
S&W・スコフィールドのモデルガンの再仕上げをしました。もう何年も前に始めてずっと放置していたのですが、さすがにそろそろやらないと、と再開。今回はそのレポートです。
このモデルガンは、CAW(クラフトアップルワークス)製で、本当に素晴らしい完成度の傑作です。なのでキチンと仕上げたいなあ、、と思いつつ、分解して、荒で磨いた状態でほったらかしてました。確かもう5年以上は経ってます。

HW素材なので、ここらへんを頑張らないとダメなのですが、リボルバーってシリンダーを磨くのがほんとにメンドクサくてつい放置してたんですね、、。
とはいえメンドクサイとか言ってたら、いつまでたってもできないので(そりゃそうだ)、昨年末に一念発起。「んがっ!」と再開しました。まず全体の研磨からです。ペーパーの番手を400、800、1500、2000、6000、8000と徐々に上げていきます。ちなみに、6000、8000はクレオスのラプロスという布ヤスリです。

この写真で多分1500くらい。この工程は「世界中が今、激動しているというのに、俺、ほんと何やってんだろ、、、」と200回くらい思ってしまう魔の時間です。大体はここで挫折するわけです(当社比)。でも、ほんと何やってんだろ俺、、。
しかし、8000番を終える頃には全体がピカピカになってきて「イイよ、イイよ君、ほんとイイヨ、ウヒヒヒ、、、」とニヤニヤして研磨が止らなくなってきます。ガンマニアはやっぱアブナイと思われても仕方ないなあ、、と自覚してしまう工程でもあります。

で、私、基本的にこういう作業のときはずっとビール飲んでます。ビール飲んで音楽を聴きながら(ミッシェルガンエレファントとか電気グルーヴとかキングブラザーズとかレイジアゲインストマシーンだとか。要するに、アップアップ系)だとエンドレスにやってしまいますね。やっぱアブナイよなあ、、。でも楽しいんですよねこれが。
で、ライトの明かりにキラッと反射してくれると、もう、ね、、。

これまでの苦労を肴に飲むビールはたまらんですなあ、、。
全体の研磨が終わったら、次はブルーイングです。ブルー液という特殊な薬品で染めるわけです。ブルーイングというのは、鉄の表面の錆止めのための処理をいいます。名前の通り青く染まります。詳しくないので適当な解説になるのですが、要するに鉄の表面を酸化させて、つまり先に錆びさせることで赤錆を防ぐ処理なんだそうです。本当は鉄素材のための処理なのですが、このHW素材というのはプラスチックに金属粉を混ぜたものなので、ブルー液に反応してくれるわけです。

プラに金属粉を混ぜた素材、というとなんか金属みたいな印象かもですが、実は強度でいうとプラ以下です。ちょっとしたことですぐ割れたり折れたりします。少し磨くと鉄っぽくなるんですが、実はもろいという、トイガン用としては最適な素材じゃないかなあ、と。
ブルー液を何度か塗り重ねた状態。上の銃身部が塗ったまま、フレームがちょっと磨いたところ。酸化するので、ちょっと表面がザラッとします。これをまた磨いてやるわけです。

目の細いコンパウンドで磨いた状態がこれ。プロの方がやると、ほんとに青く染まるのですが、私のは「青か黒かというと黒かな?でも青く見えないこともない」くらいのレベルです。この辺はもう研磨をどこまでやるのかとかブルー液の塗り方相性など、知識・経験・場数の問題でしょうね。

でもまあ、これくらいならいいか、、と納得満足です。
次に、赤錆の表現を施します。戦車模型でいうところのウェザリングですね。油彩のバーントアンバーに、錆色のピグメントを混ぜて、エナメルシンナーで溶いたものを全体に塗ります。

乾燥後、拭き取ると角にうっすらと錆色が残ります。でもほんとうっすらなので自己満足レベルですねえ、、。
本体の仕上げの目処がついたら次は金属パーツです。これらも、本体のようにとにかく磨いていくわけです。亜鉛製の鋳物のため、平面、エッジはそれなりなのでとにかくその辺をピシッとしていきます。これが400番で磨いたところ。

