森田宏幸のブログ

Morita Hiroyukiの自己宣伝のためのblog アニメーション作画・演出・研究 「ぼくらの」監督

佐賀のバリアフリー上映会は成功でした(冒頭に加筆あり)

2010年02月15日 11時45分04秒 | 監督日記
(写真↑ 懐かしい、佐賀、筑紫平野の田んぼ)

森田宏幸です。
今日は2010年2月16日です。
冒頭に加筆します。

 以下の記事ですが、終わりの方の大河内直之先生の発言を、くわしく、正確に書き直しました。 人の発言を紹介する時は、気をつけなければならないと、気になった次第です。

「それでも、自分の体にメスを入れないで済むなら、受け容れるかも知れない、と、明確にお応えになっていた。」

を、
「たとえば眼鏡をかけるとか、帽子をかけるように、簡単に身につけられるものなら試してみたいと思いますが、自分の体にメスを入れなければならないようなことなら、受け容れられないかも知れない、と、明確にお応えになっていた。」

と、直しました。

(加筆終わり)
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森田宏幸です。
今日は2010年2月15日です。

 週末行ってきた、佐賀のバリアフリー上映会とシンポジウムについて書きます。お客さまが、多く見に来てくださって、内容としても成功しました。

 お客さまは、ほとんどが大人の方でした。それもどちらかというと、「猫の恩返し」より「おくりびと」目当てで来られたのではないかと心配になるぐらい、私よりも年上の、人生の先輩方ばかりだったように思います。
 にもかかわらず、客席からは、時々笑い声が聞こえていた。大変ありがたいことでした。
 シンポジウムの質疑応答でも、あるおばさまが、「私もハルと一緒に空を飛んでいました」と、言って下さっていた。私や、活弁士の、佐々木亜希子さんにとって、光栄なことでした。

 ところで、前回の記事で、プロジェクターによる上映だから、画質が劣るだろう、と書いていました。しかし、今回に限っては、そんなことはありませんでした。解像度が高く、画面も明るくて、音量も充分だった。上映ホールの設備次第では、フィルムから極端には見劣りしないことが分かりました。

 そして、上映の後のシンポジウムでは、佐賀大学で教鞭をとる、映画評論家の西村 雄一朗先生の司会によって、とても、充実した話が引き出されて、よかったように思います。
 パネラーは、活弁士の佐々木亜希子さんと、東京大学でバリアフリー分野の技術を研究しておられて、ご自身も全盲でいらっしゃる大河内 直之(おおこうち なおゆき)先生と、政治的なお立場からバリアフリーの文化の支援をしてくださっている、自民党の福岡 資磨(ふくおか たかまろ)氏と、そして私でした。

 その中で、前回の記事で書いたとおり、私は、
「このバリアフリー版に関しては、あとから副音声を加えるという、敢えて面倒な、無理のある、手間のかかる仕事となったことがかえってよかった。新しい表現が生まれる可能性を感じた。今後もそうした仕事を望みたい」
という話をした。
 すると、質疑応答の際に、お客さまの、視覚障害のある男性から、
「それも期待したいが、多少、質が低くても、多くの作品に字幕や副音声がついて欲しい」
 という意見が出た。
 その意見を聞いて、私たちは、シンポジウムが終わったのちの楽屋で、早速議論をした。その中で私は、お客さまの意見をさらに発展させて、活弁士が、原稿なしに、即興で素早く、映画に解説を加えることは出来ないでしょうか?というアイディアを出した。実際、昔の無声映画の活弁は、即興の魅力があった。そして、そもそも、映画制作者の手による副音声に期待する前に、視覚障害者に付き添う家族が、一緒に横にいて映画を見て、今映っているのはこういう絵だ、とか、今こうなった、とか、視覚や聴覚を補ってくれれば、すぐにでも充分に、映画を楽しむことが出来るわけです。ですから、活弁、副音声の基本は、即興にある、という認識で、活弁士の技術を追求していくというアプローチもあるのではないか、もちろん、すぐには難しいかも知れないけれど、もし出来れば、予算も設備も必要とせず、かなり迅速にかつ、魅力のある副音声解説を映画につけられるようになるのではないか、という、楽屋では、そのような結論になった。

 それにしても、質問に手を挙げてくださった障害者の皆さんは、どなたも、簡単な自己紹介と、作品を見た感想を添えた上で、礼儀正しい丁寧な言葉で質問して下さる方ばかりだった。私の方が、恐縮するほどでした。

 上に紹介した大河内 直之先生も、優れた発言をたくさんされていた。「猫の恩返し」のバリアフリー版の制作に立ち会って、いろいろアドバイスを下さった、とても気さくな方なので、私は、今流行っている映画のアバターに絡んだ質問をしたくなった。それは、高度なテクノロジーの力で、目が見えるようになるとしたら、受け容れますか?という、質問です。
 それを聞くと、大河内先生は、たとえば眼鏡をかけるとか、帽子をかけるように、簡単に身につけられるものなら試してみたいが、自分の体にメスを入れなければならないようなことは、受け容れないでしょう、と、明確にお応えになっていた。このやりとりは、面白かった。

 そして、これは余談だけれど、上映会終了後の懇親会で、ほかにも政治家の先生がいらっしゃって、このブログのことを聞かれた。自分が発言するときに、どのような注意が必要か、苦労を負うべきか、というような話題があがった。
 おそらく、ウィキペディアなどで、このブログを知ってのことだと思う。初対面の皆さんは、私がどのような人間か、ネットで調べて、ここに行き着いて、このブログから、私の人物を判断されている。思いもよらない方が、読みに来ることがあると、改めて実感しました。

 今日はここまでです。
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