日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

北朝鮮の体制維持の保証法は?

2018年05月26日 09時52分00秒 | 日々雑感
 米ホワイトハウスは24日、トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長にあてた書簡を公表し、6月12日にシンガポールで予定されていた米朝首脳会談を中止する意向を明らかにした。

 つい先日、北朝鮮の非核化をめぐり、トランプ米大統領が2枚の”交渉カード”を早々と切って、開催に意欲を示していたと思っていたが、中止とは驚きだ。交渉カードとは、米朝首脳会談の中止もちらつかせる北朝鮮に、金正恩体制の保証と、無条件で即時の核放棄を求めるリビア方式を適用しないとの大幅に譲歩する提案だ。

 そもそも、米国の主導する経済圧力に北朝鮮が音を上げ、金委員長がトランプ大統領に話し合いを持ちかけた筈であったが、いつの間にか形勢が逆になっている感であった。この背景には中国の存在があるようだ。金委員長は最近、2回に亘って中国を訪問し、直接習近平主席と会談し、頭を下げ何かしらの約束を取り付けて強気になったようである。

 しかし、今回のトランプ大統領の中止宣言で、金委員長はさぞかし慌てているだろう。トランプ大統領は多くの人の意見を聞かずに個人の思い付きで行動する傾向にあるのに対し、金委員長は緻密な戦略を立てていると思われたが、トランプ大統領をちょっと甘く見ていたのかの知れない。

 北朝鮮にとって、金正恩政権の体制維持が最優先事項であり、そのために核兵器が必要と考えているはずだ。だからこそ、16日に北朝鮮高官が発表した談話では、核開発を放棄した後に欧米が支援する反体制派によって崩壊させられたリビアの悲惨な運命をたどったカダフィ政権に言及し、体制維持の保証を求めているのだ。

 トランプ大統領の最優先事項は中間選挙での勝利である。最近、短期間での非核化ではなく、段階的非核化を容認し始めたようであり、リビア方式の不採用と妥協しているのであろう。しかし、ここに来て、北朝鮮の非核化に向けて中途半端な妥協をすれば、反って人気が落ちると判断したのかも知れない。

 北朝鮮の非核化時期が短期であれ、長期であれ金正恩は体制維持の保証を迫るであろう。トランプ大統領は、体制維持の保証をいかにしてやるかの宿題を課せられた訳だが、そもそも体制維持には国内問題の解決が先であろう。

 米国が出来るのは経済援助位であろう。しかし経済的に国民が豊かになると、外国からの情報が入り、金正恩体制の理不尽さが明らかになり、国内の混乱となる懸念がある。

 経済の発展と民主化は中国に例を見るように、必ずしも一致しないかもしれないが、無関係ではない。徹底した言論統制と指導者の世襲が行なわれているシンガポールが、金正恩が理想とする国家の例かも知れないが、もしこのような国になりたいのであれば、自身の変革が必要であろう。

 同じ独裁者であっても、シンガポールのリー・シェンロン首相には身内を殺すほどの残忍さは無いだろう。北朝鮮国内の非人道政策等に目を瞑ること程度しか、体制の保証を米国は出来ないのではないか。

 しかし、これまでの悪行の歴史を国際的な人権活動家が黙って容認する筈が無い。経済的な支援を受けつつ外国との行き来を禁止する鎖国状態が可能であろうか。

 6月21日の米朝首脳会談は一応中止になったが、両者ともに未だ色気を示しているので、復活するか延期との話になるのではないだろうか。兎も角金正恩が望む体制維持をどのような形でするか、興味津々である。2018.05.23(犬賀 大好-445)

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