ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

家を出る

2013-12-27 23:13:38 | 肯定する

朝食を摂って

歯を磨いて

着替えて

カバンを持って

玄関を出る

 

行ってきます

 

そのまま

家を出る

夜になっても

帰らない

 

 ※

 

電車に乗って

遠くまで行く

終点に辿りつかない経路を探す

 

新幹線は

たぶん使わない

 

ずっと線路を周遊しつづける

星の瞬く夜も

日の出の朝も

雲が浮かぶ昼も

日の沈む黄昏も

月の微笑む夜も

月の見えない夜も

電車は止まらない

ときどき車内販売のワゴンが

行って帰る

食べ物は買える

コーヒーも注文できる

おねえさんがポットからコーヒーを注いでくれる

有難うございますと声すら掛けてくれる

乗客は

見えない

座席の陰にひそんでいるかもしれず

誰もいないのかもしれず

運転手や車掌もいないのかもしれず

車内販売のおねえさんは

ひょっとするとアンドロイドだったかもしれず

 

そのまま

電車は走り続ける

 

ぼくは

窓の外を見ている


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