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ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【3・11と3/15】難波先生より

2015-03-10 15:36:42 | 難波紘二先生
【3・11と3/15】
 間もなく東日本大震災から4回目の3・11がやって来る。東日本はアラスカと同じ北米プレートの上に乗っており、三陸沖で太平洋プレートがその下にもぐり込む構造になっているのだから、既に地理学者志賀重昂が明治期に名著『日本風景論』(岩波文庫)で指摘したように、遠浅の白砂青松もリアス式の海岸も、プレート沈下による土地隆起の産物である。
 従って、北米プレートの歪みによる「反り返り」運動が周期的に生じるから、東日本における大地震と大津波は周期的に起きる。
 沢庵禅師のいう「災難に遭う際には災難に遭うがよく、死ぬ時には死ぬがよし、これ災難を避ける妙法にて候」という悟りの公案に到れない、多くの凡人には災難に遭う恐れの少ない土地に集団で移住するのが妙法であろうと思う。

 現に和歌山県十津川村では明治22年の大水害の後、村民2000人以上が北海道石狩平野徳富の地に集団移住し、「新十津川村」を建設した。広島県からも集団移住が行われ、札幌市の東南に接して「北広島市」がいまや形成されている。
 エジプトのユダヤ人はモーゼに率いられて、シナイ半島に脱出し、そこに新天地を開き、かくて「旧約聖書」の物語が始まる。ローマに国を滅ぼされ、「ディアスポラ(離散)」の憂き目にあったユダヤ人たちは、いまや国民国家「イスラエル」を建国し、世界中に広がったファイナンスと学術研究・ジャーナリズムに長けた同胞の支援をうけて、アラブ文化の大海のなかの堅牢な孤島としてゆるぎない地位を確保している。

 福島原発は江口巧方式で「石棺」に閉じこめるか、私の提唱する地下水の「迂回バイパス・トンネル」を掘って、汚染される前に地下水を海に放出して、原発立地内をドライにするしかないだろう。それでも廃炉までに40年かかる。メルダウンした燃料のありかさえ、いまだに掌握できていない。
 もとはといえば、大地震・大津波が来ることは当然予想できる場所に、補助金と地場での仕事ほしさに、危険な原発を誘致した自治体と住民にも責任の一端はある。「自己責任」はアラブの人質だけの話ではあるまい。

 広島市は原爆の後「75年間は草木も生えない」といわれた。敗戦直後の土地価格は、二束三文にまで低下した。広島駅前の東側には巨大な闇市とそれに続く売春街が形成され、夜はとても危険な地帯になった。だが、岩波写真集『立ち上がるヒロシマ1952』(岩波書店,2013/7, 2400円)を見てほしい。7年後に、もう人びとの表情は明るい。(Fig.2)
(Fig.2)
 7年後の広島は、有能な市長浜井信三のリーダーシップのもとで、旧市街の防災都市計画を策定し、市の東西を走る幅100メートルの道路(現、平和大通り)とそれに面する「平和公園」と付属の原爆慰霊碑、原爆博物館の建設を開始し、太田川放水路を開削して水害を防止し、あわせて家畜場のあった福島町を旧市街と地続きにして、被差別を解消してしまった。そして、広島市は原爆ドームの保存・補修工事を重ね、修学旅行の観光名所にするとともに、ついに「世界遺産」指定まで実現した。
 今は、新幹線北口の再開発が行われ、グランヴィア、シェラトンという高級ホテルは1泊1.5〜2万円でもお客があるそうだ。ともかく広島市は今や観光が主な産業になっている。

