ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始めいつのまにか、トライアスリートになってしまった私。

【変痴気論1】難波先生より

2014-06-12 19:14:16 | 難波紘二先生
【変痴気論1】
 これは6/9メルマガ【Dr NATROM】の続きともいえる一文だ。
 Kindleで「寺田寅彦随筆集」を読んでいて、中に「化け物の進化」(昭和4年, 雑誌「改造」)というやや長文の随筆があった。日本には妖怪博士「井上園了」1)もいて、化け物がいろいろいるが、「化け物教育」は少年時代の科学知識に対する興味を阻害するのではなく、逆に鼓舞したと寅彦はいう。「これは必ずしも無用の変痴奇論(へんちきろん)ではない」と書いている。
 「ヘンチキリン」という言葉がある。「広辞苑」によると、「へんちき」由来で『東海道中膝栗毛』に「おらアしばられて、へんちきな目にあった」と用例があり、「妙なこと、へんてこ」の意という。「へんてこ」が「ヘンテコリン」に変化したとある。「新明解語源辞典」では「近世、へんの後にいろいろの音を添えて、はやし立てた」とある。ヘン→ヘンチキ→ヘンチキリンと進化したもので、「へんちきな論」だから「変痴奇論」なのであろうが、変で、痴で、奇態なさまを「変痴奇」と当て字したセンスは抜群だ。
 似たような言葉に「チンチキリン」がある。「寸足らず」な人間または衣服をいう。これも「珍」に「チキ」と「リン」が付いたものだろうが、上手い宛字は見たことがない。
 「変痴奇論」が寅彦の独創なのか、それとも誰か前に使用例があるのか定かでない。もちろん『国語大辞典』(小学館)にも載っていない。念のために岩波文庫の『寺田寅彦随筆集』をあたったら、この随筆は第2巻に含まれていた。
 1)菊地章太『妖怪学の祖:井上圓了』,角川選書, 2013

 山本夏彦の随筆集に『変痴気論』2)がある。これは昭和46(1971)年に毎日新聞社から出た単行本が文庫化されたもので、あの頃の毎日には、こういう本を出す余裕があった…。同題の文章はないが、タイトルの名人だったから編集者でなく、夏彦が付けたのであろう。その後に『毒言独語』(中公文庫)も出ている。これも秀逸だ。
 寅彦の「変痴奇論」と夏彦の「変痴気論」、ふたつのへんちきは独立か、コピーか。夏彦はL.シュヴォ『年を歴た鰐の話』の訳3)があるくらいだから、化け物の話は好きだったにちがいない。夏彦には『私の岩波物語』(文春文庫)もある。寅彦の「化け物の進化」は読んだであろう。書名を『変痴奇論』としたのではお里が知れる。「奇」を「気」に変えると「毒気」が出る、そう思ったのであろう。『変痴気論』、見事な換骨奪胎だ。
 2)山本夏彦『変痴気論』, 中公文庫,中公文庫, 1979
 3)レオポール・ショヴォ(山本夏彦訳)『年を歴た鰐の話』,文藝春秋, 2003

