畑のつぶやき

畑や田んぼの作物の生育や農作業の報告
農家の暮らしの日記
田畑を取り巻く自然の移ろいの描写
食、農への思い

コオロギ

2010-10-09 17:47:33 | 食、農への思い
10月9日(土) 

しとしと雨は、朝、早くから降り始める。
畑作業ができそうもないので、出荷を手伝う。たまたま、休みの人も多く、野菜も少ない端境期。午前中には、箱詰めも終わる。雨も、午後には強まり、傘をさして移動するにも、袖口や、ズボンも少し濡れるほどに、降ってくる。
夏の間、太陽熱処理をしておいたハウス。定植した、キュウリ、インゲンは、虫の害も少なく、きれいに、元気に育っている。しかし、種まきをした、チョウホウナ、カブ、ホウレンソウ。発芽をして、双葉を出すまでは良かったが、以後、毎日、少しづつ少なくなっている。最初のうちは、いっせいに発芽したわけでもないので、発芽がそろわないな、ぐらいに思っていた。が、どうもおかしいと、膝をつき、地面に顔を付けるようにして(老眼の域に達したので)、よく見てみる。双葉を切り取られた直後の、小さな茎が、かすかに、命水を絞り出すように直立しているのが、目に入る。これから本葉を出し、生育しようと云う前途を無残に断たれた姿。もう再生することはない。
コオロギだ。バッタや、ツユムシの類もいるだろう。この連中は、ハウス内はもちろん、ハウスの周りの草むらに、当たり前にいる連中だ。青虫や夜盗虫などのように、野菜の害虫とは断定できない連中だ。しかし、いわゆる草も含め、生きた植物がない状態のときに、発芽したばかりの、小さな植物の命の狩人にはなれる連中だ。だから、ハウス内では、播種する野菜を育てるときは、おおいな被害をもたらす、そんな害虫になる。
「虫聞き」とは、昔の貴族たちの、優雅な遊びだったそうだ。そして、今も、秋の虫たちのきれいな音色は、多くの人たちを楽しますだろうし、虫たちの音色は、自然の豊かさの、バロメーターでもあるだろう。松虫の(チンチロリン)、轡虫の(ガチャガチャ)、鈴虫の(リーンリーン)、馬追の(スイ―ッチョン)、そして、(コロコロ)は蟋蟀=こおろぎだ。
立場によって、場合によって、こうした虫たちも、害虫になることもある。
ある意味、農業とは、いやな職業でもある。

これから、何人か集まり、しのぶ会だ。
コメント
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