日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

トランプ大統領の対北朝鮮戦略の変化は中間選挙のためか

2018年03月17日 09時45分57秒 | 日々雑感
 トランプ米大統領は先日13日、ティラーソン国務長官を更迭すると発表した。米国の外交を統括する国務長官が北朝鮮に対し話し合い路線を重視していたのに対し、トランプ氏は強硬路線を主張し、両者の意見の衝突があったからだとの噂である。

 強硬路線とは、北朝鮮に核放棄を迫り、徹底した経済封鎖や軍事的介入への脅しである。しかし、ここに来て、トランプ氏の対北朝鮮戦略が話し合い路線に変化したようであるが、そうであるならば、ティラーソン氏の更迭がなぜ行われたか理解に苦しむ。

 3月5日に平壌を訪れ金正恩委員長と会談した韓国の鄭義溶国家安保室長ら韓国特使団は、9日米国を訪問し金氏の親書をトランプ大統領に渡した。会談後、鄭氏は、トランプ大統領が金正恩委員長と5月までに米朝首脳会談に応ずる意向を示したと明らかにした。トランプ氏も自身のツイッターで、”金委員長は単なる凍結では無く非核化について言及し、ミサイル試射も中止する”と評価したそうだ。

 そもそもの始まりは、平昌五輪後、韓国特使が北朝鮮を訪れ金正恩委員長と会談した際、”金氏は、北朝鮮に対する軍事的脅威が解消されて体制の安全が保証されれば核保有の理由がない”、と明らかにしたことからだ。軍事的脅威の解消とは、突き詰めれば全世界から軍事力が無くなることであり、あり得ない状況を前提に、極めて当たり前のことを言っているに過ぎない。

 それでもトランプ氏は、将来の米朝対話を経て北朝鮮が核放棄に踏み切ることに期待を示したのだ。北朝鮮の非核化が話し合いで実現されれば、トランプ大統領はノーベル平和賞にも値するだろう。

 これまでのマスコミ報道で知る限り、トランプ大統領の北朝鮮政策は、”北朝鮮が核放棄をしない限り話し合いには一切応じない”、との強硬路線であったが、ここに来て一挙に状況は変わった。

 北朝鮮の核放棄への原因は、これまでの経済制裁が功を奏したとの論調であるが、果たして核放棄の意志は本当にあるのだろうか。識者の意見も様々であるが、疑問視する方が圧倒的に多い。これまでの金正恩の行いを見れば当然である。

 トランプ大統領は、歴代の米国大統領が金正恩に騙されてきたと非難するが、今回の件で騙されないとの確信があるのだろうか。

 金正恩委員長の核放棄する意志は本当だとする意見は、経済制裁による北朝鮮内部崩壊の一歩手前で、背に腹は代えられないからとの論調である。金正恩は米国と対等に交渉するために、一般国民の疲弊を返り見ず、核兵器やミサイル開発を続けてきた。経済制裁により軍人への給与の支払いも出来なくなるまでに追い込まれているとの話であるが、方針変換はあり得るだろうか。

 もし、核兵器廃止となれば、経済制裁解除となり、先進国の経済支援等で一般国民の疲弊は和らぐであろう。しかし一般国民の経済的な余裕は同時に世界の実状を知るようになり、金王国の崩壊へと繋がるであろうが、そこまでの覚悟がなければ方針変更はあり得ない。

 トランプ大統領の心変わりは、中間選挙に向けての人気取りと理解するのが分かり易い。今年11月には米国議会選で下院全議席と上院の1/3議席が改選され、トランプ政権の政策の是非が国民に審判される。米国大統領の任期は4年であるが、大統領任期のちょうど真ん中にあたる時期に選挙が行われるため中間選挙と呼ばれ、事実上の大統領への信任投票になるようだ。現在、大統領支持率は40%以下で、人気はすこぶる悪い。

 3月11日、ペンシルベニア州で下院の補欠選挙があり、共和党が民主党に負けたようだ。同選挙区はトランプ大統領の熱烈な支持層である白人労働者が多いラストベルトの一角の筈だが、トランプ人気の陰りを思わせる。

 トランプ氏の辞書には深慮遠謀との言葉が無いようだ。金正恩の提案にビジネス感覚で即断即決したとなれば、大問題だ。現在米朝会談の中身が、新任のポンペオ国務長官を交えて話し合われているだろうが、事の重大さに気が付き、5月中開催予定が当面延期となるような気がする。2018.03.17(犬賀 大好-425)

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