世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

アポロとダフネ

2014-04-06 04:07:50 | 虹のコレクション・本館
No,112
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス、「アポロとダフネ」、20世紀イギリス、ラファエル前派。

これは最も下手な画家である。見てわかるやつもいるだろう。

技術はたいそう高いが、内容のレベルが低すぎる。教養を積んでいない。人生経験もそう厚くない。神話に対する読み込みが浅い。表現している感情のレベルが低い。構図も陳腐だ。

アポロとダフネの神話を描いている絵はたくさんあるがね、ポライウォーロやプッサンの絵と比べてみるがいい。アポロやダフネの表情に違いがあるはずである。

愛する女を失う男の凍りつくような表情。男への愛を残しながら絶望に消えて行く女の顔。一度でも、深く誰かを愛したことがあるなら、そういう顔が描けるものだが。

これはただ、神話の物語の形だけを、美しく描いただけだ。だから見て何も感じない。ただ、男をいやがって逃げている女の表情に、もてない男の現実を垣間見ることはできる。
ウォーターハウスは、女性のこんな顔を見ることが多かったのかもしれないね。

アポロは太陽神だが、要するに自分が世界の真ん中にいると思い込んでいる幼児的な男のことだよ。だれよりも自分は偉いと思っている。だが、そういうアポロの好きな女は、野原で遊んでいるお転婆なニンフのダフネなのだ。どんな美しい女神よりも、あの小さなニンフのほうが、彼は好きだったのさ。

乱暴なことをしないで、やさしくすればよかったのに。逃げて行くダフネをいじめることしかできなかった男の愚かさを、この神話に読んでみたまえ。そうするともっとましな絵ができる。

うまく描くだけなら、どんな馬鹿にもできる。見ることができる絵を描くのが、画家というものだ。



この記事についてブログを書く
« マリー・アントワネット | トップ | 生命の天使 »
最近の画像もっと見る

虹のコレクション・本館」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事