王様の耳はロバの耳

たったひとりの叫びでも、そのうち風にのって広がれば・・・

安倍総理 念願のTV生出演

2015-07-21 07:18:03 | 戦争法案
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昨日、フジTVの番組「みんなのニュース」(15:50~19:00)に安倍晋三内閣総理大臣が生出演し、1時間余りに渡って視聴者に向け『戦争法案』について説明をし、その持論と見解を語った。

念願叶ってやっとTVに出られた安倍総理。フジTV(産経グループ)なら双方が納得か。
さて、主役の安倍総理。最初はちょっとおどおど落ち着かない。そう思えたのは気の所為だろうか。自前のインターネットテレビで好き勝手に頓珍漢なことを言うのとはやはり勝手が違うようである。

早速Net上では当番組についての賛否が入り乱れているようだが、まずはFNNよりYouTubeに公開された全編をご覧いただきたい。(「その1」~「その11」 合計再生時間:1:14:24)

安倍首相、みんなのニュース生出演 国民のギモンSP その1


安倍首相、みんなのニュース生出演 国民のギモンSP その2


安倍首相、みんなのニュース生出演 国民のギモンSP その3


安倍首相、みんなのニュース生出演 国民のギモンSP その4


安倍首相、みんなのニュース生出演 国民のギモンSP その5


安倍首相、みんなのニュース生出演 国民のギモンSP その6


安倍首相、みんなのニュース生出演 国民のギモンSP その7


安倍首相、みんなのニュース生出演 国民のギモンSP その8


安倍首相、みんなのニュース生出演 国民のギモンSP その9


安倍首相、みんなのニュース生出演 国民のギモンSP その10


安倍首相、みんなのニュース生出演 国民のギモンSP その11



皆さん、さまざまなご感想をお持ちになったと思うがいかがなものだろうか。
屁理屈・誤魔化し・言い逃れは当たり前? 彼が「国民」「国民」という度にどうにも白々しく聞こえる。

早速、例の「戸締り論」は動画「その3」から始まる。
いや、だ・か・ら、戸締りは「個別的自衛権」の範疇でしょ! と思うが、安倍はこの例えがお好きなようだ。
そして、「わかりやすく」と言いながら、結局は国会答弁と同じ論調で、言わば従来通り、台本を覚えて口に出しているだけのようで、相変わらず“それは何故なのか”についてその“理由を説明しない”安倍の独善的な話に、おおよそ説得力といったものを感じない。

動画「その4」の街の市民へのインタビューで、国民の無関心さ(フジTVの意図的な演出だろうが)を目にした安倍は、ふとホッとしたような表情を浮かべた。そう、国民が「無関心」であるほどに安倍にとっては都合が良いのである。そして急に饒舌になる安倍なのであった。

番組中、コメンテーター席のやくみつる氏のムスッとイライラした様子が印象的で、そのやくみつる氏が示したマンガには笑った(動画「その4」)。安倍総理を目の前にしての風刺画である。



やくみつる氏:「「支持率」という鉄帷子(てつかたびら)みたいな強固な衣服を纏っていたが、ここに今、大逆風の熱風が吹き荒れている。そうすると鉄帷子だと思っていた服が、ちぎれかけている。これがそのまま進むとどうなるかというと、「裸の総理」になってしまうのではないかと思うわけです。」



そして、やくみつる氏は「子供達は本質を見抜く」と続けた。
そのやくみつる氏のコメントに安倍の表情はかなり訝しげだ。だが安倍は、伊藤アナにどうかと訊かれ、「ひとつの見方だと思いますけど」と苦笑いをし、「そうならないように頑張りたいと思いますね」とかわした。
結果、その場面ではやくみつる氏の先走り感が漂ったが、おそらく視聴者の中には「(やくみつる氏は)よくやった!」という声も多く上がったのではないだろうか。

さて、その安倍の反応に不服なやくみつる氏、引き下がれずに「だって、(そう)なっちゃいますよ」と続ければ、安倍は「支持率だけを大切にするのであれば、そもそもこういう法案を通そうとは思いません」と切り返し、開き直って見せた。
続けて安倍は、「我々、支持率のために政治をやっているのではなくて、支持をいただきながらやるべきことはやっていきたい」言い、過去に批判に晒された法案も今では支持を得ている。支持率のために政治をやるのは人気取りだけの政権だと述べた。
これには恐れ入るが、民意無視の姿勢を自ら認めたようなもので、支持されない法案や政策、支持されない政権はそもそも国を治める政府のあり方としては失格だ。もっとも、そうした自覚は無いのだろうが。

