ルンルンピアノ

ピアノ教室の子どもたちとの楽しい毎日。。。。。。

684        京都

2007-05-23 00:25:57 | Weblog
※  「哲学の道」 で見かけた味のある看板。
   外人さんも興味津々で近寄っていた。  クリック♪

朝起きるとNがバタバタと忙しく家事をこなしている。
(もうルンルンには任せていられません) と背中に書いてあるようで、ちょっとすまない気分になった。
パンを食べているとリビングのドアの向こうでバサバサと音がする。
Nが開けてみると源さんだった。
いつの間にか和室から廊下に出てグルッと1周してきたようだ。
バサバサしたのは 「ドアを開けてよ」 の意思表示だろう。
パンを食べ終わって顔を洗い2階へ行こうとすると、今度は玄関の上がりがまちでジーッと靴を眺めている。
行動範囲が広くなってきたようで注意しなければならない。

きょうは 「伊藤若冲展」 に行く。
正確に書くと、京都の相国寺承天閣美術館で開かれる 『釈迦三尊像と動植綵絵120年ぶりの再会 開基足利義満600年忌記念 若冲展』
きのう偶然に駅のポスターで知り、急遽出かけることになったのだ。
おとといの日曜日、図書館でたまたま若冲の画集を見ていたのは偶然だった。

阪急電車で 「十三」 から 「烏丸」 まで行き、地下鉄で 「四条」 から 「今出川」 まで乗り継ぎ、そこから徒歩で相国寺へ向かう。
思いのほかキツイ日差しの中、若冲展へ向かうらしき人の群れが目立つ (これは混雑覚悟だな~)

相国寺境内には ‘雁の寺’ として名高い塔頭 『瑞春院』 がある。
ここは 「水琴窟」 でも有名だが、きょうは残念なことに閉まっていた。

承天閣美術館へ着くとキップ売り場の前に列ができている。
平日の昼というのに珍しいことだ。
7,8分並んでキップを買って、建物のまわりをグネグネ歩いてようやく中に入る。
入ってみて (ゲゲッ) となった。
場内は鈴なりの人で、ひと目 (見られんわ、これじゃ・・) 状態。
係りの人の 「絵を前のほうでご覧の方々は立ち止まらずに歩いてくださーい」 の呼びかけにもビクともしない人の波。
仕方なく、人垣のあいだから部分的にのぞきながらサッサと進んでゆく。
「動植綵絵」 の前も相変わらずすごい人だったが、1番楽しみにしていた 「魚群図」 のタコの絵だけはなんとかしっかり見たいと思いガンバル。

「ねえ! タコの足の先のほうに子ダコが絡まっての見える?」
左どなりのNに大声で聞く。
「・・・・見えないで」
「ずーっと左の下のほうだよ。 すごい小っちゃなタコがいるはずやけど」
「・・・・・・・・・・あ、見えた」
「ホント?!  どこどこ?」

Nに体を寄せて左下のほうへ視線をずらすと・・・・想像以上に小っちゃい子ダコが親ダコの足に絡みついているのが遠巻きに見えた。
そばで泳ぐピンク色の鯛もあざやかでイキイキと見える。
水面近くに描かれているちょっとユーモラスなタチウオも印象的だ。

この 「動植綵絵」 は、明治維新後の廃物毀釈で存亡の危機にあった相国寺が、金1万円と引きかえに皇室へ謙譲。
以来、宮内庁三の丸館の所存となるが、今回120年ぶりの里帰りという事になるらしい。
それにしても、ここ最近の若冲人気は驚くべき現象だと思う。

ほとんど見られぬままに建物を出る。
図録と絵はがきを買って相国寺をあとにした。

次に目指すのは 『泉屋博古館 (せんおくはくこかん)』
ここは、きょう出がけに相国寺のアクセスを検索していて偶然知った美術館。
なんでも、住友財閥が運営する美術館で、館内には相当価値の高い美術品が展示されているらしい。
しかも、その素晴らしいコレクションの割には知名度が低く、地元民はともかく、ここを訪ねる観光客はほとんどゼロという状態らしい。
相国寺からはちょっと離れているがバスで向かう事にする。

