ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始めいつのまにか、トライアスリートになってしまった私。

【左右差】難波先生より

2013-04-19 12:29:49 | 難波紘二先生
【左右差】誤嚥が右気管支に起こりやすいと、O先生から重ねてご指摘を頂いた。
 <誤嚥性肺炎でも気管異物でも右気管支へ入りやすいものです。>
 <添付されたネッター図譜は正確ではないかも知れません。
 気管と気管支の関係は逆Y字型です。
 右気管支の方は鉛直にちかく、左気管支はやや水平に近くなっているので、物を落とせば右に入る率が高くなります。
  1)The right main bronchus is wider, shorter, and more vertical than the left main bronchus.
If food, liquids, or foreign bodies are aspirated, they often will lodge in the right mainstem bronchus. Aspiration pneumonia may result.
http://en.wikipedia.org/wiki/Bronchus > ともあった。


 前に添付した図は、オックスフォード大出版部から1928年に出たPauchet & Dupret:「Pocket Atlas of Anatomy」の第3版(1962)からのもので、ネッターの図譜からではありません。
 A.L.McGregor: A Synopsis of Surgical Anatomy, Wright & Sons Ltd., 1963は外科医用の局所解剖図譜ですが、これにも右主気管支がより水平な図が載っており、本文には「左主気管支は右より長く、より垂直でない」と書かれている(赤線部)。(添付1)
 藤田恒太郎『人体解剖学 改訂第42版』(南江堂, 2005) は父の教科書を藤田恒夫先生がずっと改訂を重ねられたものですが、そのp.244にやはり、左気管支が右よりも鋭角になっている図が掲げられています。また、本文には以下の記載がある(p.243)。
 「肺外気管支は左右対称でなく、右は左よりやや短く太く、かつ正中となす角度が小さい。」


 こうしてみると、
1)ポウシェット&デュプレの図
2)マッグレガーの図、及び説明
3)藤田解剖学の図、及び説明
4)O先生が引用された英語WIKIの説明
 2,3,4の記載は、完全に一致しており、「右気管支はより垂直に分岐し、左気管支はより水平に近く分岐している」というのは一致していて、1の図だけが異なっているようです。WIKIの記載でも藤田の記載でも「このため気管支内に落ちた異物はほとんど右の気管支に入る」とある。


 念のために、伊藤隆『解剖学講義 第2版』(南山堂, 1983)を調べました。これは北大解剖学の伊藤教授が病気で入院され、ナースに解剖学知識が乏しいことを痛感されて執筆された本です。序文を名大医学部同級生で、私の恩師でもある飯島宗一先生が書かれている。お世辞ではなく、この本は医学生だけでなくコメディカルを意識して書かれており、CT, MRIの写真も多く、臨床との関連が強調されており、索引も英語、漢字、読み、ラテン語が並記してあり、大変充実した名著だと思います。


 このp.269にはポウシェット&デュプレの図と異なり、右気管支は太く短く、かつ正中面に対してより鋭角をなすよう図が描かれている。説明には「右気管支は左気管支に比べて太く、かつ垂直に近い走行をとるので、吸入された異物や微生物は右気管支に入りやすく、特に右肺の中葉・下葉に達しやすい」とあります。(添付2)
 念のためポウシェットの局所解剖図を再添付しますが、右気管支がほぼ水平で左が斜めに描かれています。(後ろから見た図:添付3)まさかオックスフォード大出版部から出た本で34年間も誤りが発見されずにいたとは思いもかけませんでした。
 しかし諸資料を付き合わせてみると、この図譜の絵が間違っていると結論せざるを得ないですね。2の図では水平なのは右上葉気管支の分岐で、下葉気管支は途中で中葉気管支を分岐し、全体としては下向きに走っています。


 O先生の再度のご指摘により、私の誤認を訂正することができました。ご指摘ありがとうございました。
 間違った情報を流したことをお詫びし、訂正いたします。
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