「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

青鷹仙台平の袴かな 菅原鬨也 「滝」11月号<飛沫抄>

2012-11-19 05:59:19 | 日記
 「仙台平」は代々仙台藩主の庇護のもとに郷土産業振興の
ため、法被、袴、能装束などに用いられ賞賛されてきた優美な
絹織物。現在では袴などの需要は少なくお財布や名刺入れな
どに活用されデパートでも気軽に求めることができる。掲句は
清楚かつ悠然と飛ぶ大鷹と、元禄の頃より現在に至るまで守ら
れてきた気品ある「仙台平」を季語の「青鷹」によって共鳴させ
たかったのではないでしょうか。「仙台平の袴が虫に喰われたよ」
と残念そうな作者の声を耳にした事がある。作者の句集「曲炎」
を他誌が「地域性は感じられずむしろ洗練された秀句が多い」
との紹介があったことを思い出し、「仙台藩名産品十句」のよう
に地域の伝統工芸や食文化などの作品を後世に残すことも
大事なことと思いました。(田口啓子)