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ケセラ・イズム

~人生の微分理論~
今が大事,先の事なんて知った事か!

"アメリカから自転車に乗ってらしたんでしょうか?"は無茶ぶりやろ笑

2025-07-23 03:37:26 | 音楽鑑賞日記
この動画を観てよ。


『音楽の広場』って言う,

1976~1984年に放送されていたNHKの音楽番組。
(僕が生まれる前ですね)

んで,

この回(1983年7月放送)のゲストは,

アメリカ出身のコントラバス奏者ゲリー・カーなんよ。

いきなり変な自転車に乗って登場し,
(満面の笑顔で…)

陽気に『ジ・エンターテイナー』を演奏した後,
(シルクハットもお茶目)

黒柳徹子を相手に軽妙なジョークを繰り出す。
("Mr.コントラバスに食事が提供された"は面白いやろ笑)

そして,

単なる面白いおじさんだと思わせながら,

その後に奏される『白鳥』のしんみりと美しい事。

うん,

魅力に溢れた人だな。

そのゲリー・カーなんだが,

今月の16日に亡くなったらしい。
(83歳だったとの事)



んー,

訃報を知った際には,

 え?

 まだ生きとったん?

が正直な感想でした。
(これは失敬!)

2001年に引退しているんで,

僕が初めてこの音楽家の名前を聞いたときには,

すでに過去の人だったんですよ。

とりあえず,

僕にとっては

コントラバスと言う不自由な楽器を,
(チェロの100倍は弾くにくいだろう)

自由自在に弾きこなした達人
(下手なチェロ弾きより巧い)

ってイメージ。

てか,

そもそもコントラバス弾きがソリストとして活躍してるのが異常なんよ笑。
(そんな奴,他にいない)

だってさ,

コントラバスだぜ?笑
(これまた失敬!)

ドヴォルザークのチェロ協奏曲をコントラバスで弾いちゃうとか,
(チェロで弾いても難曲中の難曲)

もう頭がおかしいやろ笑。



ご冥福をお祈りいたします。



あー,

今月はもう1人。

18日にイギリス出身の指揮者ロジャー・ノリントンも亡くなっています。
(91歳だったとの事)



こちらは2021年まで現役だったんで,

 あー,

 そんな時期か。

って感想。

もともとは古楽器オケを振ってたんだけど,

最近は現代楽器オケを指揮する事が多かったんかな?

シュトゥットガルト放送響とのベートーヴェンの交響曲全集が印象的。



細かい部分まで抉りに抉ったユーモア溢れる表現は,

聴いていて愉しくて仕方がない。

聴き慣れた作品たちがリフレッシュしている。

決してファースト・チョイスではないだろうが,

折に触れて耳にしたい名演たちです。

今後もお世話になるだろう。

ご冥福をお祈りいたします。



参考
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲ロ短調(コントラバス版)
ゲリー・カー(Cb)朝比奈隆指揮大阪フィル
1983年録音,ライブ
[Firebird]
ベートーヴェン:交響曲全集
ノリントン指揮シュトゥットガルト放送響
2002年録音,ライブ
[Hanssler]

青い海で力を付けた後,あっさりと赤い海も制する凄さ!

2025-07-09 03:31:19 | 音楽鑑賞日記
今の会社に入って2年目の頃だったと思うんだが,

中学理科をメインにやっていくと決めた後,
(もともとは英語や数学を教えるはずだった)

とりあえず過去15年分くらいの県立高校の入試をワードで打ち直しました。



ただ眺めるだけでなく,

入試と一体化する事で理解を深めようとしたってわけ。

んで,

それ以来,毎年の入試が終わる度に同じ事をしてます。

その蓄積により,

今の僕は

県立高校入試ソムリエ(理科)

の肩書を名乗ってるんです笑。

コレをさ,

若い職員に勧めた事があるのよ。

そしたら,

 ははっ

みたいな感じで一笑に付されたんだよね笑。

んー,

何て言うか,

コスパが低いように思われたんかな。

だけど,

その考えは間違いです。

昔,O先生も

 文章を理解するためには,

 音読し写経せよ。

と語っておられたと思う。

対象を分析しようとするのではなく,

とにかくソレと一体化するべきなんだよな。

そして,

これについては楽聖ベートーヴェンも証明してくれている。



1770年,ドイツのボンで生まれたベートーヴェンは,



酒乱の気のある父親から強制的に音楽を仕込まれ,

過酷なレッスンに耐えてめきめきとピアノの腕を上げました。

ちなみに,

彼が生まれたボンと言う街は,

選帝侯であったケルン大司教が居城を構える地。

そして,

当時のケルン大司教は,

神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2世の弟マクシミリアン・フランツ。
(ヨーゼフ2世についてはこちら

その選帝侯のお声がかりで,

ベートーヴェンは留学生としてウィーンへ赴きます。

1892年,21歳の秋の話。

そこで彼はハイドンに師事するものの,

あまり満足はしていない。

それなりに経験と知識を積み,

さらに性格的に強烈なものを持っていたベートーヴェンと,

すでに名を成して保守的傾向が強くなっていたハイドンとではウマが合わなかったのかも…

と言われています。

他にもサリエリなど多くの名立たる音楽家に師事しているが,

結局,ベートーヴェンの実力養成に寄与したのは,

彼が直接目にして,

筆写したモーツァルトやハイドンの作品だったとの事。

やはり学習法として優れているのは"筆写"だよな。

一見,遠回りな方法に見えるが,

筋肉を使って一体化する事で,

先人の作曲技法が身に付くってわけ。

意外とコスパは高い。


ところで,

ウィーンでのベートーヴェンは,

抜群の即興演奏でピアニストとしての名声を確立しています。

1791年に他界していたモーツァルトの優雅な演奏振りとは異なり,

ベートーヴェンの演奏はダイナミックで迫力に富んでいたらしい。

粗野だと嫌う人もいながら,

多くの人には新鮮で感動的だったとの事。

そんな彼も自作の"作品1"の出版には拘っています。

当時,ほとんどの作曲家は"作品1"に

弦楽四重奏曲

を選んでいたみたい。

ヴァイオリン,ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロって言う構成は,

ピアノのような打鍵楽器や,

フルート,オーボエのような音色の色彩感で勝負する楽器を含みません。

絵画であれば墨絵かデッサンに近い。

つまり作曲家の技法の優劣がモロに作品に反映されるってわけ。

うん,

当時の作曲家たちは,

自身の作曲技法の高さをウィーンの聴衆に誇示しようとしたんですね。

しかし,

ベートーヴェンはデビュー作に同ジャンルを避けています。

すでにハイドンやモーツァルトの名作が出回っており,
(『ロシア四重奏曲』や『ハイドン・セット』など!)

演奏家や聴衆の求める水準が高かったからか?

確かに,

記録の上では"作品1"に弦楽四重奏曲が多数書かれてるはずなのに,

今の時代に聴ける作品は皆無に近いと思う。
(ハイドン,モーツァルトとベートーヴェンの間の作品って知らない)


と言うわけで,

ベートーヴェンは"作品1"の出版を

ピアノ三重奏曲

で行いました。

ピアノ,ヴァイオリン,チェロって編成の楽曲。

んー,

ハイドンやモーツァルトに大傑作がなかったからか?
(作品は残されてるが,弦楽四重奏曲ほどの傑作ではない)

自身がピアノの名手としてアピールできるからか?

とりあえず,

なかなかのマーケティング能力だな。

まさに"ブルー・オーシャン戦略"。

競合の多いレッド・オーシャン(弦楽四重奏曲)を避け,

得意のブルー・オーシャン(ピアノ三重奏曲)で勝負を賭けたんですね。

かくして作曲されたのが,

ピアノ三重奏曲第1~3番の3曲セット。

1793~95年の作で,

リヒノフスキー侯爵邸の夜会で初演されたみたい。

この夜会にはハイドンも出席しており,

賛辞を呈したものの,

第3番だけは

 出版しない方がいい。

と助言したらしい。

うん,

ハ短調って言う革新的な調性が保守的なハイドンの気に入らなかったんだろうね。
(この後,これぞベートーヴェン!って調性になっていくんだが…笑)

そして,

同曲を最高傑作と考えていたベートーヴェンは激怒。

ハイドンが作品の出来に嫉妬したと考えたんだとか笑。

あー,

ベートーヴェンってさ,

思い上がりと実力が拮抗した稀有な存在だよな笑。

とにもかくにも同曲の出版は大成功。

これによりボン時代の給料の2年分に当たる843フローリンの収益を得たんだって笑。


あーあと,

この後,ベートーヴェンは生涯で16曲の弦楽四重奏曲を書くんだけど,

それは人類にとって不滅の名作群となります。

ハイドンやモーツァルトの作品より上なのはもちろんの事,

未だに超えられる事のない傑作たちです。
(バルトークとショスタコーヴィチが辛うじて肉薄か?)

