台になる。
外界から閉ざされた基地内に何者かが麻薬を持ち込み密売しているという。石油会社の依頼で密売人を突き止めるため、従業員として潜入捜査を始めるケイト。
一方で採掘現場にはアリュート人の埋葬地だった遺跡があり、貴重な発掘品がたびたび紛失していた。

極北の大自然に抱かれた現代の基地までチャーター便で飛び、一週間働いてまたチャーター便で都会に戻って一週間休む、という不規則な生活を送る、ちょっと風変わりな登場人物たちと基地での生活模様が面白い。
さらにケイトの恋愛や家族関係、現在のアラスカにおけるアリュート人達の生活までが重ねられ、知らず知らずのうちに物語に引き込まれていきます。
今回の作品に関しては、ともかく読んでいて楽しかった。たった二日で読み終えてしまいました。ただそのためか、ミステリーの要素は減少してしまっているのが残念です。

前3作は「白い殺意」「雪どけの銃弾」「秘めやかな海霧」で、どれもハヤカワ文庫から出版されています。個人的には大好きで、お薦めのシリーズとなっています。
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