 これはすべて故浜井市長のリーダーシップの賜物である。彼が高校の先輩であることを私はとても誇りに思う。「禍を転じて福とする」、そういう逆転の発想が福島を中心とする被災した人びとに、今こそ求められていると思う。広島の例をみれば分かるように、7年後には東北被災地への世間の同情は、消滅に近くになるだろう。あと3年しかないのだ。
 人は希望、英語でホープ、ドイツ語でホフヌング、フランス語でエスポワールを失い、絶望に至ると本来の能力を発揮できなくなる。それを哲学者のキルケゴールは「死に至る病」と呼んだ。メディアは福島の悲惨さ、ホープレスな状況、つまり死に至る病を繰り返し報道しているが、アルタナティブ・パスウェイ(別の道)を提示する解説・論評報道が必要であろう。

 昨年の3/15は、3/14に開かれたSTAP細胞に関する疑惑についての「理研調査委・中間報告」が行われ、4時間にわたる記者会見の報道が、各紙に大きく掲載された日である。
 その1週間ほど前に、「中国」からSTAP事件についての論評を求められ、原稿は送っておいた。翌3/16の同紙は社説「STAP論文、信頼回復に力を尽くせ」と並んで、私の論評「STAP<事件>に思う、憂うべき研究倫理の劣化」を掲載した。
 ほぼ1年を経て、あらためて二つの記事を読みなおしてみて、今年の「日経サイエンス」3月号の特集「STAPの全貌」で確定した内容を、この二つの論説はすべて言い当てていたことを確認した。これは初めから悪意(マリス)のある捏造事件であり、「世界三大科学不正」にランクされるのは当然だろう。(添付1と添付2として2論説を再配布します。)
 (論説1:STAP、難波論評)
 (論説2:中国新聞社説)
 当初に宣言したように、私は「売名行為」としてSTAP事件で120回くらいネット発言を行った。それはあくまでも「修復腎移植」を支持する私の意見への理解者を増やすためであって、もともと私は再生医療には興味がない。生命進化40億年の歴史のなかで、遺伝子発現の様式が種により固定化してきているのだから、ニンジンや接ぎ木やイモリの尻尾の再生のような話が、がん化の危険性なく、特殊な哺乳類であるヒトでそう簡単に実現するはずがない。山中伸弥氏は「10年先」と言っているが、それも怪しいと私は思う。

 「再生医療」を語る理学部動物学系の山師はいろいろ知っているので、当初から「うさん臭い話」と思っていた。「日経サイエンス」3月号によると、笹井芳樹は「STAP細胞にはあったTCR遺伝子の再構成が、STAP幹細胞になると消える」ことには気づいていたが、「培養中にT細胞由来のSTAP細胞がなくなったため」と都合良く解釈していたのだそうだ。
 それならSTAP幹細胞が分化した体細胞由来という証拠もなくなるわけで、ここで彼は既に論理破綻している。まあバンプに騙されて、自殺に追いこまれた不運な男としかいいようがない。ムダな追試をして国費をむだ遣いした、理研トップの責任は重い。

 不正献金が浮上した下村文科大臣、理研の野依理事長はいさぎよく責任を取り、さっさと辞任すべきだ。そして次期文科相には、再発防止のために「日本版ORI」の創設を行ってもらいたい。これも「禍を転じて福となす」方法である。

 <付記>これを書いた後で、「野依理事長3月末で退任」というニュースが入ってきた。
<野依良治理事長(76)が今月末に辞任する意向を固め、所管する文部科学省に伝えたことが6日、分かった。関係者によると、在任期間が長く高齢なことが理由で、STAP細胞の論文不正問題の引責ではないという。文科省は了承し、後任の人選に入った。(産経)>
 辞任には賛成だが、「STAP事件の引責ではない」という理由が引っ掛かる…。記者会見でのメデイアの追求に期待したい。

 J-CAST-NEWS 3/8がこんな記事を載せている。
<1年前のワイドショー>ワイドショー手のひら返しで「小保方晴子叩き」つい1か月前は賞賛してたのに・・・ http://www.j-cast.com/tv/2015/03/08229457.html