同志社前から市バスに乗り込むと、車内は中高生でいっぱいだった。
さすがに学生の町だ。
車内で立っていると、前にいた女の子が突然 「ここの席へ座られませんか?」 とニッコリしながら私のほうを振り向いた。
いい子だなとは思ったが、私もまだ譲られる歳でもないと思い、作り笑顔で 「いいです」 と断った。
でもしばらく経つうちに段々シンドクなってきて、「やっぱり座る。 ゴメンね」 と言ってドッカリ腰かけた。
なんのかんの言ってもやっぱり歳なのだ。
「出町柳」  「百万遍」  「京大農学部前」  「銀閣寺道」  「真如堂」  などを経て  「東天王町」 で降りる。

「永観堂」 の看板があがる交差点でウロウロしていると、ピンクのシャツを着た60過ぎぐらいの男性が近づいてきて 「どちらまでいらっしゃいますか?」 と親切気に声をかけてきた。
泉屋博古館という名がとっさに出ずモガモガしていると、「センオクハクコカンですか?」 と理解してくれた。
「私もちょうど今から行くところですから一緒に行きましょう」 と言ってもらってついて行く。
なんでも、3人一緒だと2人が無料、1人が2割引になる券を持っているのだと言う。
「私も貧乏なんで助かりますわ」 と明るく笑っていた。

美術館や付近の解説を聞きながらダラダラ坂を5分ほど登る。
「あそこがそうですわ」
男性が指差した先に ‘泉屋博古館’ と、オシャレな筆体で書かれた小さな看板が見えた。
入り口に立つと、想像していたよりずっと大きく明るい雰囲気の美術館だった。

館内に入り、特別展 ‘住友コレクション 日本の近代陶芸~東西作家の競宴’ の部屋へ入る。
板屋波山、板屋玉蘭、板屋菊男、宮川香山に混じり、野々村仁清の作品も数点あった。
仁清はさすがに素晴らしい (水指?) が、板屋波山の花びんや香炉もそれ以上に魅力的だった。
まるで美しい絵画を見ているような気分になる。
(あとで調べてみると、陶芸家としてはメチャクチャ有名な人物のようだった)

次に隣りの建物で常設展を見る。
ここは中国青銅器の世界。
先ほどまでの部屋とは打って変わって、なんとなくオドロオドロしい雰囲気が漂っている。
ほとんどがお酒を入れたり温めたりする器なのだが、デザインや彫刻がいかにも中国的というか、ほとんどが想像上の動物や妖怪なのだ。
中でも、『虎卣』 というタイトルの、人が虎に食べられているかのような凄まじいデザインの作品が圧巻だった。

ネットでは 「知る人ぞ知る美術館」 と書かれていたが確かにそうかも知れない。
かなり濃い雰囲気の美術館だった。
近辺には有名どころも多いので、京のお寺めぐりとセットで行くのが良いと思う。

美術館を出て 「哲学の道」 へ向かう。
先ほどの男性と会った場所まで引き返しウロウロしていると、今度は40代くらいの女性が現れ、またもや哲学の道まで解説付きの親切な道案内をしてくれる。
この辺の人達はみんなこうなのだろうか?  なんだか不思議。

哲学の道は25,6年ぶりだ。
観光化を嘆く声も多くあまり期待しないで行ったのだが、想像していたよりそんなに悪い印象はなかった。
疎水沿いの小道には小さなサクランボがたわわに実り、白いシャクナゲもハッとするほど美しい。
外人観光客のファミリーやカップルの姿が目立つ。
言葉からするとフランス人が多かったようだ。
1年生ぐらいの少年がちょっと大きい声を出すと、前を歩いている母親が真剣な顔で振り返り少年に注意していたのが印象的だった。
日本のやりたい放題の子ども達、子どもなんだから少々の事はいいでしょう的な親達とはずいぶん違うようだ。
むかし入った栗塚旭さんのお店を見たかったのだが、残念なことにもう無くなっているようだった。

暑さのせいだろうか、銀閣寺参道に差しかかる頃から気分が悪くなってくる。
参道の両脇にはみやげもの店が立ち並び、たくさんの修学旅行生で混みあっていた。
銀閣寺は初めてだったが、気分が悪いのでほとんど死んだように歩いていた。

