9月16日に行った森林文化アカデミー学生向けの体験版『森の健康診断』の第2弾を行いました。今回は天気も良く

、5人の方々にご参加頂きました。その内お1人は岐阜工業高等専門学校3年生の学生さんで、専攻科への進級に向けての研究テーマとして、土木の観点から、森林の治水(保水)機能を評価する為、『森の健康診断』を一つの手段として使い研究されている方で、縁あって今回ご参加頂きました。ここで『森の健康診断』で具体的に何を、どうやってやるか、簡単にご説明します。

①調査地の選定
→2万5千分の1の地形図に格子状の線を引きその交点を調査地とします。交点が宅地や道路などだった場合、または広葉樹林帯や崩壊地だった場合は除外しま。その点から約100~200mの間にスギ・ヒノキの人工林があった場合は地図上にその点を落とし調査地とします。(今回は体験版という事で山主さんの了解を得た場所を選んでいる為、交点ではありません。)
②“中心木”を決める。
→地図上で決めた調査地に着いたら、林縁(道際などその森林の淵など)から20m以上離れているか確かめ(林縁付近はその森林の平均的な状態とは異なる為)、その近辺で大体2、3番目に高くて、真っ直ぐな木をその調査地の“中心木”とします。
③下層の植生調査
→“中心木”を中心とした5×5mの方形枠を作り、まずはその斜面の方位と傾斜角を測ります。(今回の場所かなり緩やか傾斜ですが、30°以上だと立っているのがやっと、という場所もあります。キビシ~!

)それから方形枠の中の落葉層・土の腐食層の割合、低木・草の覆っている割合とその種数などを調べます。
④植栽木(スギ・ヒノキ)の混み具合調査
→“中心木”を中心に今度はナント!釣竿とひもを使って半径5.65mの円を描く様に釣竿を振り回します!(釣竿は釣具屋さんで市販されている4m弱の竿)。その円内のスギorヒノキの胸高直径(胸の高さ約1.3mの木の直径)と本数を測ります。そして円内の木の胸高直径の平均を計算し、その平均に近い木と中心木、合わせて2本の木の樹高を測ります。測り方は目測と、木の根元とてっぺんが見える位置から見たそれぞれの角度と斜距離を測り三角関数を使って出す方法です。(これが結構難しい!でも、慣れれば高価な機械に引けをとらない精度が出ます。)
と、ここまでが山での作業。
あとは、④で出た数値から混み具合を示すある指標を計算し、③の下層植生の豊かさと合わせて森の健康度を診断する、という仕組み。
これらを行う道具は、発祥の愛知県矢作川での「誰でもどこでもできる」というコンセプトから釣竿以外すべて100円均一で買い揃えています。
今回の第2弾体験版では、数年前に間伐が行われた、前回と比べれば比較的明るい林。蚊に刺された痒みを抑えながらも皆さん落ち着いて作業して頂きましたが、結果の混み具合は適正を通り越して「間伐し過ぎ?」とも取れる数値が出ました。(つまり木と木の間隔が空き過ぎてスキスキの状態) ん~、樹高計測の精度が悪かったんだろうか?

…これには困惑してしまい、自分の勉強不足を思い知らされました。
ご参加頂いた皆様、有難う御座いました