Mouton lab

Thai Paris Cairns Chendeu Siem reap

完走者インタビュー

2016-07-30 11:43:35 | Siem reap

7/29(金) 晴れ

ツールド・シェムリアップ 第3ステージ 130km

ラピュタのモデルとなったとも言われるBoeng Mealea遺跡を往復するステージ。暑さに加え、カンボジア特有の砂埃、風をどう克服できるかが、本ステージの鍵となる。

 

「平地での追い込み。それこそが今日のステージの全てだ」

F選手(仮名)は今日のステージが始まる前、私にそう言ってくれた。彼は一昨日の第1ステージ、昨日の第2ステージと徐々に調子を上げてきており、体が仕上がっていることを今回のステージで証明するのだと言う。

昨日までのステージに比べ、格段に距離が伸び、難易度の上がった第3ステージだったが、結果は見事完走。

幸運にも、レース終了後、彼にインタビューを行うことに成功した。

 

完走おめでとうございます。今回のステージはいかがでしたか?

ありがとう。さすがに、疲れたよ。でも最低限完走できて良かったと思ってる。難易度の高いステージだったけど、日々のトレーニングのおかげで乗り切れたよ。行きはずっと向かい風で、ペースを上げすぎないように気をつけたけど、帰りは案の定追い風で、かつ下り基調だったから、思い切って踏めるところは踏んでタイムを稼いだんだ。

今回レースに臨まれるにあたって、どのような対策を行ったのでしょうか?

まず、砂埃対策だね。カンボジアは道があまり整備されていないから、すぐ砂が飛んでくるんだ。だからこのステージに備えてオークリーのサングラスを買ったよ。5ドルだけどね。それから暑さ対策にアンコールワットの刺繍が入った帽子、エサとして後ろポケットに入るサイズのオレオを買ったよ。取り急ぎ揃えたにしては上出来だろ?

ええ、上出来だと思います。困難の連続だったと思いますが、最大の難所はどこだったのでしょうか?

田んぼのど真ん中でひたすら赤土の上を走っていた時は、心が折れそうになったよ。地図なし、看板なし、すれ違うのは牛ばかりだったからね。水を少し含んだラトソルは走っていて重いし、所々陥没していてとても疲れたよ。でも一番きつかったのは、本当にこの道で合っているのか分からない状態が1時間ぐらいずっと続いたことなんだ。「分岐は全部右、最後突き当りを左」という適当な覚え方をしてきた自分の頭の悪さを呪ったよ。

そもそもなぜBoeng Mealeaへ自転車で行こうと思ったのでしょうか?なかなかない選択だと思うのですが。

そうだね。勧誘してくるガイドから「何kmあるとおもってるんだ!?」とドン引きされたよ。「お前はバカか、行けるわけないから、タクシーに乗れ」と。でもそんなこと言われると、余計冒険してみたくなるじゃないか。もちろん、無茶しない範囲でね。

なるほど。それはガイドでなくてもドン引きだと思います。走っている最中は、どんなことを考えているのですか?

ほとんど何も考えていないね。普段あれだけ色々考えているのに、自転車に乗ると、頭が真っ白になるんだ。ずっと音楽がリピートしているよ。ちょうど行きも帰りも学生の集団とすれ違ったから、一体カンボジアの学校はどれぐらいの時間勉強しているのだろうと思った程度だね。

実際Boeng Mealeaに行かれて、どうでしたか?

着いたのが、朝の9時ぐらいだったからね。人がいなくて、静かで神秘的だったよ。それにどこが入口か分からなかったから、直感で森を突き進んでいくと見つかったんだ。あれは感動だったね。チケットを買ったのにチェックもされなかったし。今度場所を教えてあげるよ。

ありがとうございます。最後に一言。

やると決めたことはやらないといけない。自分に嘘をついてはいけない。だからこそ、何を頑張るのかを決めるときは、本気で悩んで考えて、しっかり責任をとる覚悟を持たないといけないと思うんだ。一度決めたら、誰に何を言われようがちゃんとやる。それが当たり前のようにできる大人って案外少ないんだ。その精神を忘れないように、時々こうやって無茶をして色々思い出しながら、これからも戦い続けるよ。

 

今回彼に話を聞き、いかに頭のネジが緩んでいるのかが、よく分かった。まわりに理解されるには時間がかかるし、生きている間は常にアウェイな感じであろう。そのことは彼が一番よく分かっているはずだ。その上で、その生き方を続けようとするのであれば、幾多の困難が待ち受けるに違いない。それを乗り越えることができれば、もしかしたらBigになっているのかもしれない。今後の彼の活躍から目が離せない。

付録として、彼がBoeng Mealeaで収めた写真の内、いくつかを公開する。

 

Q.E.D.


