農大現代視覚文化研究会

「げんしけん」の荻上と「もやしもん」のオリゼーを探求するブログ

「五年生」をさらにまたまた読み解く

2006年06月03日 01時18分55秒 | げんしけん以前
今回も前回の訂正から。

3巻の1年次6月の飲み会に河合くんがいると書いたが、168ページでアキオが知らないって事は、会ったこと無いって事じゃん。しくー。しかし、河合くんもそうだが、柚子原さんと、アキオの元カノ(3巻144、149ページで話していた)を出さないのは、何を意図しているのか。

追加事項。木尾士目って夢枕獏に影響受けてないか? 具体的にどこかっつーと、いろいろあるのに今ちょっと思い出せないんだが、1つだけ確実なのは、1巻17ページで、芳乃さんがアキオをひっぱたいて、アキオの脳が揺さぶられてぐらキーンと来るシーン。これ、飢狼伝とかで、アゴを横に払うと首を軸に脳が揺さぶられて失神するってアレじゃん(板垣恵介もよく使っている)。この件についてはもうちょっとよく読もう。


えーと、4巻の22話から再開。げんしけんで謎擬音として使われていた「がふがふ」が、五年生で既に使われてるのよね。ところでテレビの横に積んであるのガンプラ?

吉村さんとバトル開始。東京で就職しないのは、東京で変わってしまった芳乃さんを忌避する心と、問題あったかもしれないけどまぁうまくやってた木更津に未練があるって事を説明している、でいいのかね? んで吉村さんなんだけど、彼女は一言で言うと「欺瞞を見抜く目」を持っている。突然何をと思うが、「口は災いの元」という諺に注目してほしい。3巻のラブホシーンで、芳乃さんが欺瞞を暴かれて怯えていたが、欺瞞をバッチリ指摘すると、問題が表面化してしまうのである。隠蔽してだましだましやり過ごしていた問題が表面化してしまう。元々問題はそこにあった筈なのだが、それが表面化して本当の問題になってしまった責任は、実は欺瞞を見抜いた者に押し付けられてしまうのである。例は3巻90ページの芳乃さん。芳乃さんは気付いただけで迫害されたが、吉村さんは欺瞞を指摘せずにはいられない人なのではないか。その思いが117ページで述べられていると考えられる。

もう1つ例を挙げよう。「陽炎日記」の208ページ。「点の領域」の圭太は「欺瞞を見抜くと口にせずにはいられない男」である。まぁあれじゃまともな生活はできんね。ところで問題なのは、木尾士目デビュー作品であり、しかも自分でこの作品は「妄想」と書いているように(236ページ)、実はこの作品「俺(木尾士目)に落ちモノ少女(うる星とか女神さま)が発生した場合、どんな女で、どんな反応をするのか?」という妄想(シミュレーション)じゃねーの?」という疑念が沸く。て事ぁ可能性として(1)このタイプの人間である(2)弟キャラ(キャラて)である(3)中だしして責任取りたくねーと思っている、ごめんうそ、避妊しなくても責任の取れる相手、つまり奥さんが欲しいと思っている(4)未定(ぉぃ)。問題なのは、このうちどれが木尾士目で、それが友人の投影なんだ(237ページ参照)って事。まぁ「陽炎日記」収録作品についてはまた後日詳しく分析する。

吉村さんの話だったな。「欺瞞を見抜けて、放置すれば問題が悪化するとわかっていて、しかも問題を指摘すれば恨まれるとわかって、それでいて放置せずにはいられない」人である。しかもそれを自分で知っている。117~122ページね。123ページ以降は、ヨシオが自分の同類なんじゃないかってゆー確認かなぁ。実はこれは分析じゃなくて直感なんだけど。「島くんはそういう事分かってるかと思ってね」。がクサいんだよなぁ。これで吉村さんが確認する事は全部。いきなりみかんモードに突入。

23話前半は説明できねぇ。なんか詰め込めるだけ詰め込んどけって感じで。んで、アキオが欺瞞を続けるなら攻めるが、本心で話すとあっさり引く吉村さん。その後、アキオが「電話あんじゃねーとか」「元戻れるかもとか」言っているが、実はこれらを拒否し続けていたのはアキオの方だというのに注目。「自分で選択の余地を無くしてきたんだ」よな。

おっぱいについて考える。例によってミもフタも無い事を言うが、男は女のおっぱいが好きである。「何故か」。単純に言って、男が持ってないからである。あんなにやわらかくて、美しいものを男は持っていない。思わず欲しくなってしまう。男のデブの事は忘れろ。同様に、女は女で、男のアレを持ってないので、思わず欲しくなってしまと思われる。おれ女じゃないから実感できないけど。女でも語弊があって認めないと思うけど。いずれにせよ無意識の話だから考えても仕方ないけど。ここで問題なのは、女のおっぱいはそれだけで完成した存在だが、男のアレは「たつよね」したものでないと、需要が落ちてしまうのであった。他には、世の中の男にはおっぱい派とおしり派がいるのは何故かという問題があるが、あれは、おっぱいに対して需要が少ない層がおしりに流れているのではないかと考えられ、荻ラブの絵板で、笹原くんがおしり派と捉えられているのは何故かを考えると、オギーが微乳である事を含めて、見えてくるものがあるような気がするんだがまだわからぬ。

