裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

コンプライアンス

2013年10月30日 08時55分26秒 | Weblog
と、いうのもですね(下からのつづき)、それは他山の石じゃないと考えるわけですよ。
オレは、陶芸教室のひととしては結構「しでかさない」方でして。
つまり、めったに生徒さんの作品を破損しない、日本中の陶芸教室の中でもたぶん五指に入るくらいのひじょ~に高いアベレージで「壊さない」ひとと自負してるのです。
だけど、ま、一年にいっこほどはやらかすわけですよ、宮本のエラーみたいなもんで。
こないだもついにやらかしまして、すごい作品を。
それは、とある生徒さんが何週間も手塩にかけた作品で、その人物も焼き上がりをたのしみにしてたもの。
ところが、まあ労作にありがちなんだけど、めちゃめちゃ危ういつくりなわけです。
底厚が1ミリほどしかない大きな磁器皿なわけ。
そんなつくりとはつゆ知らず、素焼きをしようと思ってその上に別の作品を重ねたら、くしゃっ、と底が抜けちゃった。
立ちすくんだよ。
そして、オレも人間だもの、一か八かごまかしてみるか、との考えがよぎる。
だけど、すぐにその考えは、ある懸念によってかき消される。
それは、理性や良心や高潔な精神から、というよりも、ごまかしがバレたときにどうなるか、という本能からのもの。
それ(ごまかし)をやったらもうね、破滅的な事態を引き起こしかねない。
誰もこのウソつき先生を、この陶芸教室を信じなくなる。
だからね、素直に事実を話して、誠心誠意に謝るわけですよ。
その正直さは、こう言っちゃ身もフタもないけど、恐怖心の裏返し。
うまく隠し通せればしめしめだけど、バレたときのリスクが大きすぎる。
コンプライアンスってのはね、そういう構造で発展してきたんじゃないかと思いますよ。

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園