クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

マーラーの交響曲第5番嬰ハ短調 カラヤン/ベルリン・フィル

2007年04月11日 05時30分28秒 | 交響曲
年度初めの業務はだいぶ落ち着いてきましたが、峠を越えるのはまだのようです。
毎年のこととはいえ、ホンマにこの時期は忙しいですなぁ。

さて、今日はマーラーの交響曲第5番嬰ハ短調。
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルの演奏。
1973年2月、ダーレムのイエス・キリスト教会での録音。DG盤。
こののち、BPOの録音はフィルハーモニーが殆どになったので、この録音は、イエス・キリスト教会最後期の録音になると思う。

カラヤンが作り上げる、耽美派のマーラー。
磨きに磨き上げた美音が洪水のように迫ってくる、スゴイ演奏。
マーラー独特のグロテスクさやドロドロした情念からは遠く離れた演奏であって、やや人工的な感もある。
とにかく徹底して美しさを追求した演奏と思う。えげつないマーラーはよくあるが、カラヤンはえげつなさから遠いところにいる。

第1楽章冒頭のトランペットが惚れ惚れするほど美しい。音も大きいが、音色も美しい。その後のフルオケの爆風は凄まじい。BPOが完璧なバランスで鳴っている。

第2楽章は抑制のきいた表現。旋律豊かに歌い、マーラー的な激情は薄い感じ。旋律が美しく歌われるので、ふと郷愁を誘われるような感じもある。ここでも楽器が見事な調和で鳴っていて、幻想曲風な演奏に聞こえる。

第3楽章のスケルツォは、この曲の核心。
交響曲の歴史の中で長い間諧謔曲であったスケルツォは、マーラーのこの第5交響曲で、ついに交響曲の中心に成長したと思うのだが、カラヤン/BPOの演奏を聴いていると、そのことを強く実感する。美しく、はかなく、意味深い演奏。
カラヤンのコントロールが行き届いている感じ。オケが有機体のように、瞬間瞬間にその音色を変えてゆくのがスゴイ。無数の色やかたちに変化する音の万華鏡。
ソロのホルンは抜群の巧さ。それに絡むトランペットなどの管楽器も安定感があって、聴きごたえあり。

第4楽章は凄絶な美しさに貫かれたアダージェット。カラヤンの耽美派の面目躍如。これほど美しいアダージェットとなると・・・・・対抗しうる演奏は、そうは思いつかないぞい。

終楽章もBPOの巧さを堪能できるが、その響きに酔いながら、ふと、この演奏がR・シュトラウスの管弦楽曲に近いところにあると思った。マーラーが後期ロマン派であって、その世界にはR・シュトラウスがいることを、改めて気づかされるような演奏。
思えば、カラヤンはR・シュトラウスの名手であった。


録音から35年。アナログ全盛期の、素晴らしい録音。
イエス・キリスト教会での録音が効いていて、残響も豊かだし広がりも大きい。
のちの、フィルハーモニーでのカラヤン/BPOの録音が平板的で、低域がモコモコしたり、音がかぶるようなところがあるのに比べて、これは上々の音がします。
良い録音だと思います。




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