「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

潺潺と聴けり心音冬日向 池田智惠子

2017-02-18 04:55:34 | 日記
 潺潺は「浅い川などの水がさらさらと流れるさま」。初めて滝誌を手にした時。何と読めない漢字の多い事かと思った中に「虚実潺潺」もあったし、鬨也主宰の名もあった。主宰の早すぎる死から一年になる。作者の心音は健康な音を立てているようだが、冬は日照時間が短く、すぐに暮れてしまう。それだけに昼間の日差しをいっぱいに浴びたいという思いがこもる。ご自分の元気をありがたく思い、置かれた「冬日向」ですね。(博子)

いつもより長き師走の赤信号 佐藤 博

2017-02-17 04:35:21 | 日記
そ んなはずはないが、そんな気がする。師走ならではのセカセカ感。我が店舗はT字路に建っており、このイライラはよく分かる。バイパスができ、車の往来が少なくなったのに無駄に信号が長いのだ。駐在所のお巡りさんに話したら、本署に掛け合ってくれて21秒短くなったと言うが、実感はない。人の時間感覚の曖昧さと師走の忙しさ。「そうそう」と思わず頷いてしまう句である。(博子)

フェルメールの窓より入りし雪蛍 鈴木三山

2017-02-16 05:24:16 | 日記
 詩的な句である。フェルメールの絵の多くは窓が閉じられ、ガラス越しの淡い光りがあたる光景が多いが、「窓辺で手紙を読む女」は窓が開いており、その表情から察すれば、雪蛍の運んでくる雪の予感は、リアルな心情をのせて呼応しているように思うが、美しい句として、深読みはしないほうがいいのかもしれない。(博子)


天界の窓辺にポインセチアかな 平川みどり

2017-02-14 04:21:13 | 日記
 「天界の窓辺」と言われると、天国にもポインセチアを飾ってクリスマスを待つ家族の暮しが見えてくる気がする。ご両親とすごした幼い頃を重ねているのかもしれない。聖樹が飾られ、サンタクロース宛てに手紙を書いている自分の姿など思っているのだろうか。「かな」の余韻にそんな連想がよぎった。(博子)

大嚔とび出しさうな目玉かな 村上幸次

2017-02-13 05:00:00 | 日記
 思わず「えっ?」と声が出てしまった。くしゃみをする時は必ず目を閉じる。無意識にしていたことが俄然気になる。調べてみると<クシャミは強烈な勢いでゴミを外にだそうとする事で起き、その時速は300㎞で胚からの圧力は相当なもの。その時、口と繋がっている鼻と目にも負担がかかり、目を開けたままだと眼球脱臼を起こす>のだそうだ。脳からの指令に従う体。その精密さのなんと想像を絶することか・・・。「とび出しさうな目玉」は、ハクショーーーンの豪快さが存分です。(博子)