結局,レッド・オーシャンまで支配下に収めたってわけ。


って事で,

今宵の我がリスニング・ルームには,

ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第3番

が鳴り響いています。

演奏はケンプ・チーム。



正直,作品に物足りなさは感じるが,

演奏の安心感は抜群だな笑。



参考
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調
ケンプ(Pf)シェリング(Vn)フルニエ(Vc)
1969年録音
[DG]

しょうねんよ,たいしたやつだ

2025-06-30 02:31:13 | 音楽鑑賞日記
最近,仕事が不調なんよ。

いや,

僕自身のパフォーマンスは上々なんだが,

自分ではどうしようもできない事ってあるよな?

あー,

非常に困っています。

不安で夜も眠れない。
(毎晩,酒を飲んで気絶しているに近い笑)

こんなときは癒しの音楽に手を出す事としよう。

うん,

やはりこのアルバムだ。



「少年のレクイエム」ってヤツ。

音楽に癒しを求めるなんて言う,

下賤な聴き方は好まないんだけれど,

こう言う日は仕方がない。


さて,

これはボーイズ・エアー・クワイアって言う少年合唱団のアルバム。

この団体のCDって,

何枚か出ているみたいなんだけど,

僕が持っているのは「少年のレクイエム」オンリー。

コナー・バロウズと言うソリストが歌う宗教音楽がオムニバス形式で収録されています。

んー,

冒頭のフォーレの「ピエ・イエス」(『レクイエム』より)から一気に引き込まれちゃいますね。

ボーイ・ソプラノって,

女声と違って変な色気が付いていないんだよね。

ノン・ヴィブラートによる無垢な歌声は絶品。

しかも,

いい意味で歌い慣れていて,

素朴過ぎるきらいもない。

要は,

技術的にも優れているって事。

音程も確かだし,表現力も幅広い。
(音程が不安定なボーイ・ソプラノが多いから)

A.L.ウェッバーの「ピエ・イエス」(『レクイエム』より)に関しては,
(A.L.ウェッバーはミュージカル『オペラ座の怪人』で知られる作曲家)

本家サラ・ブライトマンの海千山千の歌唱に比べると分が悪い感じはするけれど,

これだけを聴くと大健闘。

また,

モーツァルトでも「アニュス・デイ」(『戴冠式ミサ』より)には,

もっとカラフルな色彩が求めたい気もするが,

「ラクリモーサ」(『レクイエム』より)あたりは,

人間的な感情を色濃く出していないのが大成功。

他に

デュリュフレの「ピア・イエス」(『レクイエム』より),

フォーレの「イン・パラディスム」(『レクイエム』より)

なども心から堪能できます。

荒んだ精神が洗われる気がする。

月に1回くらい聴いておきたいですね。


ところで,

これは30年近く前の録音なんだけれど,

このコナー・バロウズ,1983年生まれなんですね。

僕より年上やん!

現在ではおっさんやん!

ちょっと残念な気持ちになりました笑。



参考
「少年のレクイエム」
ボーイズ・エアー・クワイア
1997年録音
[Victor]

押すなよ,絶対に押すなよ

2025-06-13 02:36:23 | 音楽鑑賞日記
前にも書いた事があるんだが,

外国人に教えたい言葉

って言うお題の英作文に対して,

こんなんを書いてきた生徒がいるのよ。

外国人に教えたい言葉

Don't push.

言葉の意味や説明

We say that when we want to be pushed.

なかなか秀逸だよな笑。
(折に触れて紹介したい)


ところで,

童話とか神話には,

"見るなのタブー"

って言うのがあります。

「鶴の恩返し」的なヤツ。

 見るな。

って言われると,

どうしても見たくなっちゃうんだよね。

ホントに見られたくなかったら,

 見ろ。

って命令した方が良い。

うーん,

今度から生徒達に,

 勉強するな。

って言ってみようかな。

そしたら意外と勉強したりして…笑。



って事で,

少し強引な気がするが,

今回は"見るなのタブー"な物語について。


『エロスとプシュケ』



ある国の王と王妃の間には3人の王女がいましたが,

末娘プシュケは余りに美し過ぎて,

婿のなり手がいませんでした。

美の女神アフロディーテの嫉妬を買ったせいだとか。

心配した両親は神託を乞い,

 プシュケは人間とは結婚できぬ。

 山の頂上へ連れて行き,

 そこへ置いておきなさい。

 この世で最も恐ろしい山の怪物が婿になるであろう。

との言葉をもらって,

プシュケを山の頂上へ置き去りに…。
(両親的には,結婚できれば人間でなく怪物でもいいって考えなんだね笑)

哀しみに涙も枯れ果てて眠り込んだプシュケを,

西風の神ゼフィロスが花の咲き乱れる美しい森にある宮殿へと運びます。

人影の見えぬ宮殿で,

豪華な持て成しを受けるプシュケ。

その夜,寝室に誰かが入ってきた気配がし,

優しい声で

 私はあなたの夫です。

 しかし,

 絶対に私を見てはいけません。

と告げる。

プシュケは,

姿は見えないものの,

毎晩愛を語って来る夫エロスと幸せな生活を送りました。
(相手がなかなかのテクニシャンだったって事だね笑)

しかし,

その生活に嫉妬した姉2人から,

 お前の夫は,

 恐ろしい化け物に違いない。

と殺害を唆される。

ある夜,刃物と燭台をもって寝台に近づいたプシュケでしたが,

そこで目の当たりにしたのは,

この世ならぬ美しさに輝くエロスの寝姿。



思わず燭台から蝋の一滴をエロスの肩に垂らす。
(合わせて読みたい記事はこちら

痛みに目覚めたエロスは,

 愛は疑いとは一緒にいられない。

と立腹して,

プシュケを残し立ち去ってしまいます。

自らの過失で幸福を見失ったプシュケは,

それを取り戻すために様々な試練に立ち向かい,

遂には疲れ果てて倒れる。

エロスは気を失ったプシュケを天上に伴い,

大神ゼウスの取り成しで母親アフロディーテから結婚を許され,

神々から祝福されながら幸せに暮らしましたとさ。




正直,面白くも何ともない物語なんですが,

これを題材とした音楽作品が滅法美しいんです。

フランスの作曲家フランクによる交響詩『プシュケ』がソレ。

全曲版のCDって珍しくて,

僕が持っているのはP.シュトラウス/リエージュ管のみ。



ただ,

これが名盤中の名盤なんよね。

どこまでが作品の魅力で,

どこからが演奏の魅力なのか,

判然としないって言う,

まさに名演の鑑。

どの曲もエロティックで,

雰囲気満点なんです。

倦怠感に満ちた歌,

遠い世界を夢見るような蠱惑,

不健康で儚い情感,

柔らかいエレガンス。

演奏を褒める言葉が,

そのまま作品を褒める言葉になります。

1ヵ月に1回くらい,

このアンニュイな世界に浸りたくなる。

聴いていて,

何とも言えない懐かしさや切なさに胸をくすぐられ,

同時に心が幸福感で包まれます。



参考
フランク:交響詩『プシュケ』
P.シュトラウス指揮リエージュ管
1974年録音
[EMI]

頭蓋骨はいらんやろ

2025-05-31 01:45:32 | 音楽鑑賞日記
本日5月31日は,

ハイドンの命日なんですよ。



18世紀後半に活躍したオーストリアの作曲家ですね。
(いわゆる「古典派」と言われる時代)

"交響曲の父"として知られています。


貧しい生まれ故,

幼い頃は苦労したらしいが,

早くから音楽的才能が認められ,

エステルハージ侯の宮廷楽長となります。

んー,

エステルハージ侯と言えば,

ハンガリー随一の大貴族なんですよ。
(当時,ハンガリーはオーストリアの支配下にあった)

そこの宮廷楽長を長く務めたんで,

なかなか安定して満ち足りた生活を送れていたはず。

そーいえば,

オーストリアの"女帝"マリア・テレジアがエステルハージ侯の城を訪れたとき,
(正確には"女帝"ではない)

ハイドン率いる宮廷楽団の事を

 ウィーンの宮廷楽団より質的にずっと高い。

と賞讃したんだとか。

一地方の宮廷楽団が"帝都"のソレを凌駕してるってわけ。
(ん?"帝都"と言っていいんか?)


