日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

秋の北陸信越縦断ツアー 2014Part3 -真酒亭-

2014-10-25 21:39:03 | 居酒屋
「あら川」一軒限りで完結させるにもやぶさかではなかったところ、あえて余力を残し切り上げたのは、この店に寄りたかったからでもありました。こちらは早春以来となる「真酒亭」を再訪します。北陸の秋といえば、魚よりも酒の方が主役でしょう。その酒を呑むなら、富山ではここが一番と思い立った次第です。
見るからに頑固者の店主が営む店だけに、この店には左党以外のお客が面食らいそうな作法があります。二軒目以降であれば、何を何合呑んできたのか、あと何合呑むつもりかといったことを訊かれるのです。玄関に酩酊お断りの張り紙があることからしても、既に四合、五合呑んだお客は断られることもあるのでしょう。しかし、これはおいしく呑める適量を、最善の順序で提供しようとする矜恃の産物であり、少なくとも自分にとっては何の違和感もありません。現に、後から入ってきた常連の二人組は、席に着くなり二人で四合分と注文しました。
郷に入りては郷に従えの格言通り、曙、三笑楽、風の盆を合わせて二合半ほど呑んできたと有り体に伝え、富山の酒をあと一合半と所望すると、まず富美菊、次いで成政、最後に黒部峡の順で半合ずつ供されました。肴は帆立の紐を炊いた突き出しと、サス、フクラギの二点盛りです。「あら川」の豪勢な刺盛りに比べれば、当然ながらささやかなものとはいえ、しみじみ酒を汲むにはこの方がむしろ合っています。
「あら川」の活気に満ちた雰囲気を「ハレ」とするなら、この店の雰囲気はは紛れもなく「ケ」に属するものでしょう。片や繁華街の目抜き通り、片や少し外れた雑居ビルの二階という立地も好対照です。趣の大きく異なる二軒を訪ね歩いて、富山の居酒屋文化の奥深さを改めて体感した夜でした。

真酒亭
富山市桜町2-6-20 福沢ビル2階
076-441-0399
1700PM-2200PM(月曜他不定休)

富美菊・成政・黒部峡
突き出し
刺身盛合せ
あら汁

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