Moritareiko2000の美術探訪

美術(絵画、工芸品)と美術館に関する探訪を主体に、
芸術に関する個人的な考えも発信する。

興福寺阿修羅像

2018年08月04日 | 美術館

 

1) 印象


 興福寺国宝館で本像を見た時、空がないと嘆く智恵子を見た。愁いを持ちながらも、きりりと未来を見つめる若い女性を感じた。極彩色の像が、時の作用(色褪せ)で精神性を得て、嘆きと祈りを具現化している。

2) 時代的背景
 仏教は鎮護国家の色合いが濃く、藤原氏に権力があり、興福寺は莫大な費用をかて、準国家的事業として営まれた。

3) 技術・技能的側面
 脱活乾漆像で、この技術は東晋に始まり、7世紀に唐から伝えられた(朝鮮では10世紀に始めての作例)。この技術の特色は、手間と費用が掛かるが、細かい細工が可能な点である。この技法の像の大部分は日本にしか残っていない。
 仏像の和様化に伴い写実主義が完成した奈良時代前期(8世紀)に作られた。

4) 鑑賞
 仏像が女性ということはあり得ないが、本像が光明皇后御願いにより作られ、皇后が深く仏教に帰依されていたことを考えると、仏師が皇后に似させたのではないか。阿修羅がペルシャでは光明の神であったのは、光明皇后の名と一致するのは偶然か。 男との言い訳で、小さな髭を書いたのではないか。
 古色に落ち着いた像は、精神性を帯び、天平のロマンと写実が蘇り、男女の別を超越し、現代女性の憂いを感じさせる。



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1 コメント

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Unknown (omachi)
2018-08-05 17:32:27
歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)

読み通すには一頑張りが必要かも。
読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
ネット小説も面白いです。

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