それはそうと,

30年の宮仕えを終えたハイドンは,

ウィーンでフリーの作曲家に…。

そして,

音楽興行師ザロモンの招きで,

2度に渡ってロンドンを訪問します。

その際に作曲されたのが『ザロモン・セット』ですね。

12作の交響曲(第93番~第104番)からなるんだけど,

第94番『驚愕』や第96番『奇跡』,第101番『時計』なんか有名。
(『驚愕』についてはこちら

僕は第100番『軍隊』,第104番『ロンドン』を愛聴しています。
(いずれ記事に…)

ちなみに,

最初の訪英の前,

60歳のハイドンに対して

 英語もできないのに大丈夫ですか?

と心配したのが,

"愛弟子"もしくは"若い友人"たるモーツァルトです。



ハイドンの返答は,

 私には音楽と言う共通語があるからね。

ってもの。

まぁ,

モーツァルトは言語を不安視したと言うより,

敬愛する先輩の老齢を思いやったって事らしいが…。

うん,

このときのモーツァルトだが,

まさかハイドンが帰国するより前に,

24歳も年下の自分が先に死ぬとは想像もしていなかったみたい。
(享年35歳)

対するハイドンの方は当時としては破格の長寿。

1809年5月31日,77歳での老衰死です。

ナポレオン軍によるウィーン砲撃の最中の話だったらしい。


さて,

生前は恵まれた人生を送ったハイドンだが,
(少なくともモーツァルトに比べれば…)

その遺骨は波乱万丈です笑。

死後11年目にあたる1820年,

遺骸を別の墓地に埋葬しなおす事になり,

棺を開けてみたら,

頭部が消えていたんですよ。

犯人はすぐに判明。

頭蓋骨研究家がこっそり盗み出していたんです。

 大作曲家のハイドンだから,

 その頭蓋骨は普通の人とは違うのでは?

と考えたんだって…笑。

しかも,

研究に使った後は,

知人に見せびらかすため,

居間に飾っていた笑。

え?

どう言う感覚?笑

そして,

この犯人の死後も,

ハイドンの頭蓋骨は人の手を転々と…。

結局,胴体のもとへ返されたのは,

なんと1954年!

およそ150年間も彷徨っていたんですね笑。
(いや,笑ってはいけない)


と言うわけで,

今宵の我がリスニング・ルームに鳴り響くのは,

ヴァイルによるハイドンの『天地創造』。

2度目の訪英から帰国した後,

やはりザロモンからの依頼で書かれた作品で,

ヘンデルの『メサイア』,メンデルスゾーンの『エリヤ』と並ぶ,

オラトリオの傑作中の傑作です。



参考
ハイドン:オラトリオ『天地創造』
ヴァイル指揮ターフェルムジーク・バロック管ほか
1993年録音
[VIVARTE]

楽譜を疑え パート2

2025-05-28 02:06:31 | 音楽鑑賞日記
メトロノームってあるじゃない?



カチカチと音を立てて,

音楽のテンポをとる器械ですね。

ベートーヴェンの友人だったメルツェルって奴が発明したんだが,
(最初に考案したのは別の人らしいけど…)

これにはベートーヴェンも大喜び。

『タッタッタッ愛するメルツェル』と言うカノンを作曲して,

その功績を讃えたんだとか。


ちなみに,

この曲の主題をもとに,

交響曲第8番の第2楽章が書かれています。


それはそうと,

メトロノームが発明されてから,

ベートーヴェンはメトロノームのテンポ指定を書き入れるようになったんだが,

これが無茶すぎなんよ笑。



指示通りにやろうとすると,

速すぎて演奏が困難ってわけ笑。

んー,

これについては,

 ベートーヴェンのメトロノームは壊れていた。

とか,

 ベートーヴェンは耳が聴こえなかったからテンポ感覚がずれていた。

などと言った説がありますね。
(どれも微妙…)

とりあえず,

盲目的にベートーヴェンの指示を守るのは危険

って事は言える。

あー,

かつてドイツの指揮者シェルヘンが,



指定に近いテンポで交響曲全集を録音してたけど,
(1965年のライブ)

オケが下手くそだったのも相まって,
(ルガノ放送響)

かなりの珍妙行列でした笑。
(いくつか名演も紛れ込んでたが…)


そーいえば,

大学オケで『第九』をやったときに,

指揮者が頑なに指定のテンポを守ろうとしたんだよな。

合奏の途中で

 ちょっと"文明の利器"を…

などと言い出し,

メトロノームを取り出すんです。

んで,

非人間的なテンポで指揮し始める。

いや,

アマチュアには無理だって…。

ホントに楽しくなかった涙。

当時のブログに

 誰か,

 あの"文明の利器"を破壊しろ!

みたいに書いている笑。

相当,腹が立っていたんだろうな笑。


まぁ,

最近では古楽器系の演奏家を中心に,

指定通りのテンポでやる演奏も増えてきたんだけどね。

オケが巧ければ,

そして演奏家に

 かくあるべし!

って意志があれば,

アリな気がしている。

問題なのは,

 楽譜に書いてあるから

と言う理由だけで,

そのテンポを採用する事。

そもそも作曲家のテンポ指定って,

絶対ではないはずなんよ。

間違っていたとの説があるベートーヴェンはもちろんの事,

他の作曲家だって怪しい。

例えば,

ドビュッシーの『海』の初演の話を思い出したい。



初演に向けたリハーサルの前,

指揮を担当するシュヴィヤールは,

ドビュッシーと綿密な打ち合わせを行いました。

んで,

その翌日,シュヴィヤールが

 昨日,あなたから指示された通りのテンポで演奏します。

と伝えたところ,

ドビュッシーは待ったをかけた。

曰く,

 今日のテンポは昨日とは違う。

ほら,

作曲家の指示なんて信用しちゃいかん笑。


と言うわけで,

今宵の我がリスニング・ルームには,

ドビュッシーの『海』が鳴り響いています。

アンゲルブレシュト/フランス国立放管によるライブ録音です。



んー,

"本場ものが絶対"などと言うつもりはないが,

やはりドビュッシーを聴くなら,

アンゲルブレシュトは避けて通れない。

ザ・フランス!



参考
ドビュッシー:管弦楽のための3つの交響的素描『海』
アンゲルブレシュト指揮フランス国立放管
1962年録音,ライブ
[DM]

いつ死んでもおかしくない僕は占い師には見てもらわない笑

2025-05-21 02:53:04 | 音楽鑑賞日記
ハチャトゥリアンって作曲家がいるのよ。

たぶん一般的には

『剣の舞』の人

って認識だと思う笑。



もしかしたら『仮面舞踏会』も知ってるかも。
(浅田真央が使ってた事あるから)



ちなみに,

僕はヴァイオリン協奏曲が大好きです。
(いつか記事に…)


それはいいんだけど,

ハチャトゥリアンってさ,

こんな風貌なんよ。



ロシアのおっさんって感じ笑。

あ,

正確にはアルメニア人らしい。

僕も"アルメニアの作曲家"と認識してました。

ただ,

生まれはロシア帝国領のグルジア(現ジョージア)との事。

そして,

本人は"アルメニアの作曲家"と言われるのを嫌がり,

 私はロシアの作曲家である。

と語っていたみたい。

んで,

なんだかんだ今では"旧ソ連の作曲家"と言われてます笑。


おっと,

また脱線してしまった。

とりあえず,

このハチャトゥリアンのエピソードで好きなのが,

ピアノ協奏曲の初演の話。

1937年7月12日,

オボーリンの独奏,シュテインベルクの指揮よって行われました。

オボーリンってのは旧ソ連のピアニストで,

第1回ショパン・コンクール(※1)の優勝者。

ハチャトゥリアンは彼との共同作業で同協奏曲を完成させたんです。

しかし,

残念ながら初演の結果は成功とは言えなかった。

オケは混成チームだったし,

リハーサルは1回のみ。

その上,

ピアノの質は悪く,

野外だったために音響効果も劣悪,
(公園の野外劇場)

聴衆はたまたま公園に居合わせた人たちって言うんだから,

成功する要素を探す方が難しい笑。

終演後,ハチャトゥリアンの姿が見当たらない事に気付いたオボーリンは,

あちこちを捜し回ります。

んで,

しばらくしてから公園の雑木林の中で発見。

ハチャトゥリアンはうずくまって,

おいおいと泣いていたんだとか笑。

え?

こいつが?


