ドメニコ・ギルランダイオ
ある日ローマ人レプロブスに、見知らぬ男の子が、川を渡らせてくれと声をかけた。小さな男の子だったので、レプロブスは引き受けた。男の子を背負い、川を渡っていくと、男の子は異様に重くなりレプロブスは倒れそうになった。これは何者だと思って問うと、男の子は自分はイエス・キリストだと言った。イエスは全世界を背負っていたから重かったのである。川を渡った時、イエスはレプロブスに、キリストを背負ったものという意味の、クリストフォロスと名乗るように言ったという。
*
イエスではなかったが、結果的に人類の全ての運命を背負ったのは、たったひとりの天使でした。かのじょ自身は、そんなことになるなど思ってもいませんでしたが。究極の時代にはそういう現象も起こります。たったひとり最後まで残ったものがすべてを背負うのです。そしてそれを馬鹿にしたものも、それと同じだけのものを背負わねばならないのです。