日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

訪日観光客の増加とインターネットの普及

2018年02月24日 09時52分02秒 | 日々雑感
 石井国土交通相は1月12日の記者会見で、昨年の訪日外国人旅行者数が前年よりも約2割増の約2869万人となったと発表した。5年連続で過去最高を更新したそうだ。政府がビザの発給要件を緩和したこと、格安航空会社(LCC)を中心に便数が増えたことも理由であろうが、アジア諸国の経済的な発展の影響が一番大きいであろう。

 政府は東京五輪が開催される2020年には訪日客数を4000万人に引き上げる目標を掲げている。石井国交相は会見で、”目標を達成するには幅広い国や地域から旅行客を増加させていくことが必要だ。アジアに加え、欧米豪で訪日需要を掘り起こしたい”と述べたそうだ。

 アジア諸国からの訪日客の多くは、その地の経済発展によるところが大きく、浮かれ気分での訪日と思われるが、欧米からの客は真に日本の良さを味わう目的であろうので、対策も自ずから異なるものとなろう。

 訪日客の増加はSNSの普及によるところも大きい。噂は瞬時に世界中に広がる。これまで、日本人にも見向きもされなかった場所が、外国人の観光スポットになることもある。逆に外国人受けすると身構えていても外れることもあるだろう。SNSの普及は団体客より個人客の増加に繋がると思われる。このまま順調にいけば今年3000万人を突破する可能性が極めて強い。

 訪日外国人客の増加に伴って都市部のホテルの稼働率が上がっているそうだ。2016年の稼働率を都道府県別に見ると、大阪府が最も高く83%で、東京都は79%、愛知県と福岡県が70%、京都府は67%、全国平均が60%なのだそうだ。大都市部の稼働率が高いことは、日本の伝統文化を求める欧米客より、日本のアニメ等のポップカルチャーを求める若者、化粧品等の買い物客、特にアジア圏からの観光客が多いことを示唆している。

 この動向を分析し多くの企業が東京、大阪、京都などを中心にホテルの新増設計画を進め、現在建設ラッシュなのだそうだ。ホテル関係の調査機関の調べでは、2020年には東京や大阪の大都市部では今より客室数が3割近く増えるとみている。京都は36%、大阪は35%、東京は26%増えるとの予想だそうだ。

 みずほ総研は、昨年初には、2020年に全国で3万3000室が不足する、と予想していたが、同年9月には最近のホテル建設ラッシュを加味して推計し直し、不足するのは最大でも4000室と修正したそうだ。

 ホテル建設ラッシュに加え、マンションや空き部屋に有料で旅行客を泊める民泊の運営ルールを定めた「住宅宿泊事業法」(民泊法)が今年6月に施行される。それも含めれば、2020年の宿泊者需要は十分に満たし、余るくらいだという見方もあるそうだ。オリンピック・パラリンピック後には過剰に苦しむという見方さえもあるが、少なくとも、東京五輪までは大都市周辺のホテル業は安泰であろう。

 一方、地方にあって経営に苦しむ日本旅館も多いとのことである。訪日客が増え始めた2014年以降、主なホテルの客室稼働率は70%以上であるのに対し、旅館は30%後半なのだそうだ。この統計に民宿やペンションが含まれているか不明であるが、これらの宿泊施設はもともと日本人を対象としたスキーやリゾート向けであり、訪日観光客には適していない。

 畳敷きに布団の昔ながらの生活も一部の客には好評かも知れないが、万人受けでないのも確かだろう。何かしらの個性、特長を出した旅館自身の変革が必要と言ってしまえばそれまでだが、町興し、村興し等と共通したところがあり、創意工夫と試行錯誤を繰り返すしかないだろう。

 インタネット普及の波に乗り遅れた旅館の情報発信の少なさが原因の一つとの指摘もあるようだが、自ら発する情報よりお客さんが勝手に発するツゥイターやインスタグラムの方が効果がある場合も多いようで、難しい世の中である。

 高齢者の存在価値はそれまでの人生で積み重ねられた経験を生かすことであると言われるが、インタネットに関してはついていくだけで必死であり、それをどう利用するかは全く分からない。2018.02.24(犬賀 大好-419)

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