(ゴメンナサイ笑)

そして,

同じ年の秋に再演されたときには,

ちゃんと成功を収めたとの事。

しかも,

第二次世界大戦が勃発すると,

同盟国であるソ連との連帯を示すため,

戦時下にも拘らず欧米での初演が相次いで行われて知名度が爆上がり笑。

まぁ,

今現在の知名度は微妙だが…。



さて,

今宵の我がリスニング・ルームには,

カペルの弾くハチャトゥリアンのピアノ協奏曲

が鳴り響いています。

カペルって言うのは,



ニューヨーク生まれのロシア系ユダヤ人のピアニストなんだけど,
(どいつもこいつも"何人"やねん笑)

早くから才覚を示して,

やがてはホロヴィッツも羨むほどの人気を誇った人物です。

音楽評論家ショーンバーグには,

 第二次世界大戦終焉後世代における最も有望なアメリカ人ピアニスト

と称されたみたい。

ただ,

残念ながら飛行機事故により夭逝してしまった。
(31歳だったとの事)

そんな彼の代名詞がこのハチャトゥリアンのコンチェルトなんです。

1942年に初めて演奏して以来,
(もちろんアメリカのプロパガンダ)

頻繁に取り上げて同曲の普及に努めていたってわけ。
(本人は同曲を気に入ったんだろうね)

んで,

カペルとハチャトゥリアンのピアノ協奏曲は"名コンビ"となり,

20歳になるかならないかの若者が,

ルービンシュタインやホロヴィッツなどの大家と並ぶほどの名声を手に入れたんですね。

ちなみに,

この録音は同曲の世界初録音とされています。


ところで,

カペルなんだけど,

人気の絶頂期,ロスで耳にした占い師の発言を気にしていました。

 彗星のような経歴だろうが,

 真に望むものは手に入らない。

 そして,

 30歳前に衝撃的な死をとげるだろう。

と言われたらしい。

その後,

彼は同門の2歳年下のピアニストに真剣な恋をするも失恋。

 手に入らないものとコレか!

と思います。

当然,もう1つの予言の成就を恐れるように…。

1952年9月,彼は30歳の誕生パーティーを盛大に開きます。

予言が外れた事を祝ったんです。

しかし,

その1年後の1953年10月29日,

カペルは飛行機事故で落命。



※1

正式には「フレデリック・ショパン国際ピアノ・コンクール」と言い,

5年に1度,ポーランドのワルシャワで開催されます。

オボーリンが優勝した第1回は,

1927年に開催されました。

ちなみに,

今年(2025年)も開催年ですね。

楽しみ。



参考
ハチャトゥリアン:ピアノ協奏曲ニ長調
カペル(Pf)クーセヴィツキー指揮ボストン響
1946年録音
[RCA]

楽譜を疑え

2025-05-12 02:55:07 | 音楽鑑賞日記
中学生の頃からクラシック鑑賞を趣味としている僕だが,

最初の数か月くらいはヴァイオリン曲ばかりを聴いていました。
(ヴァイオリン弾きだから仕方がない)

そんな僕がピアノ曲に手を伸ばすきっかけとなったのが

ショパンのピアノ・ソナタ第2番

なんです。



有名な『葬送行進曲』たる第3楽章,

謎多き第4楽章も然るものながら,

やっぱ第1楽章がカッコいい。

特に提示部の繰り返しの部分[2:51]。
(この動画はポゴレリチの演奏)

提示部が反復されて冒頭に戻ってくる場所なんか痺れますね。
(ソコだけならヤブロンスキーに一日の長が…)

ただ,

コレ,楽譜が間違ってるらしいんだよ。

僕が知ってるのは,

提示部の最後までいった後,

冒頭の5小節目に戻るパターン。

ほら,

ここにリピート記号が…。



だけど,

ショパン研究家のエキエルが調べたところ,

ホントは1小節目に戻るのが正しかったんだとか。

確かに新しい版ではリピート記号がなくなっている。



んー,

何かの本でソレを読んだとき,

にわかには信じられなかったんだよね笑。

だって,

盛り上がってから冒頭のGraveに戻るのって変じゃない?

いや,

この急転直下に意味があるとか,

転調の妙があるとかってのもわからなくはないが,

僕は絶対に5小節目に戻って欲しい。

その切羽詰まった感じがカッコいいんじゃん。

てか,

そもそも1小節目に戻る演奏など聴いた事がなかったんよ。

少なくとも手許にある録音には…。
(もとから繰り返さない演奏の方が多い気もするが…)

そんな中,

数年前に購入した内田光子が1987年の録音ながら新版でやってたのよ。



初めて聴いたときはびっくりしたね。

 ホントやったんや!

って…笑。

んで,

 コレもありかな?

とも思った。

いや,

違和感は禁じ得ないし,

もし自分がピアノを弾けるなら絶対に旧版でやるけど…笑。

ちなみに,

youtubeで最近の演奏を調べてみたら,

2021年のショパン・コンクールの覇者ブルース・リウは,

その第3次予選で新版を使ってました。



当該の箇所は[2:14]。

んー,

最近では新版が主流なんかな。
(反田恭平あたりも新版を使用)

あーでも,

2021年録音のブレハッチは旧版を用いてるんで,
(こちらは2005年のショパン・コンクールの覇者)

何とも言えない。

とりあえず,

今さら言われても困るよな。

こっちの耳は旧版で慣れちゃってるんだから笑。


そーいえば,

同じような問題が

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番『悲愴』

にもあるみたい。

第1楽章の提示部の繰り返しでは,

Allegroに戻るのが普通だが,

Graveに戻るべきって主張があるらしい。

ただ,

こちらは自筆譜が火事で焼けてしまって確認のしようがないみたい。

いや,

 展開部の冒頭でGraveをやるんだから,

 コレはそのままでいいやろ。

などと思うのは素人考え?

いずれにせよ,

あんまり大きく楽譜を変えんで…。



参考
ショパン:ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調
内田光子(Pf)
1987年録音
[Decca]

仕事って金のためなのか

2025-05-07 03:16:22 | 音楽鑑賞日記
あー,

GWが終わってしまう。

明日(もう今日)から仕事じゃないか。

嫌だ。

めっちゃ嫌だ。

ホントに嫌だ。

働ける気がしない。


(僕の気持ち)

んー,

今年のGWは,

ほぼほぼ飲み会で終わってしまったんだが,
(15万円くらいは使ったと思う涙)

最終日の今日(もう昨日)は,

美容室に行ってきました。

あー,

美容師さんって,

GWも関係ないんやね。

普通に月曜だけが休みだったらしい。



って事で,

今回はロッシーニの『セビリアの理髪師』について。
(ちょっと強引)

ロッシーニと言えば,



イタリア・オペラ界のドンと言うべき作曲家。

無類の美食家としても知られていて,

牛フィレ肉のフォアグラ添え

など"ロッシーニ風"と題された料理が多数存在します。



そーいえば,

上記の画像を見ると,



どことなく彦摩呂と通じるものがある気がする笑。


それはそうと,

生涯に39作のオペラを作曲した彼の人気は凄まじく,

イタリアだけでなく,

ヨーロッパ全土を席捲していました。

あのベートーヴェンが君臨するウィーンですら,

人気ナンバー1はロッシーニだったとか。
(現代の僕の耳には,どちらが上かは明白なんだが…)

もちろんの事,築き上げた財産も相当なものだったと思われます。

しかし,

それが彼の創作意欲を著しく減退させる。

30代半ばには,

 年金をもらって紳士として,

 のんびり暮らしたい。

と周囲に漏らしていた彼ですが,

37歳で最後のオペラ『ウィリアム・テル』を書いた後,

その筆を折ります。

正直,このあたりが彼の音楽の弱さな気がする。
(僕はロッシーニの熱心なリスナーではない)

他の作曲家(例えばヴェルディやワーグナー)も同様の発言をした事はあるんだけれど,

すぐに何かに突き動かされるように,

創作の世界へと戻っていきます。

それなのに,

ロッシーニは何となく書かなくなった後,

そのまま2度と筆を執る事なく,

76歳の天寿を全うする。
(作曲していない時期の方が長い)

つまり,

彼にとって作曲と言うのは,

金を稼ぐための単なる仕事に過ぎなかったって事。

芸術家と言うより,

職人と言った方がよいですね。

だから,

僕は彼の音楽を聴いて,

心の底から感動したって経験は皆無。
(それを目指した音楽ではない)


ここで,

僕自身に思いを巡らせてみる。

もし宝くじなんかで泡銭を手に入れたら,

仕事を辞めて隠居するんだろうか。

いや,

なんだかんだで辞めない気がする笑。

決して金のためだけに仕事してるわけじゃない。
(もちろん金は貰えるに越した事はないが…)

