毛津有人の世界

毛津有人です。日々雑感、詩、小説、絵画など始めたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

物欲肉欲の消滅

2025-03-08 06:21:00 | 静物画

どんな対象であれすべてのコレクションというのはやはり病気に相当するものだと思う。阿刀田高さんの『ナポレオン狂』という短編ではナポレオンにまつわるすべてのものをコレクションしている男が一人の訪問者の顔がナポレオンに似ているというので、その頭部を切断して標本に加えるという話があるが、病気も高じるとそうならないとも限らない。僕も5歳から始めたモデルガン収集の総決算として500万円を投資してモデルガンショップを持つまでに至るのだが、今にして思えば病気であったとしか思えない。グアム島へ実弾射撃に出かけ3日間の弾代だけで18万円、実銃を一度は購入所持したという体験を得る目的だけに現地で実銃を購入、3日間それを抱いて寝るという異常神経に至ってはなにおかいわんやである。3日間抱いて寝るだけで決して日本へは持って帰れないものを大枚のお金を払って購入するなんかはまさに気違い沙汰としか言いようがない。さように人間はいったん狂えば何をするか常人には理解できない不思議な生き物である。僕は絵を描き始めてから自分が恋するものをすべて紙の上に写したのでもうそれだけで大満足、現実にその物を所有したいという願望は希薄になっただけでなく、物質を所有することを最も忌み嫌う人間にかわってしまった。これこそは絵画を始めた最大の恩典になっているのだけど、その絵画に夢中になるあまり一向に売れもしない絵をキャンバスに1000枚も描き、この絵を保管する場所がないためにそれを保管するという目的だけのために田舎に一軒家を購入するなどは、やはりあまり健全な考えとは思えない。僕はその見本を見ているから日本に帰ってからはキャンバスには描かず安い画用紙に油絵を描き始めた。これなら場所は取らないし、自分の死後は燃えるゴミに出してもらえば造作なく片付く話である。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

絵画は我執を断つ

2025-03-07 07:44:18 | 静物画

僕は40年ほど前に500万円を投資してモデルガンショップをオープンした。4年後に閉店した時には120万円の現金しか残らなかった。だから380万円の資本が消滅したことになる。それでも4年間好きなことをして生きられたのだから結構というべきかもしれない。世の中には起業はしてみたものの借金まみれになり夜逃げ同然で姿を消す人間もおおいのである。其れに比べればまだましだと言いたいところだけど真実は自分も不倫の恋に走り家庭崩壊、すべてを喪失して一家離散の挙句に自分はタクシー運転手で身過ぎ世過ぎをせざるを得ない状況に追い込まれた。ちょうど男の厄年にあたる年で人間一旦落ち目になると友達付き合いしていた人間までが離れて行く模様で、この数年は何をしても裏目裏目に出るという厄介な年回りだった。宗教書、哲学書を片っ端から読んでも見たが活路は見いだせなかった。ところが日本を飛び出すとすべてが上手く回り始めた。誰も自分の過去など問い質すものはいなかったし、外国人という物珍しさからか、行く先々でよい友情が生まれた。だから日本での生活に行き詰まった人たちには僕は日本脱出を強く勧めている。何もしなくてもいい、ただ美しい砂浜で朝から晩まで美しい水着姿を眺めているだけで、心は安らごうというものだ。一か月海辺の宿に滞在し、食べ物や飲み物を注文してサインするだけで暮らす毎日は実に心が和むものなのだ。

ところで僕がこの時期大変な失敗をしでかしたそもそもの原因が何であったかと思うとこれはひとえに仏教でいうところの我執以外にないのである。モデルガンショップを開きたいと思ったのも小さいころからの我執であり、不倫の恋に走ったのも新しい異性の肉体に対する我執に過ぎなかった。もしも自分がその頃すでに絵画に目覚めておれば、それを絵にするだけで8割がたは所有欲が達成され、それで我執をたちきることが可能だったように思う。その証拠に絵を始めてからは物欲肉欲は不思議なほど遠のいてしまった。だから刑務所に入ってもいいから今この瞬間に不同意で女性の身体を触りたい、等と考えている御仁には裸婦を描くことをお勧めしたい。これ以上美しい裸婦はいないと思うほどの裸婦を追求すれば現実の誘惑などあらかた消えてなくなるというものだ。恋愛のプロセスを愉しみたいというのなら小説を書くのもいいだろう。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

彫刻作品を描く

2025-02-26 04:13:10 | 静物画

この試みも実に楽しいものだった。外国の美術館巡りをすると必ずや美しい彫刻作品に巡り合うのだけど、本当にどの角度から見てもため息が出るものばかりで。なかなかその場を離れられないのだった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

薔薇 8点  その2

2025-02-18 06:53:10 | 静物画

もうすぐ春です。心が躍ります。すべての動植物が蠢き始めるのを感じています。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

絵画は最も経済的な遊び

2025-02-02 06:35:14 | 静物画

およそ40年以上も前になるだろうか油絵を始めたいと思ったことがあった。それで画材屋を訪ねたら道具一式そろえたら3万円くらいかかりそうな気配なので貧乏人の自分は断念したことがあった。それきり油絵のことは忘れていたのだけど日本脱出後バンコクでカナダ女性と親しくなり彼女と所帯を持つためには油絵をマスターして画家として立とうと考えるようになった。それで18色ほどの基本的なセットを買ったらわずか6百円程の出費だったので、すぐに実地に試してみた。同じセットでも日本のブランド品を買ったら数千円はとられただろう。日本では画材が異常に高くてこれが国民を芸術音痴にしている遠因ではないかと思っているのだが、キャンヴァスなどリスボンに比べて3倍も高い。だから貧乏人の僕は日本に帰ってからはいつもダイソーで買った10枚百円の画用紙に油絵を描くようになった。絵筆も同じダイソーの丸筆4本ナイロンブラシを使っている。だからひと月に百円か二百円くらいしか使うことがない。油絵のチュウブは今までに5人の中途リタイアの油絵画家から大量に頂戴しているので、どんなに描いても描いても消滅しない。しいて言えばwhiteが必要になるくらいだろうか。さように経済的な遊びだから皆様にお勧めしたいわけである。この世の中には実に中途リタイアの油絵画家が多いのだ。そういう人たちは高価な画材だっただけに捨てることもできずに困っているわけだ。自分ももう人生が短くなったので誰かにもらってもらわなければこの大量の油絵の具のはけ口はないだろうと思案しているところです。希望者があればどうか予約を入れてほしい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする