Moritarei2000の美術探訪

美術(絵画、工芸品)と美術館に関する探訪を主体に、
芸術に関する個人的な考えも発信する。

ブルージュ ピーター・ポーバスの最後の審判とジェラード・デイビットのカンビュセスの審判

2017年05月10日 | 絵画

グリーニング美術館あるPieter Pourbusの最後の審判は有名である。

この絵に関して、図象的に

 北方ルネッサンスでは一般的である魂の重さをはかる大天使ミカエルがいない

 画面下中央の裸の女性が目立ちすぎて、何かの象徴のようである

との疑問を持ったので、また、同じ絵が自由ブルージュ博物館にも展示されているため、美術館に問い合わせをした。

答えは以下であった。

Thank you for your email and interest in our collection.

The work of art is painted by Pieter Pourbus (1523/4-1584), an artist from Gouda, that worked in Bruges from 1543 onwards.

The naked woman in the foreground is not a portrait. Except for Christ in the middle and the saints in the clouds, nobody specific can be identified.

The arch angel Michael is sometimes depicted to weight the souls to decide if they have to go to heaven or hell. In this painting Christ makes this decision himself. It is visualized by his arms pointing to the sky. Pourbus took Michelangelo’s fresco in the Sistine chapel as an example for this painting.

 

 

The painting in the Brugse Vrije is a copy of the painting in the Groeningemuseum. It is displayed in the Brugse Vrije because that is the original location.

 

 

 

With kind regards

 

これによると、ヴァチカンのミケランジェロの最後の審判を参考にしたと書かれている。

 

 

大天使がいないことは同じだが、ずいぶんと印象が異なる。

 

一方、自由ブルージュ博物館の絵は、元々はこの絵の有った場所であるが、今ある絵はグルーニング美術館のコピーで、絵は小さい。

自由ブルージュ博物館の最後の審判の隣にはジェラード・デイビッドのカンビュセスの審判が飾られている。

これも、グルーニング美術館に下に示す本物がある。

 

この2つを比べると、レプリカ(上の絵)の背景が簡略化されているのが分かる。

 


ベルギー ゲント 聖バーフ大聖堂

2017年04月29日 | ベルギー・オランダの美術館

ゲントの聖バーフ大聖堂は、その中にあるヤン・ファン・アイクの絵や真理の説教壇などの美術品でも有名である。

今回、訪問した時は(2016年)残念ながら修復中で全体を見ることはできなかった。この教会は12世紀に建設が始まり16世kに完成したため、ロマネスク様式とゴシック様式の両者だといわれている。3廊式の建物で入り口から主祭壇を望むと、全くのゴシック様式といっても間違いではない。

この聖堂で有名なのはヤン・ファン・アイクの「神秘の子羊」と呼ばれる祭壇画である。残念ながら、本物は修復中でレプリカが飾られている。

残念ながら、レプリカなのに撮影禁止であったため、ウイキペデァの写真を使用する。

北方ルネサンスの傑作のひとつであり、この絵に関してはいろいろな解説がなされているが、詳細は別の機会に譲りたい。

 

デルボー作の説教壇が有名であるが、主祭壇もそれに見劣らない荘厳なものである。

 


ベルギー ブルージュ 公文書館 自由ブルージュ博物館 市庁舎

2017年04月19日 | ベルギー・オランダの美術館

公文書館 自由ブルージュ博物館 市庁舎は隣り合わせのゴシックの建物です。

上の写真が共通の入り口。下の写真の右が市庁舎です。

 

市庁舎は大きなホールで宗教色の少ない絵で装飾されています。

これは!という絵はありませんでした。中央に金色の聖母子像が設置されています。

 

自由ブルージュ博物館の絵の展示も多くありません。

最後の審判と聖バルトロマイの絵が並べて掲げられていました。非常に寓意に富んだ並べ方です。

絵に説明がなかったので、推定ですが15世紀中の絵と思います。空気遠近法の使用、木版の使用、動きの少ない構図、全体にかかる光などからの推定です。

この最後の審判は天使でなく、キリスト自身即ち神が裁いています。また、聖バルトロマイ(ミケランジェロの最後の審判で、皮を持ち神のそばにいる聖人)はユグノー事件を思い起こさせます。カソリックの乙女が新教徒の恋人にカソリックのマークをつけてくれと願うミレイの絵と重なります。

新教と袖を別ったベルギーがこの乙女と重なり、最後審判の中央の乙女(ベルギー)が神に正しさを訴えているように見えます。

この文書だけでは分かりづらいので、いずれ詳しく分析します。現在、ブルージュの美術館の学芸員に問い合わせ中です。

 

 

 

 