仕事をする事で,

給料以外の効用もたくさん得ている気がする。

その意味では幸せなのかも。

まぁ,

基本的に子供は嫌いなんだけどね笑。


話を戻そう。

『セビリアの理髪師』はロッシーニの17作目のオペラ。

1816年2月20日,ローマのアルジェンティーナ劇場にて初演されました。

ちなみに,

ロッシーニのそれまでの勝率は5割ほど。

拍手喝采を叫ばれる事もあれば,

次作ではブーイングの嵐って感じ。

この日も緊張した面持ちで舞台に上がります。

何しろ先輩作曲家パイジェッロも同じ原作のオペラを書いており,

そのパイジェッロ一派からの妨害が予想されていたから。

まず,

指揮台に上がったロッシーニに対して嘲りの笑いが沸き起こります。

金ボタン付きの明るい茶色の洋服だったんだけど,

 田舎臭い



 野暮ったい

と言った,

彼のセンスを馬鹿にする野次が飛んだんです。

そんな中,舞台が幕を開け,

最初の第1幕。

アルマヴィーヴァ伯爵が登場し,

マンドリンを奏でながらセレナーデを歌うシーンでは,

いきなり弦が全部切れてしまう。

焦ったロッシーニは,

チェロ奏者に対して音を出すよう合図を送るも,

相手には伝わらず,

観客は笑い出します。

続いて,

ドン・バジリオが登場しましたが,

舞台の釘に足を引っ掛け,

派手に転倒して血まみれ。

やはり客席から笑い声。

第2幕に入ると,

どこからともなく1匹の猫が登場。

舞台の中央まで進み,

観客の方を向いて決めポーズ。

当然,観客は爆笑。

その上,

バルトロが追い出そうと蹴飛ばしたもんだから,

パニックになった猫は舞台中を走り回る。

そしたら,

出演者まで走り始める始末。

もはや滅茶苦茶。

誰も音楽など聴いていない。

幕切れまでブーイングや野次,口笛などに被われ,

惨憺たる舞台だったみたい笑。

この夜のロッシーニのダメージは想像を絶する。

まだ24歳の若造ですからね。
(若者は傷付きやすい)

さすがに翌日の公演には出演する気になれず,

仮病を使って欠席します。

家で不貞腐れて寝ていたってわけ。

そして,

公演が終わったであろう時刻。

なんだか窓の外が喧しくなる。

大勢が集まり,

松明を振って何かを叫んでいるのです。

 昨日の騒ぎでは飽き足りず,

 まだ自分を辱めようと言うのか。

しかし,

ノイローゼ気味の彼の耳に聞こえたのは,

 ブラボー!

 ロッシーニ万歳!

と言う声。

それでも,

彼は窓を開けず,

じっと布団を被っていました。

しばらくして,

興奮した友人達が部屋になだれ込んでくる。

口々に

 これほど熱狂的に歓迎されたオペラは,

 後にも先にも観た事がない!

 大成功だ!

と言う。

後に彼は,

 恐怖のドン底から喜びの絶頂を瞬時に味わった。

と語っているらしい。

この一夜を境に,

ロッシーニはヨーロッパ随一の人気作曲家の地位を不動のものにしました。


これほどの熱狂を持って迎えられた『セビリアの理髪師』ですが,

僕は全く興味がありません。

聴いたとしても,

幕が開く前の序曲くらいかな。
(オペラ本編のCDも一応は持ってるけど…)

まぁ,

その序曲に関しても,

学生時代に何度か弾いた事があるから,

思い出のために聴くくらい…。



ただ,

折角なので,

いくつかのCDを聴き比べてみました。


まずは,

イタリアの指揮者アバドの若い頃の録音。



ベルリン・フィルの常任指揮者になりながら,

ドイツ音楽を得意としなかったアバドですが,
(少なくとも僕はそう思う)

イタリア音楽,特にロッシーニは絶品。
(だからドイツ音楽がダメって可能性もあると思う)

『セビリア』序曲も,

爽快なリズムと弱音を利かせたデリカシーが素晴らしく,

コーダのスピード感溢れる盛り上げも大満足。

ロンドン響の紡ぎ出す音色の豊かさも耳をそばだたせてくれます。


次に,

フルトヴェングラーのSP復刻。



ドイツの指揮者で,かなり悲観的な芸術家。

正直,ロッシーニのような楽観的な音楽からは最も縁遠い気がしますが,

この『セビリア』序曲は世紀の名演。

シンフォニックで重厚な響きは,

軽快さには欠けるけれど,

これがソナタ形式で書かれた音楽である事を実感させてくれます。

ベートーヴェンのような剛毅且つ雄弁なドラマに仕立て上げていて,

作品の価値を高めるほど感動的。

コーダのロッシーニ・クレッシェンドは,

この指揮者の芸風とマッチしていて凄みすら漂う。


最後に,

イタリア指揮者界の王トスカニーニも忘れてはいけない。



今回は1954年のカーネギー・ホールにおける演奏会の実況記録を聴きました。
(メインのプログラムはチャイコフスキーの『悲愴』!)

トスカニーニの数少ないステレオ録音ながら,

ライブの実況録音なので,

少しこもった音質ってのが残念。

ただ,

演奏は凄まじい。

遅めのテンポから引き出される,

地の底まで響かんばかりのリズム。

のんびりとした木管達のチャーミングな節回し。

そして,

コーダでの灼熱の迫力。

これぞ血沸き肉躍るイタリア音楽!



参考
ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」序曲
アバド指揮ロンドン響
1978年録音
[RCA]
フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル
1935年録音
[オーパス蔵]
トスカニーニ指揮NBC響
1954年録音,ライブ
[M&A]

試聴が購入に追い付かない!(2025年①)

2025-05-02 04:23:30 | 音楽鑑賞日記
もう5月じゃないか。

2025年も3分の1が終わってしまった。

うん,

だいぶ購入したCDが溜まっている笑。

と言うわけで,

そろそろ2025年に購入したCDでも紹介しておこう。



バレンボイム/シュターツカーペレ・ベルリンによるベートーヴェンの交響曲全集(6枚組)



なかなか聴きごたえのあるベートーヴェン。

ただ,

ベートーヴェンの交響曲全集ってさ,

30組くらい持ってるのよ。

今後,わざわざ手に取るかって言うと…。


山田一雄/新星日本響によるベートーヴェンの交響曲第5番『運命』



全盛期の"ヤマカズ"による熱血の『運命』ですね。

すでに『英雄』と『第九』は持っていたんだが,

ようやく揃いました。

やっぱ『運命』のような短距離的な曲が1番あってるな。

こう言うのはリピートすると思う。


上岡敏之/新日本フィルによるモーツァルトの交響曲第39番,第40番,第41番『ジュピター』



上岡による待望のモーツァルト。

微に入り細を穿つ,

細部まで極上のニュアンスに彩られた名演です。

聴き慣れた交響曲が,

初めて耳にするかのようにリフレッシュされている。

凄い。


P.ヤルヴィ/チューリッヒ・トーンハレ管によるブルックナーの交響曲第7番



P.ヤルヴィ/チューリッヒ・トーンハレ管によるブルックナーの交響曲第8番



P.ヤルヴィ/チューリッヒ・トーンハレ管によるブルックナーの交響曲第9番



んー,

ブルックナーと言うと,

高校生の頃に某評論家の本を読み,

特定の指揮者の演奏以外を受け付けない身体になっていたんよね笑。

クナッパーツブッシュ,シューリヒト,ヨッフム,マタチッチ,朝比奈,ヴァントあたり?

最近になってその呪縛が解け,

いろいろな指揮者で愉しめるようになりました。

このP.ヤルヴィも美しいですね。


P.ヤルヴィ/チューリッヒ・トーンハレ管によるマーラーの交響曲第5番



少なくとも音盤上では,

21世紀になってからが"マーラーの時代"だと思う。

演奏技術と録音技術が作品に追いついてきた。

インバル/東京都響の交響曲全集が好例なんだが,

これまた名盤です。


ゲルギエフ/マリインスキー劇場管によるチャイコフスキーの管弦楽曲集



曲目は大した事ないが,

ゲルギエフとマリインスキー劇場管の組み合わせの録音は,

一通り聴いておきたい。


R.カピュソンによるR.シュトラウスの作品集(3枚組)



え?

ヴァイオリニストがR.シュトラウスを?