Angkor Cycling

2016-07-29 00:40:59 | Siem reap

シェムリアップ二日目。

この聞き慣れない都市名も、アンコールワットと言い換えれば、通じるだろうか。

そう、カンボジアの国旗にもなっている世界遺産である。

アンコール遺跡群の一部であるため、敷地がクソでかい。

その上、市内からの公共交通機関もないため、運転手をつけて回るのが一般的である。

しかし、私には昨日の借りがある。

そして、チャリのポジションも昨日の段階でしっかり出してある。

(※サドルなどの位置を調整し、固定することを自転車用語でポジションを出すという)

アンコールワットをサイクリングするしかないだろう、これは。

 

という訳で行ってきた。

 

例のごとく、遺跡の感想ではなく、遺跡を回っている間に考えたことをここに記す。

教養についてだ。

 

大人になると、教養の有無が問われる場面が増えてくる。

プレゼンの前置き、得意先との雑談、やんごとなき方々との食事会、近所付き合いだって多分そうだ。

本論と外れた話題で、いかに自分が深みのあって面白い人間かを示せるか。

その武器として、教養は大事だ、と一般的に言われている。

だから本を読みなさいだの、休日も少しは勉強しなさいだの、小学生みたいなことを大人になっても延々言われ続けるわけだ。

 

これに関して、僕は正直どうでもいいと思っている。

あらゆることに関心を持つことは大切だけれど、付け焼刃の教養で通用する相手など結局その程度だし、自己啓発に走る大人は見ていてあまり格好よくない。

そもそも、本を読め、と言われてから読むようでは遅いのである。

何よりどう見ても教養のなさそうな上司からそんなことを言われたら、それはきっと間違っているに違いないと思うではないか。

 

一方で、人生を豊かにする為に、教養は非常に有用だ、ということを今日感じた。

例えば、世界遺産をいかに楽しめるか、という観点である。

文化的素養に着目すると、学校で社会を学んできた人達は大きく”地理派”、”歴史派”に分かれると思う。

もちろん両方やってきた人もいる。

僕は圧倒的”地理派”だ。

だから、地形や気候、言語あるいは宗教などについてはよく分かる。

赤い土を見て「これがラトソルか~」と思ったり、生い茂る木の下を歩きながら「熱帯雨林のおかげで案外涼しいぞ」と感じたりする。

「そろそろスコールが来るからホテルで大人しくしておこう」と意思決定に役立てることもできる。

遺跡に行っても、その立地や質感、宗教などを見て、十分楽しむことができる。

これは高校の時、地理を一生懸命学んできた証であり、その見返りであろう。

何だかんだで一番好きだった科目は地理だ。

しかし一方で、歴史については全く分からない。

どこぞの王朝がいつどうして、その後どこかの偉い人が、これを建てて、、、みたいなことが書かれていても「ふーん、そうなのか」程度の感想しか持てない。

「なぜアンコールワットが世界遺産になったのかを、ちゃんと説明してみろ」と言われても、多分できないだろう。

だからマズいとか、だから悔しいとかそういう訳ではないんだけど、なんだかもったいないなと思ったのだ。

 

「アンコールワット行けたし、楽しかったし、それでオッケー」とはならなくて、「あー、ちゃんと歴史やっとけば、もっと楽しめたのにな」と思ってしまったのだ。

多分、人より少し貪欲なんだろう。

 

高いフランス料理屋さんに行って、美味い美味いと言って食べているだけではいけない、というのとは、ちょっと似ているようで少し違うだろうか。 

いずれにせよ「教養が大切だ」というのは、相手にゴマをすったり、自分の出世のために使ったりする時に有用だ、というような次元の低い話ではない。

最高級のものを味わうための、最低限の準備。

それが教養だと思うのだ。

 

しばらく修行して、また来ます、アンコールワット。

 

 

まずはチケットセンターへ。

さらっと書いてあるが、実はアンコールワットからかなり離れており、行くのに苦労した。

何も考えずアンコールワッへ向かうと、途中で"Ticket Control"と書いたオッサンに止められる。

「俺はTicket Controllerだチケットは?」

「まだ買ってません。ここで買える?」

「ここにはない。あっちだ。遠いぞ」

「あーね」

「片道5kmだぞ。バイクに乗っていけ」

「いや、俺はチャリでいく」

という一幕があり、迷った末にたどり着いた。

わざわざ遠いところで網を張って、捕まえたらタクシーに放り込むという作戦だろう。

合言葉は「I love bicycle」

 

入口。暑い中、大変人気であった。

 

中はかなり広い上に、割と自由に色んなところに入れるので、ここで鬼ごっことかしたら楽しそうだな、とどうでもいいことを考えてしまった。

 

 遺跡の端に色んな店が。こういう暮らしに憧れる。

 

帰り道、野生のサルに遭遇。チャリだとこういうのを拾えるから、良い。

 

 

明日はいよいよラピュタへ向かいます。

Q.E.D.


マヌケなジャップ

2016-07-28 00:17:34 | Siem reap

いよいよカンボジアへやってきた。

今回の旅のメインである。

パタヤからドンムアンへ戻り、そこから飛行機。目的地はアンコールの都、シェムリアップ。

カンボジアは入国にビザの発行(30ドル)が必要で、その際に写真もいるらしい。

というのを出発前の空港で気づいたのだが、パスポートのコピーを適当に切り抜いて、素知らぬ顔で出してみたら、無事通過。

 

空港から出ると、タクシーの呼び込みしかおらず、タクシー一択。

窓口に連れて行かれ、バイタクか車かバンを選べと言われる。

料金はそれぞれ、2ドル、7ドル、10ドル。

ホテルを伝えると、そこは遠いから10ドルと言われる。

おっちゃんについていくと、そこにはクソでかいハイエースが。

やられた。

トランクなし、ハイエース貸切のマヌケなジャップ。

ただ、なんかようやく東南アジアにきた感じがして、ちょっと嬉しかった。

 

しかし、このままでは終われないと思い、チャリで街を散策。

まあまあええチャリ貸してくれるやん。

 

ここからドライバーを一切使わない、なぞの戦いが始まる。