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わかりにくい政治 2 《安保法案ってなに?》

2015-06-07 17:25:20 | 戦争法案とは?(基本編)
さてここで、その「なるほどな~」と思った記事に倣って、私も子供向けに考えてみた。言わずもがな「戦争法案」についてである。
そう、子供といっても自分で物事を考えはじめ、判断が出来るようになってくる中学3年生くらいを対象にするのが適当だろうか。以下長くなるが、その中学3年生に理解できる程度に書いてみたいと思う。

今開かれている国会で、日本の法律にして良いかどうか話し合われているのが「安全保障関連法案」(あんぜんほしょうかんれんほうあん)です。
新聞やテレビのニュースでは「安保法案」や「安保法制」という呼び名を使っています。
国会の中では、政府与党である自民党と公明党以外の野党がこの法案の成立に反対しています。なぜ反対しているのかといえば、それは日本の憲法に違反するばかりではなく、日本が再び戦争をする国になってしまうからです。
ですから国会ではこの法律をやめさせようとする野党と成立させたい与党との間で激しい議論になっています。

「安全保障関連法案」は、今までにあった自衛隊の規則を定めた10本の法律をそれぞれ改正する案と、新しく制定する予定の「国際平和支援法」という法律案1本の、あわせて11本の法律案をまとめたものの名前です。

これは、今日本が北朝鮮や中国からミサイルなどの軍事攻撃を受ける危険があって、日本の平和を守るために法律によって自衛隊の行動範囲を広げたり、武器の使用を今までより可能にしたりする必要があるという理由で、安倍総理大臣をはじめ政府の人たちが考えた案です。
しかし、実際は北朝鮮や中国が理由も無く今すぐ攻めてくるような状態ではなく、そうした危険が迫っているという具体的な証拠もありません。安倍総理大臣は国民をおどかして自分の考えが正しいようにみせかけようとしているのです。

実は、日本とアメリカの間に、他国からの攻撃に対してアメリカが日本を守ってくれる代わりにアメリカの基地を日本に置いていいという約束をした「日米安保条約」(にちべいあんぽじょうやく)というものがあって、それが元になっています。
最近アメリカが自国の軍隊にかかる費用を減らすことになって、この「日米安保条約」があることを理由に、費用を減らす分、それを日本でおぎなうようにアメリカが要求してきたことにあります。

そもそも、「日米安保条約」のアメリカ側の本当の目的は、アジア圏において日本に基地があれば戦争の作戦を行なう上で便利だというだけで、価値がなくなったり危険がおよべば日本から退却し、必ず最後まで日本を守ろうと考えているわけではありません。
それでも安倍総理大臣がアメリカと仲良くするのは、武器や弾薬を沢山作ることで日本やアメリカの大企業が儲(もう)かる仕組みを作り、それに関わる人たちやアメリカから支持されることで、強い権力をにぎりたいと思っているからです。

ここで、日本国憲法の第9条を見てみましょう。そこには
1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇(いかく)又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
と書かれています。
この第9条は、日本は永久に戦争をしないこと。そのための軍隊を持たないことをはっきりと明記しています。
憲法は、国民のために国が守らなければならない最高の法規です。

「安全保障関連法案」で自衛隊の行動を定めている内容の大きな点は
●アメリカが仕掛けた戦争でも、アメリカが相手の国から攻撃されたら、自衛隊の戦闘機や軍艦、戦車や機関銃などの武器を使ってアメリカ軍に加勢し、共同して反撃すること。
●日本が攻撃されていなくても、世界中のどこでも、アメリカの軍隊に同行して、アメリカ軍の艦船や航空機、車両などに給油を行ったり、兵員を運んだり、武器や弾薬を運んだりして戦闘の手助けをする。
ということで、このことを「集団的自衛権」(しゅうだんてきじえいけん)といいます。
また、この法律は「恒久法」(こうきゅうほう)と言って、今までのようにそのときどきの条件や状況に合わせた法律をいちいち作らなくていいようにしようとしています。

内容を見ればとても危険であるとともに、この法律案が最初から日本国憲法第9条に定めた「戦争放棄」の条文に大きく違反しているのがわかります。しかし安倍総理大臣と日本の政府は「合憲」、つまり、違反はしていないと言い張っているのです。

そのわけは、「拡大解釈」(かくだいかいしゃく)といって、1954年に自衛隊ができたときから今までの総理大臣が、この文面の語句に勝手な理屈をつけてつごうのいいように意味を変えてきたことにあります。
例えば、「禁止されるているのはこちらから攻めて行く侵略戦争だけで、自国を守るためなら戦争してもいい」とか、「「侵略のための武器」は持たないと決めたけど、自国を守るためなら武器を持っていていい」などです。

憲法第9条を読めばわかるとおり、9条をきちんと守ろうとすれば、本来は自衛隊も憲法違反になるのですが、今まではあいまいのままにしてきました。
しかし、今問題になっている「安全保障関連法案」はどう見ても憲法違反だらけです。

先日、意見を聞くために、政府が3人の憲法学者を国会に呼びました。
そうすると、全員が「この法案は憲法違反です」と言ったのです。
とても当たり前のことですが、それでもまだ政府の人たちは違反ではないと言い張り、そして政府与党の自民党と公明党は議員の数が多いのをいいことに、国民の意見を無視して、野党の反対を押し切って、多数決でこの法案を無理やりに成立させようとまで考えているのです。

もちろん、反対しているのは野党の国会議員たちばかりではありません。新聞社のアンケートによると、日本の国民の6割の人がこの法案に反対しています。
反対の立場の人たちは、「戦争法案」や「戦争立法」と呼んで、この法案が法律として制定されてしまわないように、全国各地で集会を開いたりデモ行進を行うなどして国民の意見として国(政府)が聞いてくれるように、反対運動をしています。

もし、この法律が作られたら、自衛隊員の人たちだけではなく、友達や兄弟がアメリカの戦争に連れて行かれることになるかもしれません。
一度でもこの法律に従って戦争に参加したら、それがすでに起こってしまった事実として認められ、次からはどんどん実行されることになるでしょう。
戦争に行けば手足を失ったり殺されたりするばかりではなく、人の命をうばうことになるかもしれません。
自衛隊員も友達も家族も皆日本の国民です。

戦争で平和が守れると思いますか?
戦争を前提にして武器を用意していたら、平和な国を築けると思いますか?
だから絶対に安倍総理大臣がやろうとしていることを許してはいけないのです。
まさに「戦争法案」「悪魔の法案」です。だから絶対に、この法律を成立させたらいけないのです。


いかがだろうか。中学3年生はもとより、どなたにでもご理解いただけるのではないかと思う。
「わかりにくい政治」も、このくらいの言い回しをしてくれると助かるのだが・・・。
お読みいただいた方、内容に不備や間違いがあればぜひご指摘の上ご指導くださいますよう。


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