うん,

誰もがそう思うに違いない。
(え?わからん?笑)

ヴァイオリン協奏曲,ヴァイオリン・ソナタの他,

ピアノ四重奏曲や『カプリッチョ』の弦楽六重奏曲,『メタモルフォーゼン』などの室内楽作品

が収録されています。

若き日(2000年)に小澤征爾とやった『英雄の生涯』も嬉しい。

とりあえず,

協奏曲やソナタは知られざる名作なんで,

これほどの名演の出現はホントにありがたい。
(特に前者の録音の少ない事)


レーピンによるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲&ヴァイオリン・ソナタ第9番『クロイツェル』(2枚組)



コンチェルトはともかく,

アルゲリッチ姐さんと共演した『クロイツェル』には期待したんだが…。


前橋汀子,秋山和慶/オーケストラ・アンサンブル金沢によるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲



んー,

前橋の衰えは隠せないよな。

もともと技術で売るタイプの演奏家ではないし,

作品自体もソレを求めているわけではないが…。


R.カピュソン,ハーディング/スイス・ロマンド管によるシベリウスのヴァイオリン協奏曲



僕の1番好きなヴァイオリン協奏曲。

昨年のヤンセンに続き,

今をときめくヴァイオリニストの録音を聴くのは愉しい。


ギトリスによるJ.S.バッハのヴァイオリン協奏曲集



たまには癖の強いバッハを聴きたくなる笑。


佐久間聡一によるシューマンのヴァイオリン・ソナタ全集



珍しい第3番を目当てに買ったんだが,
(初めて聴きました)

このヴァイオリニスト,youtubeやってる人だよね。

たまに観てる笑。


プレトニョフによるモーツァルトのピアノ・ソナタ集



ロマン派時代の巨匠スタイルを,

現代に蘇らせたようなモーツァルト。

なかなか愉しめます。


上原彩子によるチャイコフスキーの『四季』



チャイコフスキーのコンチェルトが絶品だった上原だが,

『四季』も素晴らしいですね。

有名な「トロイカ」には惚れ惚れ。


アリス=紗良・オットによるフィールドのノクターン全集



"ノクターン(夜想曲)"と言えば,

何と言ってもショパンなんだけど,

その創始者はフィールドなんですよね。

ただ,

やっぱアリスにはショパンのノクターン全集を録音して欲しい笑。


ムローヴァによる無伴奏ヴァイオリンのための作品集



昔からムローヴァは好きなんよ。

地味なんだけど,

ほんのりと色気もあって…。


ドゥエニャスによるパガニーニの『24のカプリース』(2枚組)



ドゥエニャスって言うと,

なかなか興味深いベートーヴェンのコンチェルトの録音で知られるが,

今回はソロだからか,

もっとずっとやりたい放題。

んー,

下らないと思っていたパガニーニのカプリースが,

俄然,魅力的に聴こえる。


シュタルケルのよるコダーイの無伴奏チェロ・ソナタ



これ,めっちゃ難曲らしい。

そんな話を耳にしたんで,

聴いてみたくなったんです。


レーグナー/ベルリン放送響によるモーツァルトのレクイエム



うん,

レーグナーは好きなんで,

すべての録音を集めたいと思っている。


マリナー/アカデミー室内管によるモーツァルトの『大ミサ曲』



映画『アマデウス』のサントラでさ,

マリナーが『大ミサ曲』の冒頭の「キリエ」を演奏してるんよ。

それが信じられないくらいの名演。

あんな熾烈な合唱は聴いた事がない。

だから全曲盤を購入したんだが,
(サントラとは別録音)

なんか残念…。

あのサントラは"一瞬の切れ味"だったんだろう笑。


ロレール /ル・セルクル・ド・ラルモニー管弦楽団によるベートーヴェンの『ミサ・ソレムニス』



今をときめくロレールの『ミサソレ』。

今後,じっくりと聴いてみたい。


P.ヤルヴィ/チューリッヒ・トーンハレ管によるオルフの『カルミナ・ブラーナ』



昨年はバッティストーニも新譜を出していた曲だが,

こちらの方が細かいニュアンスが面白い。


スウィトナー/シュターツカーペレ・ベルリンによるドイツ・オペラ合唱曲集



完全なる衝動買い。


「デジレ=エミール・アンゲルブレシュト/エラート録音全集」(16枚組)



アンゲルブレシュトと言えばドビュッシー。

ドビュッシーと言えばアンゲルブレシュト。

そんなアンゲルブレシュトの,

ドビュッシー以外の録音もまとめて聴けるため購入。


「ホルヘ・ボレット/ベルリン放送録音集 Vol.3」(3枚組)



ボレットの未知のレパートリーを聴けました。

ベートーヴェンの『皇帝』,

ショパンの『幻想即興曲』,『軍隊ポロネーズ』,『英雄ポロネーズ』,

ドビュッシーの『映像』なども然る事ながら,

やはりシューマンの『管弦楽なしの協奏曲』だな。

まともな演奏がホロヴィッツくらいしかなかったところに,

新しい名演の登場。

めっちゃ嬉しい。


「ジャクリーヌ・デュ・プレ/演奏会ライヴ 1965-1969」(2枚組)



ドヴォルザークのコンチェルトが目当てです。

有名なスタジオ録音は,

彼女の全盛期を過ぎちゃってるから,
(それでも名演には違いない)

ライブ録音を聴き漁ってるってわけ。

そのうち,

まとめて聴き比べてたい。


「ミッシャ・エルマン/HMVへの協奏曲録音全集」



ヴィヴァルディのg mollのコンチェルトが目的。

子供の頃に弾いた曲を,

エルマンがどう料理してるのか,

どうロマン派に穢れているのか,

気になったんです笑。


「ファジル・サイ/悲しい鳥たち」



サイの新譜は買うようにしているんだが,

ついにドビュッシーの『ベルガマスク組曲』が登場。

今まではフランソワを愛聴していたんだけど,

これからはサイだな。

今後の期待はブレハッチ?



んー,

今のところ,57枚の購入か。

例年よりはセーブしてるかな?笑

誰でも黒歴史ってあるよね

2025-04-30 03:29:21 | 音楽鑑賞日記
大学2年目(1回目の2年生)の追いコンにて,

ナガヌマって後輩と一緒に

モーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのためのデュオの第1楽章
(僕がヴァイオリンで,ナガヌマがヴィオラでした)

を弾いた事があるんですよ。


ほら,

僕って極度のあがり症だから笑。

2人で舞台に立つのは無謀だった。

せめてクァルテット(4人),

いや,

クィンテット(5人)くらいじゃないと…。

本番はあまりに緊張し過ぎて,

最初の重音の音程から間違えてたのを覚えてます。

ナガヌマが凄い目で見てきた笑。

その後もどうも上手く弾けなくて,

 早く終わって欲しい

って気持ちでいっぱいだったんだよね。

演奏中にそうなったらダメ。
(諦めたら試合終了)