どんどん番手を上げて、これくらいピカピカにしてやります。

うーん、うっとり、、、。
亜鉛は金属なので、磨けば磨くほどピカピカになっていきます。

カメラと私が写るほどです。そういえば、小学校の頃、歴史の時間で日本の古墳の出土品に「銅鏡」というのがあったって教わりましたよね。子供のときは「銅で鏡?」とピンとこなかったです。でも、こういう作業をしているとそれがよく分かるような気が。平面の金属をとにかくピカピカに磨いたら鏡になるよなあ、、。って、この多大な年月を経た、回りくどい理解の仕方はなんなんだ(笑)。
それはそれとして、金属をピカピカにする面白さはちょっとほかにない感じです。やってみると面白いですよほんと。なんというか、磨けば磨くほど綺麗になる、という「行為」には「魔力」があるように感じます。、、ってわけ分からんですね(笑)。すいません。

でもまあ、アクセサリーの仕上げとか、こういう仕事をやってみたいなあ、と思ってしまうほどの魅力がある作業です。気をつけないとほんと「手段が目的化」してしまうほどです。
金属パーツもブルーイングします。しかし、ブルー液が強すぎたのか、表面が酸化しすぎて、あばた上になってしまい失敗してしまいました。

上で紹介したブルー液は、そもそも鉄用なので、亜鉛にはきつすぎたようです。以前再仕上げした三八式歩兵銃のときは大丈夫だったのですが、メーカーによる亜鉛の材質によるのかなあ?と。質の問題なのか、相性なのか、この辺はもうよく分かりませんね。たまたま、亜鉛用のブルー液が少し残ってたのでそれで染めてみるとまだ綺麗に仕上がりました。
で、大体の仕上げが終わって仮組みをしていたら問題が発生。ハンド(ハンマーに付く部品で、ハンマーを起こす際にシリンダーを回転させるための重要なもの)が根元から折れてしまいました。ショックでかのすけ、であります。
ハンマーのハンド用スプリングが強くて、無理に入れ込もうとしてたらポキッと折れちゃいました。ほんとは、ハンドをハンマーに入れてから、スプリングを差し込めば大丈夫だったようですが、スプリングを外す手間を惜しんだために折れちゃったという。まあ、なんのこっちゃのわけわかめな解説ですが、要するに私が悪い(涙)もちろん、絶版モデルガンなのでパーツの入手は不可能です。うう、、。なんとかして再生するしかないわけです。

ハンドの根元に2ミリの穴をあけ、2ミリのビスをねじ込んで軸の強度を保ちつつ、ハンドの機能を果たせるようになんとかでっち上げました。このパーツは、シリンダーの回転をつかさどる大事な、かつ強度が必要なものなので細心の配慮が必要です。あーだこーだ考えながら、なんとかものにできました。
オリジナルのスプリングでは、機能を果たせない形状になってしまったので、ジャンクパーツのなかから針金状のスプリングをグネグネまげてアレコレして、なんとかスプリングのテンションがパーツにかかるようにでっち上げます。

いやー、結果的に何とかなったのでよかったですけど、参りましたね。でも、モデルガンって、こういうところでジタバタするのも醍醐味の一つといえばひとつなんですけどね。
しかし、でっち上げたスプリングをフレームに収めるために、フレームの一部を削り取らないとあかんようになってしまいました(白い矢印の部分)。

表面仕上げをした時点で、私のスコフィールドはジャンク扱いなのですが、これでさらにジャンクの、ジャンクジャンク(なんだそら)になってしまったという、、。でも、機能的にはオリジナルよりもキチンと動いてくれるようになったような、、。
というわけで、紆余曲折はありましたが、なんとかもうちょっとで完成するところまで来ました。

しかし実は、もう完成はしてるんですね(なんやねん)。でも、一回で全部紹介するのはちょっと長すぎる(この時点まででもかなり長かったですね。すいません)ので2回に分けようかな、と。
次は「完成編」として紹介しようと思います。とはいえ、次のブログは別のネタにして、次々回くらいにUPしようかな、と。回りくどいかもですが、よろしくお願いします。
いやー、それにしてもモデルガンってほんとええですねえ、、、。中学、高校生の頃はほんとにはまってて、壊れてもパーツを買うお金もないので、未熟な手練手管を駆使してあれこれ修理しては失敗してました。今回、あれこれやってたらそのころの思い出が舞い戻ってきて、なんか楽しかったですねえ、、。
プラモも絵もそうなんですけど、なんというか、モノ作りって、「自分でどうにかしようとジタバタする」っていうのがキモなのかもしれないなあ、と再確認させてもらったような気がしますねほんと。
というわけでまた。