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モウズイカの裏庭2

秋田在・リタイア老人の花と山歩きの記録です。

シラネアオイとサンカヨウ

2022年01月29日 | 高山植物

シラネアオイとサンカヨウは秋田のような北国では低山でもふつうに見かける。
けっして高山植物とは言えない。

しかし登山を再開したばかりの2013年6月、森吉山(1454m)に登ろうと思い、
ゴンドラを下りた途端に見た花風景に驚いてしまった。
森吉山のゴンドラ上駅の標高は約1180m。アオモリトドマツが疎らに茂る一帯なので、
一応、亜高山帯だが、そこには無数のシラネアオイが咲き乱れていた。

低山でも咲いているが、亜高山帯のシラネアオイは凄いと思った。
というわけなので、今回は高山植物のカテゴリーで扱うこととした。

2013/06/16 森吉山ゴンドラ上駅付近のシラネアオイ群生。



2013/06/16 森吉山ゴンドラ上駅付近のシラネアオイ群生。



登山道を歩き出しても、道の両側にシラネアオイが延々と咲き続けていた。

2016/06/05 森吉山石森登山道沿いのシラネアオイ街道。 



この山のシラネアオイは株がでかい。




この道を「シラネアオイ街道」とでも呼ぼうかと思った。


シラネアオイは隣の八幡平にも多かった。下の写真は、ここ数年で見た中では最大の株だ。

2018/06/18 八幡平源太ヶ岳のシラネアオイ大株



ウィキペディアによると、
『シラネアオイ(白根葵、学名:Glaucidium palmatum )は、
キンポウゲ科(シラネアオイ科として分けることも多い)シラネアオイ属の多年草。

深山の植物。日本固有種の1属1種である。
北海道から本州中北部の日本海側にかけての山地帯と亜高山帯のやや湿り気のあるところに分布している。
高さは20-30 cm。
花期は5-7月頃。花弁はなく、7 cmほどの淡い紫色の大きな萼片が4枚あり、美しい姿をしている。
和名は、日光白根山に多く、花がタチアオイに似ることからシラネアオイ(白根葵)と名づけられた。
別名で「山芙蓉(やまふよう)」、「春芙蓉(はるふよう)」ともいう。 
本種は1属1種のシラネアオイ科としてキンポウゲ科から分離することもあり(ダールグレン体系など)、
かつてキンポウゲ科に含められていたボタン科(現在では別系統と見るのが定説)に近縁とする説もあった。
しかし分子系統解析によれば、北米に分布するヒドラスチス属Hydrastis:これも1属1種のヒドラスチス科 Hydrastidaceaeとする説がある)
とともにキンポウゲ科から初期に分岐したと考えられ、系統的にはキンポウゲ科に含めるのが適切である。』
とあった(一部略)。
「高さは20-30 cm」とあるが、写真からもお分かりの通り、亜高山帯でも、30-80cmと大型だ。

花弁(厳密には萼片)の形は、先のとがったものも丸っこいものもある。

2011/05/19 大館市長根山にて。剣咲きタイプ。            2018/06/23 焼石岳にて。丸弁タイプ。
 


花色は薄い紫が一般的だが、まれに純白や濃色も見かける。

2021/05/04 男鹿毛無山にて。白花。                 2013/06/16 森吉山にて。濃色のタイプ。
 



2021/04/21 男鹿毛無山にて。紅味の強いタイプ。



花が終わると、大きな袋果をつける。

2013/08/03 森吉山にて。シラネアオイの袋果。            2019/11/10 男鹿毛無山にて。乾燥した袋果。
 


シラネアオイは日本海側の山に多い植物と思っていたが、太平洋側の岩手山にも多かった。
ここでは山麓から標高1700m付近の高所まで広く生育している。
もしかしたら日本一(日本固有種なので、世界一)、シラネアオイが多い山かもしれない。

特に北側の焼走りコースではコマクサ群生地の上、ダケカンバ林の中に群生しているのには驚いた。

2018/07/02 岩手山ツルハシ上部にて。シラネアオイ群生。



岩手山ではシラネアオイとサンカヨウがあちこちで混生していた。

2018/07/02 岩手山にて。シラネアオイとサンカヨウの群生。      2018/07/02 岩手山にて。サンカヨウとシラネアオイ。
 



サンカヨウの花は白く、メギ科の植物だが、
葉や草姿がどこかしらシラネアオイに似た雰囲気を持っているように感じている。

改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、
『サンカヨウ Diphylleia grayi は、高さ30-60cm、茎や葉に縮れた毛が生える。
二個の茎葉のうち、下の葉は腎円形、長さ20-30cm、幅30-35cm、
不揃いな欠刻状鋸歯があり、上端と基部は湾入し、長い葉柄に盾状につく。
上の葉は下のものと形は似ているが、小さく、ほとんど無柄で、湾入した基部で茎につき、盾状にならない。
5-7月頃、白色で径約2cmの花を3-10個つける。
液果は楕円形、長さ10-13mm、藍色で白粉をおびる。南千島、北海道、本州、サハリンの温帯から亜寒帯にかけて、
落葉広葉樹林または針葉樹林の林床に生える。果実は甘酸っぱく食べられる。
なおサンカヨウ属は北アメリカ東部と東アジアの主として温帯に、それぞれ1種と2種が離れて分布している。』
とあった(一部追加記入)。

