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東京五輪:エンブレムの行方

2015-08-05 01:19:40 | 東京五輪2020


東京五輪のエンブレムがベルギーのリエージュ劇場のロゴデザインと酷似している件で、3日、劇場のロゴをデザインしたオリビエ・ドビ氏の代理人から、日本オリンピック委員会(JOC)を経由してファクスが届いたことを大会組織委員会が明らかにした。
その内容については公表されていない。

また、東京五輪のエンブレムをデザインした佐野研二郎氏は、本日5日の午前中に東京都内で“釈明の”記者会見を開くとしている。

「東京五輪:エンブレム問題 組織委にドビ氏側からファクス」(毎日新聞 8月3日)
「佐野氏、東京五輪エンブレム問題で5日に“釈明”会見」(スポーツ報知 8月4日)


おそらく、普通に考えて、佐野氏は会見で「決して盗作・盗用ではない」と説明し、ついての扱いや処置は日本オリンピック委員会に委ねるとするのだろう。
ここに来て、盗作・盗用か否かということよりも、こうして疑惑が持ち上がり、言わば一旦「ケチ」がついたエンブレムを引き続き「問題ない」として使用し続けるかどうかということが今後の論点になる。

まずは本当に問題がないのかどうか、著作権、商標権における、その取扱いが問われる。
ベルギーの代理人弁護士は、使用停止要求に対し、国際オリンピック委員会(IOC)と日本オリンピック委員会(JOC)が共に8日以内に回答しなければ、ベルギーの裁判所に提訴する考えがあることを示している。

東京のオリンピック・パラリンピック組織委員会は、去年11月に佐野研二郎氏のデザインに内定した後、半年の時間をかけ世界各国の商標を確認し、最終的に国際オリンピック委員会(IOC)の承認を得て7月24日に発表、既に国際商標登録の手続きを済ませているので、「各国の商標をクリアしており、問題になるとは考えていない」としている。
だがこのまま進めば、ベルギー側と組織委員会側の主張は対立し、係争問題に発展するのは必至だ。

では具体的に裁判所はどう判断するのか。しかしそれは何とも言えない。・・・が、裁判になった場合、私はベルギー側が弱いと見ている。
実際、「これだけ似ているのに」と思ったところで、客観的類似性がどこまで具体性を伴って言及されるのか、ほか、公共性など様々な条件においてもそれは判断される。そして通常、類似性より相違性が重視される。つまり、「ここが似ている、あるいは同じだからダメ」というより、「ここが違うからOK」という具合だ。

例えばこれ。



もう何十年も前の話だが、アサヒビールが「AsaX」の標章の使用を中止することを求めた事件である。
「Asa」までは全く同じである。
だが、アサヒビールは本件で敗訴している。

判決理由は、
>原告商標から生じる「あさひ」の称呼と、被告標章「あさっくす」とは称呼が類似するものとは認められない。原告標章からは「朝日」「旭」などの観念を生じるのに、被告標章は造語と認められ、特段の観念を生じないので、両者の観念が類似するものとは認められない。原告商標と被告標章の最初の三文字の外観の類似性は否定できないが、原告商標の「hi」の部分と被告標章「X」の部分の印象が大きく異なり、その結果両者の全体の外観は類似しているとはいえない。
>原告商標(2)の外観は、被告標章の一文字目の形態と極めて酷似しているが、被告標章は「AsaX」の四文字からなるので、最初の文字のみを分離して観察比較すべき理由はみとめられず、被告標章の全体は原告商標と外観において類似しているものとは認められない。


どうかと思うが、これが実際だ。
この場合、称呼、観念、外観の三要素が判断材料となったが、もちろんそれが「東京五輪エンブレム」にそのまま当てはまるわけではない。それにしても、だ。


まぁ詰まるところ、「IOC」なり「JOC」が勝つのであろうが、当然遺恨は残すことになる。
そこで可能性として考えられるのは、それを見越したベルギー側と組織委員会側の話し合いによる和解である。つまりこの場合、ベルギー側が提訴を取り下げて「現・東京五輪エンブレム」の使用を容認するということが一番の近道になるのだろう。だが、決定的に言えるのは、「東京五輪エンブレム」が訴訟問題に発展したことにおいて、それが大きな汚点になるという点だ。
仮にベルギー側が譲歩したところで、だからと言ってこのまま使い続けるのは、さていかがなものなのだろうか、ということである。

ついては、
●現・東京五輪のエンブレムを一旦白紙とし、エンブレムをデザインした佐野研二郎氏がその責任において新たにデザインをやり直す。
●完全にデザインを白紙に戻し、デザイン公募・選考からやり直す。
●あるいは、招致の際に用いられた、桜をモチーフにしたデザインを使用する。
●1964年に開催された東京五輪のエンブレムをリメイク、あるいはそのまま流用する。
等・・・ということになるが、グラフィックデザインは建築物と違ってまだ時間的な猶予はかなりある。
これも「白紙撤回」で計画のやり直しが、多く納得の行くところになるのではないだろうか。



今となってはこちらの方が馴染めるのでは?


「盗作疑惑」と相まって、佐野研二郎氏デザインのエンブレムの評判は必ずしも良いとは言えない。
好き嫌いの問題なのだろうが、私も、何だか暗い。バランスが悪く安定感がない。テーマが明確でなく、インパクトに欠ける・・・等々、個人的には評価していない。
一方で、「2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムの変更を要求する」として、Net署名も始まっている。
「2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムの変更を要求します」

当初、“おもてなし制服”の変更要求の署名も兼ねていたが、当該制服に関しては「公益財団法人 東京観光財団」が行なっているもので、直接オリンピック委員会とは関係がないとのこと。
ボランティア活動として2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて海外からの観光客向けに行なうための衣装だそうな。
しかしこれはこれでダサい。(笑)



この“おもてなし制服”変更要求用の署名ページもあるので、よろしければ。
「"おもてなし制服"のデザイン変更もしくは制服の追加を求めます」


いずれ、今日の佐野研二郎氏の会見を待って、今後の動きに注視したいところだ。




《関連記事》
「今度はエンブレム」
「エンブレム 類似に関する考察」


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