んで,

曲の終わり近くでヴァイオリンとヴィオラが掛け合う場面[6:38],

まずナガヌマが落ちたんだよね怒。

続いて,

僕も落ちた笑。

デュオなのに,

2人とも落ちた笑。

そして誰もいなくなった的な…笑。

結局,僕が最高音のE音[6:47]を無理やり弾いて続けたんだっけ。



いやー,

最悪な舞台でしたね。

封印。



と言うわけで,

今回はベートーヴェンあたりの黒歴史を紹介したい笑。



んー,

ベートーヴェンの代表作と言えば,

やはり交響曲第5番『運命』だろうか。

いや,

交響曲第6番『田園』も有名。

うん,

実はこの2作って同時に初演されてるんです。

しかも,

ピアノ協奏曲第4番って傑作も…。

1808年12月22日,

アン・デア・ウィーン劇場におけるチャリティ・コンサートだったんだが,

当日のプログラムは,

交響曲第6番『田園』,

アリア『ああ不実なる人よ』,

ミサ曲(抜粋),

ピアノ協奏曲第4番,

休憩を挟んで,

交響曲第5番『運命』,

ラテン語賛歌,

ピアノ独奏のための幻想曲,

『合唱幻想曲』

って言う超豪華版。

総演奏時間は4時間にもなる大規模な演奏会ですね笑。

チケット代は当時のウィーンの労働者の1週間分の給料くらいと高額だったらしいが,

それでも市民の2.5%程度が演奏会に押し掛けたとの事。

そんな満員の聴衆の前でベートーヴェンは黒歴史を演じたってわけ笑。


まず,

演奏会の約1か月前,

リハーサル中に少年合唱団員の1人が灯りのろうそくに悪戯しているのを見つけたベートーヴェンが,

その少年を殴りつけたって事件があったんだとか。

その横暴極まる行為に対して演奏者達は怒り狂い,

次の演奏会でベートーヴェンが指揮する事を拒絶したんです。

しかし,

ベートーヴェンも自分で指揮すると譲らず,

話し合いの末,

本番はベートーヴェンの指揮で行うが,

リハーサルは別の人間でって感じで決着。

だから,

当日のリハーサルに関しても,

ベートーヴェンは直接タッチする事ができなかったんですね。

しかも,

宣伝のポスターでは,

交響曲の第5番と第6番を入れ替えて印刷されるって間違いが発生。

ザ・踏んだり蹴ったり。


そして迎えた本番。

とりあえず,

ピアノ協奏曲第4番がグダグダだったらしい笑。

ベートーヴェン自身がピアノを弾いたんだけど,

当時,かなり難聴が進んでいたため,

その演奏は聴くに耐えないほど乱暴だったし,

途中で譜面台のろうそくをひっくり返すって言う失態まで演じた。

これに懲りて,

ベートーヴェンは2度と公の場でピアノを弾かなかったんだとか笑。

続く『合唱幻想曲』は輪をかけて酷い。

事前の打ち合わせが徹底されていたかったので,

繰り返し記号のところで,

オケの半分は先へ進み,

残り半分は指定の箇所まで戻って演奏したみたい笑。

当然,オケは大混乱。

ベートーヴェンは大声を出して演奏を中断したって話。

うん,

この演奏会に対しては"大失敗"の烙印だけが残され,

あの『運命』や『田園』って言う,

音楽史上でも1,2を争うレベルの傑作に対する聴衆の反応が後世に一切伝わっていないんです笑。

あーあ。


って事で,

今宵の我がリスニング・ルームには,

その贅沢なプログラムの中でも,

有名な交響曲や協奏曲でなく,

比較的にマイナーな『合唱幻想曲』が鳴り響いています。


演奏される機会は少なめな作品だけど,

管弦楽にピアノを加えただけでなく,

独唱や合唱まで取り入れた,

まさに『第九』に向けての習作と言うべき楽曲。

事実,僕も大学オケにおいて,

『第九』の前座として演奏した事があります。

ちなみに,

バイエルン王国の初代国王であるマクシミリアン1世に献呈された
(1806年にバイエルン公国は王国へ昇格)

って情報だけでも僕はときめく笑。
(ヴィッテルスバッハ家についてはいずれ)


冒頭は26小節にも及ぶピアノ独奏から始まります[1:11]。

初演のときはベートーヴェンの即興だったとの事。
(数年後,楽譜に書き起こされた)

その後,

オケが静かに登場してピアノと掛け合う[4:48]と,

コンチェルト的な様相を呈してきますね。

華やかに盛り上がる場面[8:14]なんか,

かの『皇帝』もかくやと思わせる。
(ちょっと言い過ぎか笑)

やがて4人の独唱が登場[16:59]。

そこからはピアノ,管弦楽,独唱が絡みながら,

小気味よく音楽が進みますね。

合唱が入ってから[18:04]は,

もう一気呵成にクライマックスへ。

かの『第九』もかくやと…。
(だいぶ言い過ぎか笑)

まぁ,

あんまり有名な作品じゃないけど,

その割に聴いていて胸が熱くなりますね。

ベートーヴェンを聴く喜びを感じられる。

そーいえば,

弾くのも楽しかった気がする。
(たぶん)


CDでは,

録音は古いんだけど,

L.クラウスが愛聴盤かな。



オケも,独唱も,合唱もイマイチ。

それでも,

珠を転がすような彼女のタッチを聴きたくてCDラックから取り出しちゃう。

録音の新しいところでは,

やっぱりアルゲリッチか。
(上の動画もアルゲリッチ)

ルガーノ・ライブの1つなんだが,



とりあえずレパートリーに取り上げてくれた事を喜びたい。

他人に進めるなら断然こっち。

いや,

総合的にどう考えてもアルゲリッチ盤の圧勝なんだが,

なぜかL.クラウス盤を忘れられない自分がいる笑。

この気持ちはなんだろう。



参考
ベートーヴェン:合唱幻想曲
L.クラウス(Pf)リヴォリ指揮アムステルダム・フィルほか
1968年録音
[Scribendum]
アルゲリッチ(Pf)ファソリス指揮スイス・イタリア語放送管ほか
2016年録音,ライブ
[WERNER]

不遜の許される才

2025-04-26 04:12:48 | 音楽鑑賞日記
指揮者のカルロス・クライバーが飛行機に乗っていたとき,

近くの座席でCAを怒鳴りつけている大柄な老人がいました。

よく見ると,

その老人はチェリビダッケではないか。

カルロスより18歳年長の指揮者。

 おまえ!

 ワシを知らんのか!

 誰だと思っとるんじゃ?

などと息巻いている。

CAを不憫に思ったカルロスは間に入る事に…。

んで,

大先輩に敬意を表しながら放った言葉が

 マエストロ!

 無理もないです。

 彼女たちはこの私の事すら知らないのですから。

 どうか許してやってください!

だったんだとか笑。



ちなみに,

このC.クライバーなんだが,



いわゆる"天才肌"で,
("変人"と紙一重)

演奏会をキャンセルする事もしばしば。

ウィーン・フィルとのリハーサル中に,

突如,指揮台を降りて帰ってしまったときなど,

その理由が

 第2楽章冒頭の2ndヴァイオリンの弾き方が気に入らん!

だったらしい笑。

このときの演目は十八番のベートーヴェンの交響曲第4番だったみたいだが,

同じウィーン・フィルとベートーヴェンの交響曲第6番『田園』をやった際には,

リハーサルの途中で

 ぼく,この曲がわからなくなった。

と言い残して忽然と姿を消したんだとか笑。

メチャクチャ迷惑!

ただ,

その音楽は素晴らしいんよ。

鞭のようにしなるフレーズ,

官能的なリズム,

怒涛のテンポとスリル感,

ゾクゾクするような色香。

ドイツ出身ながらドイツ風って感じは皆無。
(父は巨匠指揮者エーリヒ・クライバー)

南米への亡命生活が何かをもたらしたのか?笑


対するチェリビダッケは,



かつてカラヤンとベルリン・フィルの常任を争った事で有名。

それに破れ,

"変人"になっていった笑。
(どいつもこいつも…)

頑なにレコーディングを拒絶したため,

我々は彼の死後に発表されたライブ録音を辛うじて楽しんでいるって感じ。

その音楽は緻密を極め,

テンポは異常に遅い。

ただ,

どこか巨匠ぶってる感も否めないんだよな。
(カラヤンに地位を奪われて拗ねた?笑)

いや,

素晴らしい演奏も多いんだが…。


って事で,

今宵の我がリスニング・ルームには,

チェリビダッケ/シュトゥットガルト放送響によるブラームスの交響曲第4番

が鳴り響いていています。



後年のミュンヘン・フィル時代ほどクセが強くなく,
(それはそれで魅力的な演奏だが…)

音楽に合わせて移り変わる表情の柔軟さが売り。

テンポは揺れ動き,

音色は千変万化。

大いに粘った濃厚な歌を轟かせたかと思ったら,

異常なまでの繊細な美しさも表出します。

第4楽章のフルートのソロとか何なん!

こんなん聴き入るやろ!

んー,

同曲はカルロスも得意としていて,

ウィーン・フィルとの録音が名盤の誉高いんだが,

この曲に関する限りはチェリの勝ちかな?



参考
ブラームス:交響曲第4番ホ短調
チェリビダッケ指揮シュトゥットガルト放送響
1974年録音,ライブ
[DG]

しっちゃかめっちゃかポスト・モダン・シュールレアリスム

2025-04-14 03:06:14 | 音楽鑑賞日記
使いどころのわからないLINEスタンプがあるんよ。

"とにかく荒ぶる指揮者"ってヤツで,

こんなんとか,



こんなんがある。



いや,

これらは別にいいんです。

それなりに使える。
(たぶん…)

ただ,

コレって,

いつ使えばいいの?笑



おそらくカーゲルのティンパニ協奏曲をパロっていると思われる笑。

曲の最後に"ティンパニに頭を突っ込む"よう指示があるヤツ。


(実際の楽譜)

あ,

youtubeに動画があったんで貼っておきますね。



[20:30]あたりから観るといい。

ちなみに,

この作曲家には,

"指揮者が倒れる"って指示のある作品もあります。



『フィナーレ』と言う曲で,

[18:05]から指揮者の様子がおかしくなり,

[18:36]でついに倒れる笑。


あーあと,

カーゲルと言えば,

『ルートヴィヒ・ヴァン』って映画もあるんですよ。

ベートーヴェンの生誕200年記念に向けて制作されたらしい。

カーゲル自身が脚本,撮影,音楽を担当してるんだとか。



youtubeにアップされてたから観てみたんだが,

コレ,何なん?笑

ちょっと難しいな。

全編にベートーヴェンの音楽が使われているものの,

結構な変形が加えられている。

それも真っ当ではない感じの…。

辛うじて何の曲か分かるって程度の原型を留めてはいるが…。

んー,

何かしらのメッセージ性があるんだろう。

でも,

ちょっと難しいな。

特に最後の場面,
([1:14:49]から)

何なん?笑

老婆がピアノ・ソナタ『ワルトシュタイン』を弾くんだけど,

なんで白髪が伸びてくん?笑

笑っていいヤツ?
(いや,別に笑えないが…)



って事で,

今宵は『ワルトシュタイン』でも聴こう。

んー,

バックハウスの歴史的名盤を横目に見つつ,

好き嫌いだけなら,

僕はハイドシェックが大好きだな。



第1楽章冒頭からスリル満点。

速めのテンポで駆け抜ける第1主題の後,

第2主題に入ると,

テンポを落としてじっくりと歌われる。

でも,

すぐさまアッチェレランドして疾走。

聴いていてワクワクしっぱなし。

しかも,

音色の表出やペダリングは計算され尽くしている。

音の粒立ち1つ1つがコントロールされてるんです。

ザ・ファンタスティック!