イタリアの美術館の珍しい聖母子像、受胎告知、磔刑図

2017年04月18日 | イタリアの美術館

今回の旅行で見つけた珍しい宗教画を紹介してみます。

まず、聖母子像です。

            

聖母子像と言えば 聖母マリアが赤ん坊のキリストを右、左、または中央に抱くのが一般です。

紺と赤の服、髪をベールで包んでいる、光輪等から聖母マリアは明白である。幼子キリストではなく少年キリストが、母を守ている図象である。

聖母マリアのこのように勇ましく意志の強い顔を見たことは有りません。

      

これは、レオナルド・藤田の聖母子像です。すべての悲しみに共感できる母のやさしさ、悲しさが心を打ちます。

 

次は受胎告知です。この図象は、天使が左、聖母マリアが右と決められていると思い込んでいました。

    

イコノロジー的に見ると、全く約束通りです。

 神を表す手と光、精霊を示す鳩

 マリアの青と赤の服、髪を包むヴェール、わきに置かれた聖書、純潔を示すユリ

しかし、マリアが左にいます。

 

次は磔刑図です。

           

ダリの作品です。

 

 

 


フィレンチェの美術館 1

2017年04月10日 | イタリアの美術館

フィレンチェは、ウフィツィ美術館とドウモ(大聖堂)で有名なルネッサンス発祥の地です。

 

ウフィツィ美術館

  混んでいました。前回訪れた時は、空いていて、ユックリ鑑賞できましたが、もう、これは無理な注文なのでしょうね。赤の間がは入れなくなっていました。有名な絵の前は人ごみです。

 

ヴェッキオ宮殿

  ここも、以前と比べると人は多めです。前回は、本当に貸切といった感じでした。今回は、居住区(アパートメント)も開放していました。戦闘の絵が多く写実的なので、好きになれません。

 

パラティーナ美術館

  ここは、空いていました。フィレンチェの繁栄を知ることができる建物です。ここから、ベッキオ橋を渡りウフィツィ美術館まで、屋根付きの専用の道をコジモ一世が作ったそうで、何を考えていることやら。

 

サント スピリト教会

  敬虔な雰囲気があります。

 

サンタ マリア デル かルミネ教会

  本当に教会の壁は絵で埋め尽くされています。偶像崇拝論争は、プロテストの勝ちなんでしょうか。無の要、空間認識など、日本の美意識との議論をしたいところです。

 

フィレンチェは、徒歩で回らないと行けないので、疲れました。

ウフィツィ美術館では、予約をしていたのに、ミーティング ポイントに行っても、他のツアー会社ばかりで、入場券が手に入りませんでした。スタッフの恰幅のいいヒゲのおじさんが、20分もの間、いろいろな入口やツアーコンダクターを探してくれましたが、見つかりません。ツアー会社にも連絡を取ってくれました。でも、だめでした。おじさんが、1時間後の予約を取ってくれました。この間にヴェッキオ宮殿にいけました。ウフィツィ美術館に入場すると、そのおじさんがセキュリティの監督をしていて、にっこり笑ってBuono!と握手をしてくれました。

 

ピザはヤッパリ日本の方が美味しいようです。

 


ミラノの美術館

2017年04月09日 | イタリアの美術館

ミラノには何回も来ているので、滞在は1日としました。

訪問したのは以下の美術館です。

ブレラ絵画館

  前回来た時は、人がほとんどいなかったが、今回は少し賑わっていた。地元のミラノデザイン大学がいろいろな催しをしているためでした。中には、Panasonicと組んで未来の映像芸術の創造もありました。 ただ、1階は展示品も少なく寂しい限りです。

 

スフォルツァ城絵画館

  城には観光客が多いのに、絵画館やピエタ美術館には、人はほとんどいません。ゆっくりと鑑賞できます。絵画館は、内容が少なく、ブレラと合わせれば一流の美術館になれると思います。

 

サンタ マリア デッレ グラツィエ教会

  有名な ダ ビンチ の最後の晩餐です。予約時間より早く着いたら、係員の人が行けと言うので、列に入ったら、入口のところで、止められました。あと15分と、、、。非常に良かったです。

 

サンタンブロージョ聖堂

  入口を間違えて大学に入ってしまいました。可愛らしい女子学生が入口まで連れて行ってくれました。

 

アンブロジーニ絵画館

  ここも空いていて、ユックリ鑑賞できました。

 

 

話はそれますが、ピザの本場と言うので、石窯のある専門店で、ピザのマリゲリータを何回も注文しましたが、日本の方が上でした。もう一度確認します。

 

 


