クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

モーツァルトの交響曲第40番 ト短調 K.550 ワルター/コロンビア響

2007年04月03日 05時17分27秒 | 交響曲
黄砂が降りました。石鎚山が黄砂で霞むのは久しぶりです。
今年は多いようです。

さて、今日は昔話を一つ。

昔、LP全盛期のレコード屋は、透明の箱に沢山のレコードを放り込んであって(クラシック音楽ならジャンル別にしてあった)、ボクらはそれを「エサ箱」と称していたのだが、1枚1枚ジャケットを眺めながら、タスキの文字を確認しつつ、目当てのレコードや掘り出し物を探したものだった。

学生の頃は特にビンボーだったので、何時間もエサ箱を漁りつつ、でも結局1枚程度しか買う金がなく、だからこそ選ぶのは必死であって(何しろ数日昼飯を抜いて、そのカネで買うのだからハングリー精神は文字通り旺盛であった)、ジャケット裏のライナーなども丁寧に読んでから買うのだった(尤も、タスキが邪魔してライナー全てを読むことは出来なかったが)。

ジャケットの絵や写真が良いと、演奏も当然良いものだろうという、妙な先入観があったが、でもその感覚はだいたい合っていたと思う。良いジャケットは演奏もイイ。あまり外れたことはないような気がする。

今日のLPもそんな1枚。
ただし、これは僕が買う以前から評価が確立していた、ド定盤でありますが。

モーツァルトの交響曲第40番 ト短調 K.550。
ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団の演奏。
1959年1月の録音。CBSソニーのLP盤。

僕が購入した頃は、「哀しみのシンフォニー」と呼ばれていた(シルヴィ・バルタンが歌っていたからか)。今はどうなのだろう。
ワルターのは、「微笑みと哀しみのシンフォニー」といったところか。

流麗でやさしいレガート。適度なポルタメントが郷愁や暖かさを漂わせて、穏やかに聴き手を包んでくる。この柔らかさは格別。
テンポは中庸。現代の演奏と比較すると遅めになるのだろうが、僕にはこのくらいの方が肌に合う。

第1楽章の柔らかさ。羽毛の軽さとでも云うべきか。軽く柔らかく、暖かく浮遊する音楽のようで、慈しみに溢れている。
第2楽章は木管の扱いが巧く、音楽全体が静かで穏やかな表情。その中に優しい微笑みがある。これぞワルターと云いたいくらい。
第3楽章は決然としたメヌエット。劇的なところもあるが、それが激情のようにならないのがワルターであって、優雅な表情はたまらない魅力。
そして、終楽章哀しみ。迸る感情が、ワルターの優しさに包まれて上品に響く。

録音も上々。LPの音はさすがに古びてきましたが、CDは結構イケます。
48年前の録音としては、素晴らしいものと思えます。
もっとも、演奏が素晴らしいので録音の古さなど、どうでもイイのですが。

ああ、故郷に帰ったような気分になるモーツァルト。
昔々、クラシック音楽を聴き始めた頃の、原点を思い出させてくれます。




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