第2楽章では,

アダージョの序奏を経て,

主部のロンドに入ると,

澄み切った平和な世界が広がります。

おずおずと遅めのテンポで開始されたと思ったら,

まもなくアッチェレランドして盛り上がる。

んー,

レガートやスタッカートの使い分けが巧過ぎるんよ。

1つたりとも疎かにされる音符はない。

すべてに奏者の意志が行き届いてるってわけ。

そして,

最後の颯爽たるプレスティッシモは,

 凄い!

の一言。

速いテンポの中に現れる揺蕩いの美しい事。

いやー,

僕にピアノを弾く技術があれば,

こう言う風に弾きたいと思います。

ただ,

演奏家の役割が作品に奉仕する事だとすると,

コレは万人にお薦めできる演奏ではないかも…。

その辺が"好き嫌いだけなら"と書いた所以。

ハイドシェックは,

作品を利用して遊び放題に自己主張している。

受け入れられない人も多いだろうな。

手練手管の表情を煩わしく感じる人がいてもおかしくない。

まぁ,

僕はこの音楽を享受できる感性があってよかったと思っているが…笑。



参考
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番ハ長調『ワルトシュタイン』
ハイドシェック(Pf)
1992年録音
[KING]

新生活応援!

2025-03-28 02:02:30 | 音楽鑑賞日記
あー,

もう3月も終わりですね。

新年度が始まる。

春は別れもあるが,

出会いも多い。

ちょっとワクワクしてきたぞ。



と言うわけで,

今宵の我がリスニング・ルームには,

ブラームスの『大学祝典序曲』が鳴り響いています。

若者の門出を応援するような,いわゆる"笑う序曲"ですね。
(対になる"泣く序曲"として『悲劇的序曲』がある)



1879年の春,ブラームスはブレスラウ大学から名誉博士号を授与されました。

んで,

その返礼として作曲されたのが同曲なんです。

「Wir hatten gebauet ein stattliches Haus(僕らは立派な学び舎を建てた)」,

「Landesvater(祖国の父)」,

「Was kommt dort von der Höhe?(そこの丘から何が来た)」,

「Gaudeamus igitur(いざ楽しまん)」って言う,

4つの学生歌が引用されていて,

それらと自作の主題が有機的に絡み合いながら展開されていきます。

ブラームス自身は

 学生の酔いどれ歌のひどくがさつなメドレー

と毒を吐いていますが,

親しみやすいメロディーに彩られ,

対位法や主題の変奏などの高度な技術を駆使した佳作と言えますね。

あ,

僕は大した曲だとは思ってないが…。


ちなみに,

僕は大学オケの定演で弾いた事があるんだけど,
(6年目の春だったかな?)

"2度と弾きたくない作品"の1つです笑。

だって難しかったんだもん笑。

こんなんとか,



こんなんとか,



こんなんとか,



ホント勘弁して欲しい。

音が高いの苦手なんよ涙。

あーあと,

忘れもしない。

合奏のときにさ,

上記の部分を1stヴァイオリンだけプルトごとに弾かされたんだよな怒。
(プルトって1つの譜面台を共有する2人の事ね)

パート練じゃないんだから怒。


そんなこんなで,

それほど愛聴している曲ではないし,

あまりいい思い出もないんだが,

朝比奈/新日本フィルの録音を聴いたときだけ

 名作かも…

って思っちゃうんだよね。



「祖国の父」における心に沁み込むような音色,

「そこの丘から何が来た」における独特のリズム感

なども然る事ながら,

全体的に音楽の懐が大きいんですね。

安心して身を任せられる。

コーダなんか聴きながら涙が出そうになっちゃうのよ。

こんな曲で,だぜ?

まさに作品が得をしている。

ザ・名演の鑑。



参考
ブラームス:大学祝典序曲
朝比奈指揮新日本フィル
1988年録音,ライブ
[SML]

"頭から消え去れ!木梨憲武!"は面白いやろ笑

2025-03-26 00:56:37 | 音楽鑑賞日記
大学の卒業式シーズンですね。



んー,

大学時代の僕にとって,

"卒業"ほど憧れに満ちた言葉はなかった笑。

ほら,

縁遠かったから笑。

ただ,

毎年,卒業式には参加してました笑。

オケの演奏のコーナーがあったんで,

ソレに出演してたってわけ。

確か当時は仙台市体育館で行われてましたね。
(今は違うみたい)

地下鉄の終点たる富沢にあった。

あ,

今で言う南北線の終点ね。

僕が仙台を離れた後,

仙台の地下鉄には東西線ができてるらしいから笑。

んで,

オケはステージ前のスペースで演奏します。



これは入学式の動画から持ってきた画像だが,
(僕も参加してた時代のヤツ)

見てわかるように学生席とは目と鼻の先。

うん,

4年目(3年生)の卒業式のときにさ,

1stヴァイオリンの表の席だったのよ。
(1番外側)

始まる前にチラッと学生席を見たら,

すぐ近くに学部の友人たちが…。

めっちゃ気まずかった笑。


ちなみに,

卒業式や入学式で演奏する曲目と言えば,

ワーグナーの『マイスタージンガー』前奏曲か,

エルガーの『威風堂々』行進曲と相場が決まっていました。

んー,

『マイスタージンガー』はまだいいとして,

エルガーと言ったらバカの1つ覚えみたいに『威風堂々』ばかりなの,

なんとかならんのかね笑。

交響曲とか,

『エニグマ変奏曲』とか,

弦楽セレナーデとか,

ヴァイオリン協奏曲とか,
(参照はこちら

チェロ協奏曲とか,
(激ヤバ!)

他にも山ほど傑作があるのに…。

おっと,

脱線してしまった。

この『威風堂々』ってのは,

イギリスの作曲家エルガーによる管弦楽のための行進曲で,

全部で6作あるんだが,
(第6番のみ未完のため他人の補筆)

一般的に知られているのは第1番。

中間部に出てくるメロディが有名なんです。

イギリスでは『希望と栄光の国』と呼ばれ,

"第二の国歌"として愛されているみたい。

ただ,

日本では

 来~て来てあたし~ンち~

かも…笑。



いや,

味の素の中華「Cook Do」のCMを思い出す人もいる?
(今の若い人は知らんか…)



練習中,指揮者の先生が

 頭から消え去れ!

 木梨憲武!

とおっしゃっていたのが懐かしい笑。


とりあえず,

好きな人がいたら申し訳ないんだが,

僕は下らない作品だと思います。

聴くだけ時間のムダ。

てか,

弾くのもつまらなかった気が…。

有名なメロディの部分,



1stヴァイオリン(上段)ですら面白くないんだもん笑。

ましてや2ndヴァイオリン(下段)など煮ても焼いても食えぬレベル笑。

いや,

僕って伴奏をノリノリで弾けるタイプなんよ。
(それについてはいずれ記事に…)

1stより2ndやヴィオラを愛している。

その僕でもコレはお手上げのつまらなさ。

あ,

1stのこの部分だけ,



巧く弾けると気持ち良かったかも。

一瞬の出来事だが…笑。


んー,

そんな曲なんだけど,

 クナッパーツブッシュが指揮してくれてたら…

って思いはあります。



あの怪物指揮者なら,

冒頭から滅茶苦茶なスケールの音響で始めて,

続くメロディも遅いテンポで地の底まで響くように奏されたに違いない。

そして,

有名な『希望と栄光の国』の深遠さたるや…。

想像するだけでヨダレが出る笑。
(無い物ねだり)

確実に作品の価値が上がっていたはず…。

んー,

いつか自分で実現したい笑。

と言うわけで,

今宵はボールト/ロンドン・フィルで我慢。

ちょっと渋いが,

実にノーブルですね。

おっと,

バルビローリ/フィルハーモニア管も忘れてはいけなかった。

あーあと,

エルガーって自作自演の録音も残しています。

まぁ,

この『威風堂々』は記録以上の価値はないと思うが…。



参考
エルガー:『威風堂々』行進曲第1番ニ長調
ボールト指揮ロンドン・フィル
1976年録音
[EMI]