2021/06/07 三ツ石山にて。



この植物はある特殊才能というか芸を持っており、最近、それが話題になっている。

それは雨に濡れると花びらが白から透明に変わることだ。
私もそのシーンを狙っているのだが、完全透明には出会えないでいる。
理由は簡単。雨の日は山に行かないからだ。

2019/05/07 房住山にて。サンカヨウの透明化現象。



2017/05/22 八幡平にて。サンカヨウとニリンソウ。



サンカヨウは芽出しの姿も可愛らしい。

2019/05/22 八塩山にて。サンカヨウの芽出し。            2013/08/02 八幡平にて。サンカヨウの実。
 



実は食用になるとも言われるが、けっして美味いものではない。
無理に食べる必要は無いと思う。

以上。


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8 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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シラネアオイ (kei)
2022-01-29 20:42:55
私も,何年か前に森吉山に登った時、森吉山ゴンドラ上駅付近でシラネアオイの群生を見て、とてもびっくりしたことを思い出しました。
こんなに簡単に見ることが出来るなんて・・・と、この先どんな山野草との出会いがあるのか、ワクワクしながら登ったことがつい最近のようです。
返信する
keiさんへ。 (モウズイカ)
2022-01-29 20:49:02
コメントありがとうございます。
森吉山はkeiさんも行かれたんですね。
年により少し波があるようですが、2013年に行ったときはホント驚きました。
その後、岩手山でもっと凄い群生に遭遇しましたが、
こちらは難儀な山なのでまた行けるかどうか。
四月半ばになれば、男鹿でもいっぱい咲きます。
雪解けが待ち遠しいです。
返信する
コメントありがとうございます (気ままなピークハンターズの山旅)
2022-01-30 22:25:31
モウズイカの裏庭2さんへ
当ブログ気ままなピークハンターズの山旅
白銀の美ヶ原絶景記事へのコメントありがとうございます
いつも当ブログ掲載記事御覧頂き大変嬉しく思っております 変なウイルス蔓延で外出もままならない状況が続いております つい以前撮りためた画像記事が中心になってしまいます
森吉山のシラネアオイ群生一度は見てみたい美しさ
ですね 白のシラネアオイも見た事がありませんが
清楚な美しさですね
これからもよろしくお願い致します
気ままなピークハンターズの山旅より
返信する
気ままなピークハンターズの山旅さんへ。 (モウズイカ)
2022-01-31 08:43:24
拙ブログへのコメントありがとうございます。
秋田など北国ではシラネアオイは高山まで行かなくても、低山でも豊富に生えております。
山に入る人のマナーも向上したようで、昔ほど盗掘されることは少なくなりましたが、
珍しい白はいまだに抜かれているようで残念です
(森吉山にもありましたが、すぐ抜かれました。)。
山のものは山に置け蓮華草ならぬ白根葵で行きたいのですが・・・
今後ともよろしくお願い致します。
返信する
シラネアオイ (顎鬚仙人)
2022-02-01 09:28:49
いつも臨場感あふれる写真が素晴らしく、居ながらにして高山の雰囲気を味わいながら楽しませていただいております。
近くの500m前後の山を守備範囲にしていましたが(過去形になってしまいました)、20年以上前の日光白根山では、当時はあまり興味がなかったせいか、シラネアオイはほんの数輪しか見つけられませんでした。
東北の山のスケールの大きなお花畑にはいつもびっくりしています。
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顎鬚仙人さんへ。 (モウズイカ)
2022-02-01 15:13:24
コメントありがとうございます。
シラネアオイは日光白根山で初めて見出されたので、その名がついたと聞きますが、
その場所はこの植物の分布の南限にあたるようです。
東北の北部や北海道では異常なほど多く、
ちょっと山に入るだけでも咲いておりますが、
いかんせん未開の地であったため、それらの地域の名はつきませんでした。
もっと凄い群生地が有るかと思いますが、
今後も東北の山の花風景を続けてまいりますので、
今後ともよろしくお願い申し上げます。
返信する
サンカヨウ・・・ (koji)
2022-03-02 13:54:27
-『かそけきサンカヨウ』は、窪美澄の短編小説、およびそれを原作とする日本映画-
というのを見たときに、あれっ「サンカヨウは植物だよな・・・」と思い、見たのはきっとこの『モウズイカの裏庭2』にちがいないと探したらここにありました。
“かそけき”が分からなくて調べたら「幽き(かそけき)」なのだそうです。そして、それはサンカヨウの透明化現象のことを言っているのだということが分かりました。折しもこのページの写真のように。
本当にこのブログは宝の山です。
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kojiさんへ。 (モウズイカ)
2022-03-02 19:26:23
素敵なコメントありがとうございます。
例年より遅いですが、秋田でもやっと雪解けが始まりました。
最初はマンサクやフクジュソウ、次いでカタクリやイチゲ、エンゴサク、
三番手がシラネアオイとサンカヨウです。
今年はサンカヨウのちゃんとした透明花狙ってみたいですね。
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