 脳科学者と称する「茂木健一郎」のツィッター発言が物議を醸している。
 http://news.livedoor.com/article/detail/8904997/
 この人は、元理研の研究員で英国留学後にソニーに入社した人だ。
1985年(昭和60年):東京大学理学部物理学科卒業
1987年(昭和62年):東京大学法学部卒業
1992年(平成4年):東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了、博士(理学)
1992年(平成4年):理化学研究所国際フロンティア研究システム研究員
ケンブリッジ大学生理学研究所研究員
1997年(平成9年)12月:ソニーコンピュータサイエンス研究所リサーチャー
1998年(平成10年):ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8C%82%E6%9C%A8%E5%81%A5%E4%B8%80%E9%83%8E#.E7.95.A5.E6.AD.B4
 茂木は以下の著作で一挙に有名になった。
 天外伺朗、茂木健一郎『意識は科学で解き明かせるか:脳・意志・心に挑む物理学』(講談社ブルーバックス, 2000)天外伺朗はペンネームで、後にソニーの役員にもなった人だ。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E5%A4%96%E4%BC%BA%E6%9C%97
 「脳科学者」としての茂木は、量子力学と「クオリア」という一種の実存感覚みたいなものを持ちだして、世間を惑わせた罪の方が大きい。
 天外との対談では、「イデア界」の実在を信じるプラトン主義者として、量子力学者R.ペンローズの「脳と意識」の理論を高く評価していて、実際に訳者の一人でもある4)。
 4)ロジャー・ペンローズ(竹内薫・茂木健一郎訳):『ペンローズの<量子脳>理論』,ちくま学芸文庫,2006
茂木は、
「あのさ、マスコミ諸君、マジで質問したいんだけど、小保方晴子さんの理研による採用が、通常と違うプロセスだったって、何が問題なんだよ?」と疑問を呈し、続けて「すべての採用者を同じ基準で選ばなくちゃいけない、という法律でもあるのか?
 君たちのその報道姿勢が、日本のイノベーションを妨げているといい加減気づけ!」
 とツィッターで投稿したのだそうだ。
 理研は独立行政法人で、国立大と同じだ。「理化学研究所法」によると、
<(役員及び職員の地位)
 第十五条  研究所の役員及び職員は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。>
とあり、職員は「みなし公務員」だから、その採用にはルールがある。任命権者は小保方の場合、理事長であろう。茂木は「縁故採用の何が問題なんだよ?」とメディアにクレームを付けているが、ソニーのような私企業の採用とはわけが違う。「中央公論」4月号で「小保方論文の意義を、日本の報道はまったく理解しておらず落第点である」と切って捨てた米本昌平とおっつかっつだろう。もうひとつの「変痴気論」だ。
 やはり「STAP騒動」は、えせ科学者・知識人のリトマス試験紙だったのではないかと思う。
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68 コメント

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Unknown (Unknown)
2014-06-12 23:21:46
モギ氏について2度ほどコメント欄に書き込んだところ、難波先生がメルマガに取り上げて、私の言いたい事を明快に論じてくださいました。感謝。
Unknown (Unknown)
2014-06-13 08:44:51
そうです、野依氏を遥かに凌駕する脱税額!
”脱税とは-コトバンク”ー違法な手段によって、納税を免れる行為を脱税という。すなわち、租税の納付は法によって定められた義務であるが、これから逃れるために課税の対象となるべき所得や収益などの一部または全部を故意に隠匿して、国及び地方公共団体の徴税を妨げることである。
Unknown (Unknown)
2014-06-13 10:05:28
そう、この「故意」という文言が、食わせ物です。「悪意」のある捏造と同じようにおかしな屁理屈を付けて言い逃れようとするものが多いのです。あれだけ大量の異なる画像、あれだけ大量のコピペをしてもうっかりミスと主張!400000000円の収入を忙しくてついうっかりとか「悪意」はありませんと主張!
Unknown (Unknown)
2014-06-13 13:09:58
「悪意」なきという常套句は早稲田より先に理研に存在していたとは。
悪意がない (アノニマス)
2014-06-13 14:26:46
悪意があるかないかは、究極のところ、本人にしか解らない。刑事裁判でも、しばしば『殺意があったかどうか』が争点になるのと同じです。
小保方氏が『悪意はない、ミスだ。』と言い張るかぎり、重大な懲戒処分を行うためには、理研が悪意の立証をしなければなりません。理研の懲戒規程に、過失であっても、結果が重大である場合、懲戒処分ができるという規程が全く抜けているのが、返す返すも残念。
改革委員会の報告は、概ね妥当だとは思いますが、野依理事長の責任に全く言及がないのは納得できません。
改革委員会から、調査委員会が調査した項目以外にも、外部から指摘された論文の疑義の数々を調査するよう要請されたのを無視している人ですから。組織改革も、どこまで改革委員会の提言を取り入れるか、目を離せませんね。
Unknown (Unknown)
2014-06-13 14:33:04
CDB廃止となれば、野依氏は辞めざるを得ないのではないでしょうか?
Unknown (Unknown)
2014-06-13 14:43:37
野依さんは早速文科省参り。
Unknown (Unknown)
2014-06-13 14:49:35
やはり、西川伸一顧問、相沢槙一顧問も辞任?
当然!
Unknown (Unknown)
2014-06-13 15:09:42
私は小保方さんに実験させるべきと思ってきた。無論下村大臣とは異なる見解で。スタップ細胞なるものは捏造と思っているが、彼女にやらせないと、私なら作れたと言い続けるだろう。彼女にやらせれば、可笑しな擁護派も、下村大臣も納得させられるだろう。
Unknown (Unknown)
2014-06-13 15:24:38
アノニマスさんって、あのアノニマスさん?

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