閑話(なのか)休題。「上だけで済む訳ねーだろ」てのが「陽炎日記2」の「優しく抱き竦められたら」「抵抗できない女の性を」「知っていたはずだ……」を彷彿とさせる(のか?)。あっちは女性でこっちは男性だが、一定レベルを超えると抵抗できない点では同じ。その後の吉村さんの唇が怖いのは、いったいどこまで意図してやってるかが不明な点だ。もちろん吉村さんほどの心と体なら、意図的に男を自分に愛させるなんて簡単なんだろう。そこが魔女か。こえーぜ。

というわけで吉村さんに溺れるアキオ。それは置いといて、先に長谷川奥さんvs芳乃さん。長谷川奥さんの罪悪感は、もちろん自分の家系に難聴の……なんとかがある事。もちろん本人に責任は無いけど、息子や旦那が散々苦労した(であろう)事を考えると、誰かを責めずにはいられない。もちろん相手はその息子を作った自分しかいない。劣性遺伝がどうこう言ったって、現実に何も解決できない以上、科学は何の役にも立たない。それを踏まえて、踏まえなくてもいいけど、芳乃さんは何度も長谷川さんを愛してもメリット無いし、全く根拠が無いと理性で押さえ込もうとしているが、結局無意識では河合くんに罪悪感を感じているので、いくら口で否定しても、葛藤が深まるだけで、何も解決しません。むしろ悪化します。てゆうか長谷川さんも、芳乃さんが自分の事を好きだと知っているにも関わらず、自分の息子に友達を作ってあげたいという下心が、無意識で芳乃さんを自分に縛り付けておこうとしたわけだ。それが芳乃さんと長谷川奥さんを傷つける結果になってるのにねぇ。やはり親は息子の事が、妻より、愛人より好きなんかねぇ。親、と一般化せずに長谷川さんは、と特定しておくか。

長谷川奥さんの「長谷川に誘われれば~」は、芳乃さんを責めていると言うより、旦那の方を疑っている。「あの人が何を考えているのか分からない」?も自分の本心だろう。後輩ズの時は4人が4人をどう思っているかだったが、この場合は3人が3人のそれぞれを、表面上それぞれどう思っているかと、無意識ではどう思っているか。複雑に交錯している、と書いてみたらこの回のサブタイトルが「交錯」じゃねぇか。ビンゴか。奥さんが芳乃さんを刺そうとしているのは、どう見ても旦那を殺したい代償です。本当にありがとうございました。だって本当にお茶しただけ、自分から連絡を取ってない、長谷川さんと会うことによって苦しんでいる芳乃さんを殺すメリットがありますか? ありません。つまり、旦那を殺したいほど憎んでいる本心を欺瞞して、芳乃さんを殺せば、旦那を憎む原因そのものが無くなるので、本人としては辻褄が合うんでしょう。それでぬっ殺される芳乃さんはいい迷惑と言えましょう。この解釈微妙に間違ってるような気がしますが、概ね正しい筈です。

んで解答編。先に25話の後半から解説。事情は知らんが隆行くんが言葉を取り戻したらしい。状況を想像すると、隆行くんの前で芳乃さんと電話していた奥さん。奥さんは隆行くんが聞こえてないと思ってたんだが、隆行くんは聞いていた。耳で聞いていたのか、で聞いていたのかはわからない。そこで長谷川さんが帰宅。恐らく包丁を持ち出す所を見ていたのだろう。その因果関係が分かれば、長谷川さんに言わないとヤバイと思った瞬間に、言葉を取り戻した、と考えられるが、これはもう想像するしかない。となると、奥さんの呪縛の主原因は昇華されたと判断できる。耳が聞こえないために友達がいないであろう隆行くんに友達を作ってあげたいという長谷川さんも、隆行くんが言葉を取り戻せば欺瞞をする必要が無く、芳乃さんに本心が言える。芳乃さんも長谷川さんの欺瞞を知れば、長谷川さんが自分を愛していない事を確認できれば、葛藤から開放されるし、奥さんも芳乃さんと旦那を憎む必要が無くなる。33ページで芳乃さんが自分の手を見つめているのは、傷を見ているのではなく、自分の手が自律神経失調症で震えていない事を確認していると思われる。交錯した感情が、主原因である隆行くんの言葉の回復によって、一発で解消されたのである。ただ、しかし、長谷川さんに会う前から存在していた、芳乃さんの河合くんに対する罪悪感は消失していない。よってまだ物語は終わっていない。

25話前半に戻る。実はこの「言葉」についてはよくわからない。「言葉は信じるか信じないかじゃない」「有力か無力かだ」「だから今私は一言も話すものか!」が、結果的にその通りだが、何故芳乃さんがこの結論に達したのか、同様の経験をした事のないすっとこさんには全くわからない、のである。多分この種の経験をした人間なら、理論的にではなくとも、直感で理解できる事を理解できる筈なんだろうが、全くわからないすっとこさんには、全く理解ができない。これについてはお手上げだ。もちろんヒントは芳乃さんとアキオの会話の中に隠されているんだろうが、何度読んでもわからない。

 また長くなったのでこれにて続く。吉村さん×アキオの分析がまた長くなるだろうなー。

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