クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

内田光子/ザンデルリンク ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番ハ短調

2005年08月29日 04時58分45秒 | 協奏曲
朝夕の涼しさ、いよいよ「秋」ですね。

最近の目覚めは、蝉の声ではなく、もっぱらコオロギです。
田舎の生活の良さは、この自然の音を聴けることかもしれません。
初夏はカエル、真夏はセミ、初秋はコオロギ・・・・・(^^ゞ・・・・。


今日は内田光子のピアノでベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番ハ短調。
管弦楽は老巨匠クルト・ザンデルリンク指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管。
内田光子の完成したベートーヴェンピアノ協奏曲全集からの1枚。オケはRCOとバイエルン放送響だった。

第1楽章は、ベートーヴェン得意のアレグロ・コン・ブリオ。オーケストラの雄大な演奏が冒頭から楽しめる。この曲、なかなかピアノが登場しないのだが、それまでの間の管弦楽がスゴイ。雄弁でスケール大きく、ゆったりと豪快。堂々の行進。王者の風格。
ザンデルリンクのテンポは加齢とともに遅くなって、いまや我が道を行っている感じ。コンセルトヘボウ管の音は、1980年代に比べて少しきつくなったような感じ。もう少し暗く、木質で、柔らかかった音だったが、録音のせいか、すこし明るくきつめに感じる。
そして、ピアノの登場。内田もマイペース。管弦楽との対話を楽しむより、自分の思いの丈を吐露してゆく感じ。オケには「ついてこい」、とでも言っているかのようだが、だからこそ指揮に老巨匠が選ばれたのかな?コンセルトヘボウ管は巧い。
ピアノの音色は、いつもの内田の音。透明感が半端じゃなく透きとおっていて、細く張りがあって、ニュアンス豊かな音。
内田には専属の調律師がついていて、独特の調律らしいのだが耳が悪くよく分からない(^^ゞ。ライナー・ノートにもそれっぽいことが書いてあるらしいのだが、輸入盤のため英語分からず(^^ゞ。

第2楽章、冒頭からデリカシーに満ちた内田のピアノが美しい。ためらうように、夢見るように、秘かな声で、でもピアノの音色はくっきりとして美しく響く。管弦楽も弱音器をつけていて、深い抒情を漂わせる。ゆったり、遅いテンポ。時間が止まってしまうのではないかとさえ思わせる深い息づかい。内田のロマン的心情が伝わってくる演奏。恍惚として弾いているのが、聴き手に「見えてくる」演奏。オーケストラの音も非常に美しいが、楽団員みんな内田についていくのに必死だったのじゃないかと思わせる緊張感あり。

第3楽章のロンド。ベートーヴェンの5曲のピアノ協奏曲の中では、最も面白くない楽章だとボクは思っているのだが、内田とザンデルリンク(ヘボウ管)とのやりとり・掛け合いが結構楽しめるので、面白く聴けた。ハ短調だが、内田のピアノは華麗に舞う。調性を忘れてしまう華やかさ。オーケストラは好調。この楽章が一番イイ音してる。


この全集、HMVで2800円ほど。輸入盤の廉価盤です。
内田の最新のベートーヴェンが3000円以下で買えてしまうこの時代。
内田のピアノについては、好みは分かれるかもしれませんが、この安さは「買い」だと思います。4番も5番「皇帝」も、さらにスゴイ名演でもありますしね^^。



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