< (昨年の)1か月前には「ノーベル賞もの」「リケジョのアイドル」とはやしたワイドショーは一転、「ウソつき女」呼ばわりになった。
 <小保方晴子さん「万能細胞」疑問噴出!論文に資料借用、実験の再現できない...>(「とくダネ!」)、
 <もう小保方晴子リーダーが登場するしかない!ボロボロSTAP細胞「捏造」疑惑>(「とくダネ!」)、
 <万能「STAP細胞」自滅!?共同研究者が論文取り下げ...「もう自信がない」>(「スッキリ!!」)、
 <STAP細胞「ずさん論文」成果主義・開発競争で不確かなまま発表>(「モーニングバード!」)、
 <論文撤回は科学者としての死!STAP細胞チーム科学界追放!?修正で済まない厳密さ>(「朝ズバッ!」)と、もうボロクソである。
「男社会の研究機関でよくぞ頑張った」と評価していたコメンテーターも、手のひらを返したように「チヤホヤされて甘えていたんじゃないか」と攻撃側に回った。1年前のこの週を境に、オボちゃんたたきは一気に広まっていく。(テレビウォッチ編集部)>

 こういうTV番組は「ニュースショー」とか「ヴァラエティ」と総称される。私はそういう番組を見ないので、いっさい関知しない。

 レニー・リーフェンシュタール『回想』を読んでいて、戦前のベルリンに「スカラ」座というヴァリエテ(寄席)があったことを知った。ミラノの「スカラ」座ならオペラ劇場だが、ベルリンでは寄席(よせ)なのである。
 「小保方劇場」は興行主が理研で、テレビや新聞を上演会場とする「寄席=ヴァラエティ」だったのである。初めは客入りもよく、人気ある出し物だったが、ごく一部に「あれはマジックと同じ。麻原彰晃の空中浮揚と同じからくり」と覚めた目で見ている人たちがいた。
 写真を見せられて、麻原の空中浮揚を信じこんだ若者たちには、オウム真理教に入信し、地下鉄サリン事件まで突き進んだものもいる。
 この空中浮揚写真のトリックを見破り、自ら空中浮揚して見せたのが、弁護士の滝本太郎である。(Fig.3)(滝本太郎他『異議あり<奇跡の詩人>』,同時代社,2002/6より)
(Fig.3)
 要は跳び上がった後で、脚を組み写真を撮れば、「空中浮揚」になるのである。

 同じように、STAP細胞事件では、脾臓から分離した「STAP細胞」は、ES細胞とすり替えられてキメラマウスの専門家若山教授に「STAP幹細胞」として渡されていた。
 そうとしか考えられない証拠が次々と明らかにされて、寄席の演目の人気が凋落したのである。もしあのまま理研が突っ走っていたら、笹井一人の自殺ではすまず、他にも多く自殺者が出ただろう。
 まあ、寄席の観客である人たちは、1ヶ月間「いい夢」を観させてもらい、楽しんだことに感謝するしかあるまい。興行主である理研と座敷を提供したメディアの責任は別途残るけれど…
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5 コメント

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Unknown (Mr.S)
2015-03-12 22:10:08
難波先生は、ちゃんと読んでおられるよ。
書き込みを読んで、という難波先生の記事が載っているのがその証拠です。

ああ、芋焼酎の酔い気分は最高だ。
小説STAP (cheerfulhappyend)
2015-03-12 21:21:47
早々のコメントありがとうございます。私はこの筋を書いていて、意味が通じるのかな?と心配したのですが、良かったです。

大勢の賢い輩が、1人の若い女性に騙されたストリーが、男性はお好きなようで・・・。男性はお酒を飲みながら、そうした女性が目の前に現れるのを、夢見る生き物なのでしょう・・・。

ところで、難波先生はしばしば登場されるけど、このブログはお読みでないのですね。難波先生の部分は、コピペですか?すると、私の後の部分は無駄でしたか・・。
Unknown (Mr.S)
2015-03-12 20:47:31
色々理屈を捏ねた処で、小保方氏の会見を見てりゃ誰でも判断できますがな。
逆ですよ逆。小保方氏が理研を操ったの。
大勢の賢い輩が一斉に騙されたんです。
その構図を小説に表せば良いんです。
簡単そうで難しい、騙されそうにない者が騙される時を的確に書き記してください。
さすれば芥川賞も夢ではありませんよ。

