日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

真ん中通るは中央線

2012-11-30 19:12:56 | 居酒屋
旅人の宿命として、金曜に深酒できないというものがあります。出発前夜の深酒で寝坊すれば、出遅れと混雑で二重に時間を空費するからで、金曜に外で呑むのは付き合いがあるときとシーズンオフだけです。今回は前者の理由により、飯田橋の「三州屋」で一献傾けます。
飯田橋の東口というやや地味な場所柄、それほどの大店ではないものの、左手にカウンター、右手に八人掛けの細長い卓が二つ、その奥に小上がりが鎮座して、突き当たりの小窓の奥に厨房がのぞくという設えは、まさに三州屋のそれです。分厚い一枚板のカウンターとテーブルはもちんのこと、引戸とサッシにも白木が奢られ、古い建物ながらも塵一つなくきれいに磨き上げられた様は、丈夫に造って長く使うという、現代の日本人が失ってしまった美徳を見事に残しています。割烹着をまとったぶっきらぼうなおばちゃんなど、働く人の振る舞いが楽しく、鳥豆腐、銀むつの二枚看板を中心とした短冊の品書きにも絶大なる信頼感と安心感が。どこへ行っても同じサービスが受けられるという信頼感、安心感を突き詰めるなら、チェーンの居酒屋とて同じこととはいえ、それを古い大衆割烹で体現しているところにこの店の価値があると私は思います。

三州屋 飯田橋店
東京都新宿区下宮比町1-7
03-3267-2465
1130AM-1430PM/1630PM-2230PM(不定休)
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