地理講義   

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121.河岸段丘  新潟県津南町の信濃川と中津川

2013年12月25日 | 地理講義

信濃川と中津川
信濃川右岸の中津川が、津南町に壮大な河岸段丘をつくった。20万年をかけて、大きな隆起で段丘崖ができ、小さな沈降で段丘面ができた。長野県・新潟県県境で信濃川流域が隆起傾向にあることで、河岸段丘ができた。
中津川と信濃川の合流点付近の段丘模式図は下図のとおりである。段丘崖には小さいものもあり、見ただけでは9段の区別は難しい。

河岸段丘

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

津南町の信濃川対岸マウンテン-パークの案内図では、津南町の河岸段丘は、下図のようになる。洪積世のある時期(50万~30万年前)には苗場山の激しい火山活動により溶岩が津南町方向に流れた。一部は壮大な柱状節理として現在も残っているが、大部分は中津川が津南町に運んで扇状地を形成した。そこを信濃川が侵食しながら流れたが、大小の氷河期によって信濃川の流量が減って侵食力が弱まった。信濃川の侵食力の強弱、中津川の砂礫輸送量の変化、十日町盆地の隆起・沈降などにより、段丘面ができたり、段丘崖ができたりしたものである。

ガイド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、なかなか好天には恵まれない土地であり、9段の河岸段丘はなかなか見られない。それでも、geo-park指定をめざす、見事な河岸段丘であることが分かる。信濃川は手前を左方向に流れるが見えない。中津川は右下に流れて信濃川に合流する。段丘1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮中取水口
JRの宮中取水口で信濃川の水を左岸の段丘面につくられた5つの発電j所で、発電される。浅河原調整池を経由し、千手発電所、小千谷発電所、小千谷第2発電所でつくられた電力はJR専用の電力であり、首都圏に送電されてJRのラッシュアワーの電車の運行に使われる。信濃川の水は、午前9時から翌朝7時までは宮中で取水されて各発電所に送られるため、信濃川の水位が著しく低下する。調池・発電所は、信濃川の段丘面を利用している。
1998~2007年に宮中取水口からの最大取水量が毎秒317トンであったにもかかわらず、それを越えて取水発電していたため、信濃川は宮中から小茶谷まで渇水が続いた。過剰取水の発覚後、宮中ダムからは信濃川の生態維持に最低限は必要な水量として、最低でも毎秒7トンの放水がなされるようになった。JRは謝罪の意味で、十日町駅と駅前の整備、十日町駅を通る列車の増発を行った。

発電所 取水

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


信濃川発電所は、JR東日本の所有する千手発電所(最大12万kw)・小千谷発電所(12万kw)・小千谷第2発電所(21万kw)の総称である。調整池は発電用水の安定供給と、水中の砂礫や植物などを除去するために必要であり、いずれも信濃川の段丘面を利用している。発電された電力は首都圏のJRの電車がラッシュアワーに走るために送電される。ラッシュアワーには信濃川を流れる水がほとんどなくなる。信濃川が宮中~小千谷の60kmで枯れるため、ダム建設後、津南を流れる信濃川の生態系に大きな狂いが生じた。
発電開始年は千手発電所は1939年、小千谷発電所は1951年、小千谷第2発電所は1990年である。

信濃川発電所



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