ああ、今宵も芋焼酎が旨いわ。
小説STAP (cheerfulhappyend)
2015-03-12 18:45:25
今回のSTAP事件は、神戸CDBに対して、けん制する神戸以外の理研職員の間で起きた激しい権力抗争だったように見えます。

複数実行犯とその支持者の企てに、研究者として経験の少ない小保方氏は、利用されてしまいました。権力抗争に敗れた神戸CDBは、縮小されました。

理研調査委員会は、多様な他の可能性を無視して、すり替えは小保方氏の単独犯の結論を支持しました。つまり、人々が遠藤説を思いこむようにさせたのです。

これは、人権問題として疑問視されるのですが、そうはなりません。かなりの日本人が、小保方氏は自業自得だから ・・・と考えているからです。

難波先生を始め、このブログの読者は、小保方氏は逮捕されないだけ、ましと思え!と考えている方が多いでしょう。

細胞の増殖中に、ばれないようにすりかえるのは困難(混入はさらに困難)と思えるのです。つまり、STAP作成実験は何度もやられているのですから、そのたびにESにすり替えるのは、技術的に難しいのです。

それより、親マウスをすり替える方が、よっぽど楽です。ESの親と、STAPの親を同じにすれば、残存検体と矛盾しないSTAPが作れます。

犯人は、こうして親マウスをすりかえておいて、STAP実験をさせ、後で、STAP凍結残存検体や遺伝子データを調べ、ES,ESと騒げばよいのです。親マウスが違う可能性については、12月の調査委員会の最終発表時に、記者より似たような質問として出されました。

小保方氏は、遺伝子解析など出来ない人でしょうから、遺伝子解析をした手順の部分は、技術の人に知識を委ねました。機種や方法論の英文文章ももらったかもしれません。

難波先生御指摘のように、論文にはかなり古い分析器の名称が持ち出されており、犯人は機器名も、方法論も知らない小保方氏をだましたのです。

犯人の目的は、他の部分も含め、小保方論文を珠玉のようなミスで飾り立てるためです。

当時の小保方氏は素直に、周りが協力してくれて、うれしいと思ったかもしれません。図表は、小保方氏が選んだものと思いますが、中には、そそのかされて書きくわえをしてしまったかと・・・・・。小保方氏は、ミスの誘導に気づかなかったのでは・・・。

こうした多くのミスが後ではっきり指摘できれば、小保方氏は、未熟な上にとんでもない捏造氏であると騒いで、陥れることができるのです。その論文を出した神戸も非難できます。つまり、つぶせるのです。

論文発表後、準備していた欠陥を指摘し、後に編成されるであろう調査委員会をまるめこむのです。小保方犯行説で多くの人を納得させるために、最初から、あやうい論文になるように、しくんだのです。

以上は、一つの可能性を示したものにすぎませんが、皆さまはどう考えますか?

難波先生は、多くの溢れる知識をお持ちで、大変勉強になりますが、一部は、一般人には、素直に受け入れられません。たとえば、これだけ、小保方氏の人権に対するリスクを負い、捏造としながら、ご自身は万能細胞に興味がないとおしゃったりします。

病気腎移植に対する見解は、人さまざまです。安楽死を認めるかどうかと同様に、ケースバイケースの違いが大きく、最後は、個人の判断です。そして医学が発達し、病気腎の安全性が進めば、また、その時点で、人々の判断は変わります。先生のお考えも変わるかもしれません。
Unknown (Mr.S)
2015-03-10 16:15:26
「災難に遭う際には災難に遭うがよく、死ぬ時には死ぬがよし、これ災難を避ける妙法にて候」

これは沢庵禅師ではなく、良寛和尚の御言葉では?

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