裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

豆知識・・・なのかどうか

2018年11月19日 06時39分31秒 | サイエンス・ガクジュツ的な
カミオカンデがニュートリノを観測するメカニズムがいまいちよくわからなかったんだけど、ようやく理解できたよ。
みんな、知りたいよね?
あのね、超音速飛行機が音速を超える瞬間、ドップラー効果による衝撃波が発生するじゃん。
動いてる物体から発生する音の波長が進行方向に向けて圧縮されて高音になるのが、ドップラー効果。
さらに超音速で動く物体ともなれば、前方で圧縮されて圧縮されて詰まりに詰まった音の壁を、ついには自身が突き抜けてしまう。
自分が出すすべての音を、自身が突き抜け、背後に追いやってしまうわけだ。
ドカーン!
ここで発生するのが、衝撃波。
さて、こいつを光の波長に置き換えてみる。
高速で飛ぶ物体が出す光もまた、ドップラー効果によって前方に波を圧縮させてる。
具体的に言うと、こちらに向かってくる白い光は青寄りに見え、遠ざかると赤寄りに見えるのだ。
「夜空に輝く一切の銀河は、地球から遠ざかってる!」と、ハッブル(&最近変更されたところによるとルメートルも)が発見し、宇宙が刻一刻と膨張してることが確認されたわけなんだけど(すなわち、それを逆再生すると、宇宙は一点に向かって縮み、ビッグバンの特異点に収斂する)、これは天体の赤方偏移によってわかったことだよ。
えーと、それでですね、カミオカンデなんだった。
要するに、物質が・・・ここではニュートリノって素粒子なんだけど・・・が光速を超えてくれさえすれば、ドップラー効果により、衝撃波的なものが発生してくれるんで、それを観測したい。
観測できれば、「ニュートリノに質量が存在する」って証拠にもなる。
が、この一文にはさまざまな矛盾が含まれてる。
質量を持つものは決して光速には至らない、と特殊相対性理論が言ってるし、そもそも光速はこの世で最速なんだから、そのスピードキングを追い抜くなんてことはあり得ない。
が、水中では違うのだった。
なにしろ、あれほどせっかちな光が、ゆっくりと動いてくださる!
つわけで、鉱山跡の巨大な空間に純粋な水が満たされたわけなんだった。
このデパートほどもある水槽が、カミオカンデね。
さて、ここにニュートリノを突っ込ませる。
水中での光速は、普段の75%。
このスピードなら、追い抜けないこともない。
ところが、どんなものもすり抜けてしまうオバケのような存在が、ニュートリノだ。
何個かを突っ込ませてみても、観測はできない。
が、おびただしい数を突っ込ませれば、どうだろうか?
ニュートリノ自体の観測は難しくても、どれかがまんまんに満たされた水分子とぶつかって、酸素からか水素からか、電子をはじき出してくれる。
この飛び出した電子が、水中ではなぜか光よりも速いらしい。
電子が超光速に至った瞬間に、例のチェレンコフ光ってやつが、つまり超音速における衝撃波のように発生する。
カミオカンデは、この発光を巨大水槽の周囲ぐるりに張り巡らせた増幅器とセンサーで捉える、という装置なのだ。
ニュートリノが押し出す電子から発生するチェレンコフ光・・・
よくこんな小さなサインを感知できるもんだ。
こんなバカげたことを考えて、実際につくっちゃったおなじみの小柴さん(ノーベル賞のおっちゃん)なんだけど、カミオカンデ完成の直後(かつ自身の退任直前)に、383年ぶりなんていうすぐお隣の銀河の超新星爆発にかち合い、ケタ外れのニュートリノが降り注ぐという幸運に恵まれて、そのうちのわずか11個を捕まえることができたんだ。
いやー、実験物理学ってのも面白いもんだね。

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園