で、またぞろ「砂川裁判」を持ち出し、依然として「傍論」部分を引き合いに、さもそれが正当な根拠であるかのように安倍は語る(動画「その5」)。知らない者はおそらくそのまま鵜呑みにして騙されてしまうだろう。こここそが詐欺師の詐欺師たるやり口だ。しかし「砂川裁判」は国会答弁おいて、そこに法案(集団的自衛権の容認)の構成要件を支えるに足る根拠を見出せないことを横畠法制局長官が既に認めているのだ。
続いて、何ら具体的事例を示さぬまま単に北朝鮮を脅威だと煽り、それを以ってつまるところ、またもや漠然と「安全保障環境」が変ったと話す。



さて、そうかと思えば、次に登場するのは安倍晋三お得意の、今度は模型を使っての「たとえ話」である(さすがテレビ局 w)。だが、まずは母屋(アメリカ)に何故火がついたのか、その理由の説明がなく、何故「はなれ」に燃え移るのかも定かではない。もとより「はなれ」は何に例えているのだろうか。ここにおいてもその例えは実に抽象的で却って首を傾げてしまう。テレビ的にはかなり傑作だが、そうしてたとえにならないたとえ話をまた得意気に語る安倍なのであった。
とにかく何につけ、「日米安保条約」が安倍政府の論法を支える根幹であり、そこを基点とし、またそこに帰結するということが改めて明瞭になる。





続く動画「その6」では、これはテレビ局側が安倍の手前、意向に沿うような形での演出をしたのだろうが、尖閣諸島に関しての沖縄漁民の言葉は、そこだけを切り取ったようで、明らかな“印象操作”に思える。

そして法案成立を急ぐ理由について訪ねられた安倍総理。だが決して本音を語らず、法案のデメリットについてすらも触れようとはしない。それはかの『大阪都構想』の時の橋下と同じだ。また、違憲か合憲かについて、そうではなくこれは政策論だとコメンテーターの森本敏氏が助け舟を出す場面もあったが、それ以前にこの法案は憲法違反の「違憲立法」だ。今更いくら議論を重ねても合憲になりはしない。更に外交に関しての話題にもなったが、安倍の外交はバラマキと媚びであり、対等な外交などとは到底言えない。こうしてみると、やはり一事が万事である。

動画「その8」では「徴兵制」についても言及され、安倍は「憲法で容認されていない」と答えた。また、諸外国で徴兵制が次々に廃止となっていることについて、いわゆる「ハイテク戦」によりもはや兵士は必要ないからだというのだが、一方で国際世論全体が「軍事力に頼らない社会」を模索しそれを目指す動きがあるというのも一方で見逃せない事実でもある。「戦争法案」をみれば、安倍政府の本質が時代遅れな覇権主義思想であることを却って鮮明に映し出しているようで、このまま行けば「徴兵制」だって具現化しかねないという懸念は大いにあると言える。

更に「憲法改正」の話に及んだ際、やくみつる氏は、この法案により、先制攻撃を仕掛けた同盟国に荷担する危険もあるとして、また次のマンガを披露した。



やくみつる氏:「現憲法の腰巻を奪ってしまうことになるのではないのか」

ついて安倍は、ベトナム戦争もイラク戦争も日本は直接火の粉を被らなかった。そのような戦争に荷担することは絶対にあり得ないが、同盟国のアメリカ艦船が攻撃に晒された際には反撃するのだと、どうにも理屈の通らない論理をなおも熱弁するのだった。安倍の論調はかくして本来の意味での「必然性」や「蓋然性」といったことにおおよそ無縁であるように思える。

この「特番」は討論番組ではなく、コメンテーターの自由な反論は許されてはいない。故に終始スタジオは冷ややかだった。
折りしも当フジTVでは「FNN世論調査」の結果を発表したばかりである。それを前提とすれば、安倍のここぞと語る持論にどこか酷くズレた印象を受けるのは否めない。どの段階での企画かはわからないが、折角の安倍総理独演会は、当事者にしてみればむしろ逆効果ではなかったのか。
であれば、よくぞやったよフジTV! ではあるけれど、やっとテレビに呼んでもらえた安倍総理。果たしてこれで彼は満足しただろうか。

さて、この話題を取り扱う各種記事はこれをどう評価するのか、それはそれで楽しみである。


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