日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

晩秋の大地を行く - 更科食堂

2015-09-28 12:35:18 | B級グルメ
以前幾春別を訪ねたとき、そば屋に入った記憶があります。その記憶を頼りに市街を走ると、手打そば処の幟が現れたため、本日はこちらで遅い朝食兼昼食をとります。
かつてはこの町に何軒の飲食店があったのでしょうか。炭坑が消え、鉄道が消え、人々が去るにつれて市街も廃れ、今やこの店が数少ない飲食店の一つです。しかし寂れた様子は一切なく、佇まいは実に矍鑠としています。重厚で大柄な木造二階建ての長屋は雪国らしく、凝った意匠の窓周りには木のサッシがはめ込まれ、側面の漆喰壁には縦長の台形を二つ並べた明かり取りの窓がついており、炭坑で栄えた頃には格式のある店だったのかもしれません。
外観に違わず店内の造りも秀逸です。まず意表を突くのが、引き戸をくぐったところが前室になっていることです。壁を台形状に三枚立て、斜めになった左右の扉を開けて店内に入るという造りで、店内から見るとその部分が電話ボックスか何かのように立ち上がっています。年季の入った木製の扉、真鍮の把手、井桁模様で飾った磨りガラスの明かり取りも実に秀逸。これなら客席の造りも推して知るべしというもので、高い格子天井からは古いMOSの店舗によくあるUFO型のランプが下がり、三和土の店内をほどよい明るさで照らします。厨房との間を仕切る小窓には、やはり木のサッシがはめ込まれ、その上には品書きの経木が並ぶなど、炭坑ありし頃から何一つ変わっていないであろう店内には趣があります。
そばとうどんは500円から、四種類ある丼物は500円均一という良心価格。それでいながら安かろう悪かろうではなく、そばは真っ白な更科です。この価格設定ならそばと丼物を両方注文してもよさそうで、実際そうしている地元客もいます。次に三笠を訪ねるときは、是非ともこの店に立ち寄って、そばと丼物を組み合わせてみたいものです。

更科食堂
三笠市幾春別町1-174
01267-6-8323
1100AM-1500PM
火曜定休
大もりそば600円

コメント    この記事についてブログを書く
« 晩秋の大地を行く - 幾春別駅 | トップ | 晩秋の大地を行く - 三笠駅 »

コメントを投稿