ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【テイア】難波先生より

2013-11-26 12:45:45 | 難波紘二先生
【テイア】Theiaと書く。月がどのようにして形成され、地球の引力圏に入ったのかは謎である。かつては地球がちぎれ、その後が太平洋だとも説明されていた。
 もう一つの謎は、地球は高速で回転(1回/ 24hr)するのに、なぜ月は自転しないのか(学校では1回/1年で「自転する」と教えているが…)という問題だ。


 ビリアード台で、球を衝いて目的の球に衝突させると、衝突の瞬間、転がした球が持っていた「運動モーメント」は相手の球にすべて伝達されるので、ぶつかった球は静止し、運動モーメントをもらった球は回転しつつ移動を始める。
 ビリアード台には摩擦係数を大きくするようにビロードが敷いてあるから、カチンという音がして球が衝突すると、すぐに停止し、ぶつかられた球が動きはじめる。あれは、やっていて面白い。 


 テイアという惑星が地球に衝突し、その衝撃で地球の高速回転(自転)が始まり、テイアの断片から月ができたというのが、「ジャイアント・インパクト説」である。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/ジャイアント・インパクト説


 私は学位論文が、当時、体内時計とされていた「松果体」の研究だったこともあり、「1日の長さ」=地球の自転速度の変動には興味を持ってきた。


 昔、各種動物の体内時計の周期を調べたところ、種によって異なり、進化の過程で登場が早い動物ほど、周期が短く、ヒトは約24時間であることがわかった。体内時計は遺伝子により支配されているから、その固有サイクルはその種が発生した当時の地球自転速度を反映している。
 Cf. 1)桑原万寿太郎:「動物の体内時計」, 岩波新書, 1966
   2)NHK「サイエンスZERO」, 上田泰巳:「時計遺伝子の正体」, NHK出版, 2011
 これは大昔は、地球の自転速度が速く、今のように1回転に24時間かかるようになったのは、ごく最近のことだ、ということを意味する。 


 「テイア」仮説では、46億年前の地球誕生直後に、 直径が地球の 半分ほどの星「テイア」が地球軌道に進入し、斜めから地球に衝突したと考えている。斜めからの「運動モーメント」が与えられたので、地球は急速に回転をはじめ、衝突により飛び散ったテイアの破片は集合して月となった。
 運動モーメント=遠心力と引力が釣り合う距離で地球のトラップにかかり、今の月ができた。だから地球は自転するが、月は自転しないで、いつも地球の側に同じ面を見せている。
 地球にはコマと同じ「歳差運動」があるから、首の振り方によっては、ほんのちょっとだけ月の裏側の部分も見えることもある。


 月が誕生した直後の地球の1日は、5~8時間だったというから、今の地球の自転速度はその時の1/3~1/4.8に落ちているわけだ。


 たぶん、小学校や中学では、私の子供の頃と同じく、「月は地球がちぎれてできた。1年に1回しか自転しない」と教えているのではなかろうか…。

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