タクシーで阪急河原町まで戻って電車に乗り込む。
冷房の効いた涼しい車内に入ると、ほどなく体調が戻ってきた。
十三で乗り換えて無事帰宅。

後半はちょっとシンドかったけど充実した1日だった。
それにしても、若冲展はもう少しゆっくり見たかったな・・・


おわり

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9 コメント

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Unknown (綿の国星)
2007-05-23 09:07:41
若王子が栗塚旭さんのお店でしたよね。もうないのですね。光陰矢の如しです。哲学の路から銀閣寺へのコースは好きな散策コースでした。
返信する
Unknown (国の綿星)
2007-05-23 09:08:48
若王子が栗塚旭さんのお店でしたよね。もうないのですか。光陰矢の如しです。
返信する
Unknown (内藤)
2007-05-23 10:09:58
相国寺承天閣美術館、泉屋博古館どちらも知りませんでした。今度、行ってみようと思います。昔(25年前)、知り合いと電車に乗ったら満員状態。入ったら知り合いが次の駅で降りようと言い出して。どうしたの聞いたら「人混みはだめなんだ」と。彼も地方出身なので気持ちはよくわかりました。
返信する
遅きに失して…。 (一酔斎)
2007-05-23 12:14:00
『美術館』での展覧会に行かれる時には、
『お近くの金券ショップ』に行かれる事を
お勧めいたします。

前売りぐらいの値段で買えますし、
人気の展覧会だと切符を買う所から
『大行列』になったりしますので。
返信する
綿の国星さま (ルン)
2007-05-23 13:24:34
栗塚旭さんのお店。
かな~り昔、母に連れられて入りました。
壁に囲まれた喫茶店というのでなく、明るく開放感のある、ちょっと温室のような雰囲気だったと記憶しているのですが・・・もしかして違うかなぁ?

「哲学の路」 という名称も新鮮に感じた記憶があります



返信する
内藤さま (ルン)
2007-05-23 13:43:27
泉屋博古館についてその後色々調べてみたのですが、やはり、結構質の高いコレクションが揃っている美術館のようです。
来訪者が少ないのは、常設の ‘中国青銅器’ への関心の薄さが原因のような気もします。
私もどちらかと言えば興味の薄い分野でしたので・・・
でもやっぱり本当にいいものはいいですね♪

道案内をしてくれた女性のかたが、「この辺りは有名なお寺がかなり揃っていて散策にはおススメですよ」 との事でした。
それにしても京都は広いです。
一生かかっても全部は観きれない奥深さのある土地だと思います。



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一酔斎さま (ルン)
2007-05-23 14:03:24
N共々かなりの 「面倒くさがり屋」 なので、金券ショップへ行くこと事態すでにパスしてしまうことが多いです。
上手に使いこなせば、もっと快適な人生が送れるのかも知れませんが・・・

どちらにしろ、人気の美術展は何かと疲れます
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若冲と若王子 (夢人)
2007-05-23 15:46:37
お疲れ様でした 昨日は暑かったと思いますよ
私が行った時よりだいぶ後ですものねー
京都から帰ってきて 早速 るるぶ近畿8 京都奈良 という本を買いました この本の地図を見ながら お二人の通った道をなぞりました 間違ったところも手に取るようにわかりました 若冲 じゃくちゅうと読むんですか 若王子 哲学の道のスタート地点ですよね これは にゃくおうじと読むんですか なかなか難しいですね
京都 碁盤の目だから地図がなくても歩けそうに思うんですが なかなか難しいものですね この本正確な地図もついています 裏が奈良の地図になっています 切り離せますので 京都や奈良に行く時に便利ですよ
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夢人さま (ルン)
2007-05-24 00:24:45
若王子=にゃくおうじでOKです。
栗塚旭さんという俳優が哲学の道沿いでされていた喫茶店の名前も 「若王子」 と言います。
話しは若干それるのですが、この栗塚旭さん、ちょっと昔 『燃えよ剣』 での土方歳三役が大当たりしたそうです。
なんかすごくカッコ良いとの事なので、夢人さまも機会がありましたらゼヒゼヒご覧になって下さい。


「るるぶ近畿8 京都奈良」 良さそうですね。
今度書店へ行った時に探してみます。
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