ヴェネチアの美術館

2017年04月08日 | イタリアの美術館

現在、ヨーロッパに来ています。

北方ルネッサンスは一次中断してイタリアの美術館のことを書きます。

ヴェネチアを訪ねました。ここは、ルネッサンスのヴェネチア派を中心に、国際ゴシックから、バラックまでと考えています。今回は、訪問したところの簡単な紹介のみです。

訪問したのは、

  大同信組合 Scuola Grade di San Rocco

  サンタ マリア グロリオーサ デイ フラーリ 教会

  アカデミア美術館

  サンタ マリア デッラ サルーテ教会

  コッレール博物館

  サン マルコ寺院

  ドッカーレ宮殿

  サンテ ジョバンニ エ パオロ教会

  同信組合 Scuola Dalmata San Giorgio degli Schiavoni

 

圧巻で、ヴェネチアの富を感じられた。ヴェネチア派が、色彩にこだわる理由が分かった気がした。

細かいことでは、美学で言われている空間恐怖、図象学的に聖母子のキリストの抱き方の左右の対対象、油彩画とテンペラ画の差などに、独自の考え方が浮かんで来た。

 


ベルギー ブルージュ グルーニング美術館

2017年03月27日 | ベルギー・オランダの美術館

グルーニング美術館は北方ルネサンスの巨匠ヤン・ファン・エイクの作品を中心とした美術館である。

ファン・エイク兄弟は油彩画の技術を完成させたとしても有名である。油彩とキャンバスがなければ

15世紀以降の西洋絵画は存在しないといても過言ではない。技術があって、初めて傑作が生まれるのである。

グルーニング美術館には2つの入り口があり、本来の入り口は少しわかりずらい。

運河に面した入り口

展示作品は大型の絵画、小型の絵画とうまくアレンジしてある。

 

有名なヤン・ファン・エイクの絵はすべてアクリル板で保護されていて光が反射して少し見ずらい。

しかし、北方ルネサンスの特色である、衣服の細かい書き込み、質感、金属への光の反射など、

写真のなった時代の写実主義を堪能できる。

また、入り口にこの絵が飾ってあったが、同じものが自由ブルージュ博物館にも展示されていた。

 

この美術館は観客も少なく、ゆっくりと鑑賞できぜひとも行くべき美術館である。

 


ベルギー ブルージュ メムリンク美術館 ヨハネ施病院

2017年03月26日 | ベルギー・オランダの美術館

ブルージュの駅には朝早くついた。近代的な駅で、古都ブルージュには少し不似合いである。

ここから、聖ヨハネ施病院までは、約2Kmで、十分に歩ける距離である。ブルージュは何回か訪ねていて、

地理が分かっているので、歩くこととした。スマートフォーンに入っているOfflineの地図が役に立つ。

 

聖ヨハネ施病院には、丁度開館時間に到着した。周りには美術館を訪れる人はほとんどいなかった。

私は、当日の一番の観客となった。

 

美術館は昔の病院をそのままに、内部を改装して作品を展示している。

窓を通して入って来る青い光が、当時を思い起こさせる。当時はここに置くのベッドを置いていたのだろう。

 

 

有名なハンス・メムリンクの作品「聖女ウルスラの聖遺物箱」が飾られている。北方ルネサンスの作品として

よく取り上げられるが、実物はかなり小さいものであった。服などの質感は、他の画家に比べると

中世的な印象を受ける。

病院付属の礼拝堂にある「聖ヨハネ祭壇画(聖カタリナの神秘の結婚)」も見逃せない三連祭壇画で、

メムリンクの特色をよく示している。

その他、メムリンク以外の画家の作品もある。

小さな美術館であるが、ぜひ訪問すべき美術館である。

 


北方ルネッサンスを訪ねて(1)

2017年03月25日 | ベルギー・オランダの美術館

今回から北方ルネッサンス、バロックの美術館を巡ります。

北方ルネッサンスはイタリアのルネッサンスとほぼ同時期に現れたもので、

その後の、ルーベンス、レンブラント、フェルメールに続く絵画の黄金期を築いたものです。

北方とは、フランドル地方、低地地方と呼ばれる現在のオランダ、ベルギー地方を指します。

具体的に今回、訪ねたところは、ブルッセル、ブルージュ、ゲント、アントワープ、アムステルダムの美術館です。

更に英国のナショナル・ギャラリーも参考にします。

詳細は次回以降に述べさせていただきます。

 ブルッセル : 王立美術館、マグリット美術館、他

 ブルージュ : ヨハネ施病院、グルーニング美術館

 ゲント  : 大聖堂、ゲント美術館

 アントワルペン : 大聖堂

 アムステルダム ; 国立美術館 レンブラントハウス