一昨年あたりから、大規模製材所とバイオマス発電所の新規建設ラッシュにより、
急速に木材需要が高まっている。
愛知県では、H26年度に年間で12万立方メートルの木材生産があり、
10万立方メートルを超えたのは、19年振りとのこと。
「木が売れない」と言われて久しかったが、これは良いニュースである。
けれど、売れるからと言って闇雲に切り倒してしまえば、やがて森林資源は枯渇する。
そのため、効率的な循環の仕組みをつくるためには、森林の更新技術の向上が必要となる。
前置きが長くなりました。
本日、愛知県主催で、コンテナ苗の植栽技術研修が開催された。
皆伐後の植林作業を、低コストで行うための新しい技術の提案である。
今回使用するコンテナ苗
根巻きを防止するマルチキャビティコンテナという専用容器で栽培
すでに根に培地がついている状態のため、時期を選ばずいつでも植栽できるのがメリット。
(従来の裸苗では、春・秋と限定されていた)
もうひとつのメリットは、植えるのが簡単なこと。
こんな感じ。
先端が尖った専用の穴掘り器具を使って穴を開け、
そこに、先ほどのコンテナ苗を入れるだけ。
後は薄く周囲の土をかぶせておけばOK。
所要時間、およそ20秒。
本日の研修地は、かなりの急傾斜。
にもかかわらず、総勢約20名で、1時間足らずで約300本の苗の植栽を完了。
植栽経験が豊富なNPO法人穂の国森林探偵事務所の高橋理事長も、
「これは早い!」と絶賛。
ただし、コンテナ苗についてはまだまだ試行錯誤の連続で、改良途上にあるようだ。
林野庁中部森林管理局の愛知森林管理事務所でも、活着率や生育状況を調査しているとのこと。
また、植林した箇所には必ず獣害対策が必要であり、本日の研修地も周囲をネットで囲われていた。
県では、獣害監視カメラを設置して、今後も引き続き調査していくとのこと。
木材搬出技術については、ここ10年近く研究・改良がなされ、
高性能定林業機械を用いた一定の仕組みが定着してきたが、
今後は、この育林技術の調査・研究に重きがおかれてくるだろう。
引き続き、その推移を見守っていきたい。
本当はドイツのように、天然更新できるのが、最も低コストなのだが……。