思想家ハラミッタの面白ブログ

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人は神になる 『サピエンス全史』著者の不穏な警告

2019-01-06 15:00:18 | 思想、哲学、宇宙論


ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。これからの働き方を説く本やアマゾンをめぐる本など、ここ2~3カ月の話題の本を中心に店頭は活況が続いている。そこに大型の新刊がもう一つ加わってきた。前著『サピエンス全史』が世界的ベストセラーになった歴史学者による、続編とも呼べる一冊だ。

■AIが進化したその先は

その本はユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス――テクノロジーとサピエンスの未来』(上下巻、柴田裕之訳、河出書房新社)。2016年刊の前著は人類史を大きな宇宙史の中に位置づけ、認知革命、農業革命、科学革命を軸に解き明かした壮大な歴史書だったが、今度はその先へと重心を移し、サピエンス(人類)の未来に歴史的考察を加えていく野心的な内容だ。前著と同じくすでに米国はじめ各国でベストセラーになっており、話題性は満点。とりわけ人工知能(AI)や生命工学などのテクノロジーがさらに進化を続けた先に現れる未来図を示しており、最先端のビジネスに取り組む人たちの関心を引き付ける。

イスラエルの気鋭の歴史学者の問題意識は、次のように明快だ。「もし私たちが、飢饉と疫病と戦争を本当に抑え込みつつあるなら、何がそれらに替わって、人類が取り組むべき課題のリストの上位を占めることになるのか」。それに対する答えもまた明快だ。「過去の記録や現在の価値観を考えると、不死と幸福と神性を標的とする可能性が高い」。なんと人は神になろうとするというのだ。ホモ・デウスとはまさにデウス(神)になった人類をさすのだ。

■キーワードは人間至上主義とアルゴリズム

こう書くとトンデモ本のようにしか感じられないが、これは本書の出発点にすぎない。そこから始まって考察が加えられるのは人間至上主義(ヒューマニズム)の来し方行く末である。「人間至上主義者の積年の理想を突き詰めていった場合の、論理上必然の結論」が「不死と至福と神性を獲得しようとする試み」だと位置づける。そこから人間と動物の関係を考える第1部、人間至上主義をめぐる様々な考察を繰り広げる第2部を経て、テクノロジーが支配するこれからの未来に、人間至上主義がどのような運命をたどり、変容していくかを探っていく。


1人間至上主義と並ぶ本書のキーワードは、アルゴリズムだ。「計算をし、問題を解決し、決定に至るために利用できる、一連のステップ」のことだが、これは動物や人間が行動を起こす方法でもあり、それはAIでも同じだ。この考えで技術を推し進めていけば、グーグルのアルファ碁が人間の世界チャンピオンを破ったように意識を伴わない知能=アルゴリズムが多くのシステムを支配する可能性は高い。そのとき人間は? そしてアルゴリズムは人間をどう扱うことになるのか。著者は、人間至上主義に取って代わるのは「データ至上主義」という見方を示し、そうならない可能性を、本書で示した未来図を出発点になお考え続けていくことに希望を見いだそうとしている。

短時間で読みこなすのは難しい本だが、未来へのヒントが詰まっていることは確かだ。前著の評判に発売に先立つプロモーションも加わって、「入荷したのは6日。発売3日間の売り上げで先週のトップになった」と、店長の三浦健さんも驚く初速になった。同店では前著も何度もベストセラートップになっており、新著への期待は高まる。














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