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負け犬戦法

2005-08-29 11:31:22 | Weblog
まず最初に負けを認める。すると、世の中の一般原理によって、その人は弱者の側に立つことを許される。というよりも少なくとも弱者として語ることを許される。

弱者は「我々は利用者なのだから~~を使う権利がある『べき』だ」と主張する。ここで重要なのは、「べき」という部分だ。そんなことが規約上ありえないとしても、人々は「べき」という言葉を使う。そして、その主張が誤っていることをこちらがきっちり説明しようとすると次はこう来る。「いやいや我々負け犬がそんなことを言ったって理解できるわけないでしょ。いいからやれ」

不思議なことに、「負け犬ですよ」と言った人間がときとしてもっとも強い格付けを得るのだ。例えば、掲示板上で「初心者」と言えば誰でも何でも教えてくれると思っている人はいまだに少なくない。特に管理者が個人規模でやっている小~中規模の掲示板ではこういう問題はいつでも起き得る。色々と説明して「ここで聞くのは間違いですよ」と諭そうとすれば上の負け犬戦法が炸裂する。「初心者にそんなことを言っても意味ないですよ。いいから教えなさい」

上のようなトラブルに見舞われた人は「連中、そもそもこちらの話を聞いていない」と嘆くことが多い。確かに聞いていないのだが、彼らからするとそれは極めて正しい行動なのだ。説明は「負け犬だから」で通る。すでに負けた奴を攻撃してどうするよ、ということだ。試合終了後はそっとしておいてやれ。

これは理由としては全く論理的ではないが、日本の慣習上極めて強力な説明にはなる。何せ大方の人は論理的であることより感情的な別の何かを選ぶのだ。論理的である必要がどこにあるのか?多くの人が正しいと思ってしまえば大方の人はそれに流れる。民主主義とでも言うのか。

上の話だけなら「負け犬ならごちゃごちゃ言わずにとっとと家に帰って寝ろ」という主張が通りそうなものだが、ここでもうひとつ余計なものがある。特に日本の文化は「弱い者には弱い者相応の権利しかない」という考えを受け入れない傾向が強い。つまり、弱かろうが強かろうがおなじ権利を持つという妙な価値観があるように思えるのだ。特に提供者から見た場合の弱者側の利用者にその意識が強い。社会主義的というのだろうか。

さきほどの話と総合すれば、負け犬は負けているので攻撃を食らわず、
しかもなんでもかんでも主張する権利は持っていることになる。
負け犬戦法とは、負けたことを主張することで後はなんでもありという
戦い方のことを言う。

上記の話の反対側の極端には「金を払わなければ何もさせない」といった方向性がある。これはこれでまずいこともある。金のある人間は金のない人間をコントロールできるようになるから、一度天秤が傾けば戻ってくることがなくなる。だから、上の方向性を全く否定して逆方向に走るのも危険であることは間違いがない。しかし、正反対が最悪だからこちらがよいということにはまるでならないのも事実だ。今の状況だって見方によれば最悪だし、しかも論理的に負けているのはこちら側の極端である。一応理系の私がそんな状態を望むわきゃない。

と、そこら中でやられていそうな話を書いてみた。「負け犬戦法」なんて名前じゃなくて、もっと一般的な名称がありそうなもんだけどな。

「負け犬戦法」の回避方法として、私は極めて限定的だが次の方法を使うことが多い。まず勝ち負けに類する格付けを一切排除する環境を作る。これは例えばこんな感じだ:「ここにいる人はよく訓練された負け犬です。訓練されていない負け犬さんはさよならです」。意味不明と思うかも知れないが、これは理屈としては強い。相手が「負け犬」戦法を使うのだから「そのレイヤーでは我々も負け犬ですよ」とまず主張する。すると、相手の優位性を潰せる。そして「我々はあなたより(別の方向性では)強い負け犬なのです」と言う。論理的にはおかしくて、正しく解釈すればこれは意味のない言明なのだが、負け犬戦法を使う人がそれに気づけたとすると、そもそも自分の主張がおかしいことにも気づけるくらいの頭があると言うことになる。つまり意図的に悪意をもって負け犬戦法を使っている人のみ、上の謎な言明の正体に気づくのだ。そこを相手がついてきたとすれば、こちらはこう返せばよい。「おお、そこまで分かってるのなら弱い僕らをいじめるのはやめてとっとと帰りなさい」。「逆負け犬戦法」とでも呼ぼうか。

「ボランティアとして組織された集団には『負け犬戦法』が効きにくい」という法則を私は信じている。「逆負け犬戦法」はそれを抽出しようとした試みのひとつである。

と言いつつ、多分「逆負け犬戦法」にも別の名前がある気がするのだよな。
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1 コメント

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よく考えたら (もわ)
2005-08-29 14:44:31
「逆負け犬戦法」を「使った」ことはほとんどないのか……。

正しくは、「うまくいったケースでその戦法の変化形が使われているところをよく見る」。

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