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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

森の宝石オオミドリシジミの復活。あんずの収穫の季節。オオムラサキ初見(妻女山里山通信)

2018-06-23 | アウトドア・ネイチャーフォト
 先日の晴れた日の午前中に、ひょっとしたらオオミドリシジミかという一頭が高速で舞い去るのを見ました。復活したかという期待を持って、後日梅雨晴れの朝に妻女山奥へと撮影に向かいました。2012年から千曲市は。松枯れ病の空t流散布の農薬をネオニコチノイド系のエコワン3フロアブルに変更しました。そして、当ブログを読まれている方はご存知でしょう。4年目の2015年7月には、空中散布した千曲市側の山の昆虫が絶滅しました。
 多方面からの働きかけにより、2016年から中止になりましたが、昨年も大量復活とはなりませんでした。そこで今回のオオミドリシジミの復活です。絶滅から6年、散布中止から3年かかりました。しかし、10数種類いたゼフィルスのすべてが復活したわけではありません。
ネオニコの空中散布のない長野市側は昆虫の天国。千曲市側は死の山(妻女山里山通信):2015年7月の記事です。リンク記事も必読です。虫の次は人間です。

 オオミドリシジミ(大緑小灰蝶:Favonius orientalis)は、チョウ目シジミチョウ科ミドリシジミ亜科に属するチョウ。オスの翅は、青緑に輝き非常に美しい蝶です。メスの翅は灰褐色。幼虫の食樹はブナ科のコナラ・クヌギ・ナラガシワ・カシワ・ミズナラなど。
 朝8時過ぎに以前たくさん見られた場所へ行くと、日当たりの良い小さなギャップにオオミドリシジミの大群がいました。大量のオスが高速で追いかけごっこをしたり円を描いてクルクル回ったりしています。いわゆるテリトリーの占有行動で、縄張り争い。疲れると日当たりの良い葉の上に止まります。シジミチョウの多くは、この時期に羽化して産卵するため、農薬散布をすると簡単に絶滅してしまうのです。同時期に林道脇などの除草もされますが、食草であるイボタノキやコナラやヤマザクラ、カシワの幼木や若木が来られると、大量の卵が死んでしまいます。行政はこういうことにあまりにも無知です。

(左)翅の裏は淡い灰褐色で白い線があり、後翅にはオレンジ色の文様が見えます。(右)羽化してけっこう時間がたった個体かと思われます。

(左)逆光に透ける翅。(右)完全に開張するかなと思ったら、別のオスに体当りされ飛び立ちました。テリトリーの争いは、10時半にはピタッと止みました。6年ぶりに見たオオミドリシジミの群舞は本当に感動的でした。

(左)そこで陣場平へ戻ると、ミズイロオナガシジミを発見。ミズイロオナガシジミ(水色尾長小灰蝶: Antigius attilia)。アゲハチョウ上科シジミチョウ科。翅の表は灰白色で、裏側が薄っすらと青みを帯びる白色。幼虫の食草は、クヌギ、コナラ、ミズナラ、カシワなど。(右)そのすぐ右下に5ミリぐらいの小さな羽虫が。ハエの仲間だろうなと帰って調べると、ニセアシナガキンバエではないかと。アブに近い仲間で、アブラムシを食べる肉食昆虫。たまたまミズイロオナガシジミの近くにいたので目に止まりましたが、普通は見えないほど小さな昆虫です。

 昼は堂平大塚古墳のあるログハウスへ。ちょうど生萱のSさんが来ました。今は亡きKさんが、このログハウスを建てる頃に何度か訪れたそうです。今回は妻女山(斎場山)を案内して欲しいと言われたので下見に来たそうです。ではと拙書を見せると、歴史も書いてあるし地図もあるしこれはいいわ買いますと。平安堂書店を紹介しました。

(左・中)そのSさんが、ログハウス建てる工事中に地中から戸隠鬼女伝説のことを書いた石碑が見つかったけど、まだどこかにあるかなと。探したのですが見当たりませんでした。代わりに見つけたのがこの石碑。判読が困難なのですが、「天宮大穴郷堂平(あめのみやおおなごうどうだいら)」とか「勅令(天皇が発した法的効力のある命令)」とか書いてあるようです。勅令とか、実はとんでもない貴重な石碑かもしれません。今度Kさんの弟さんの許可を得て拓本をとってみたいですね。(右上)小さな実をたくさんつけたヤマウルシ。(右下)結実したクマノミズキ。

 下って妻女山展望台から松代方面の眺め。ずいぶんと緑が濃くなってきました。梅雨の晴れ間で根子岳と四阿山も見えます。用事で松代城近くへ行ったのですが、大勢の観光客が訪れていました。

 温泉の帰りにあんずの里へ。収穫も始まっていますが、まだ完熟にはなっていない木も多く見られました。森のJAの売店で朝採りの大きなあんずが買えます。昨年は焼酎漬けにしましたが、今年は干しあんずを作ろうと思います。ブランデーやウィスキーに漬けたり、昔ながらの紫蘇巻あんずにしたり、タルトやジャムもいいですね。

 限られた時間とシャッターチャンスで満足できるカットを撮影するのは難しいのです。気まぐれな自然が相手ですからね。ということで後日の晴れの日に再び撮影にでかけました。テリトリーの争いは、前回の小さなギャップから周辺の森にまで広がっていました。
 バトルの途中で一休み。けっこう翅が傷んでいます。

 翅の表の色は鱗粉の色ではなく、オオムラサキと同様に構造色なんですが、けっこう乱れています。触覚の縞々と先っぽの灯りがついたようなオレンジがキュート。

 前述したように翅そのものが持つ色ではなく、光の干渉による構造色なので、見る角度によって色が変わります。眼がキュートですね。黒い線は偽瞳孔でしょうか。11時頃に占有行動が終了したので堂平大塚古墳のログハウスへ。ここでまったりとランチ。

(左)スジボソヤマキチョウかヤマキチョウか迷いますが、前翅の尖り具合からスジボソヤマキチョウ(筋細山黄蝶)かと。また翅の黄色が濃いことからオスと同定したのですがどうでしょう。アゲハチョウ上科シロチョウ科ヤマキチョウ属。(右)今季初見の国蝶オオムラサキのオス。なんとカラスの死骸の羽に前日降って染み込んだ雨水を吸っていました。樹液が出ないときは、早朝にしたイノシシの糞を吸うこともあります。塩分が欲しくて撮影している私の指に止まることもあります。

 全く撮影させてくれないクモガタヒョウモンとテングチョウとルリタテハを諦めてイノシシのヌタ場へ。もう大きな個体はいないと思ったのですが、私の手ぐらいの足跡があって驚きました。周りの木に泥が塗りつけられていますが、これを辿っていくと彼らの塒(ねぐら)に辿り着けるかも。

 妻女山展望台へ戻りました。最高気温が29.5度と暑い日ですが湿度が低く不快ではありません。しかし、この気温差に体がついていきません。奥に北アルプスの白馬三山。右手前に神話の山・虫倉山。その左手前に茶臼山。中腹に自然植物園とレッサーパンダで有名な動物園があります。尾根や中腹にも家が見られますが、ここは古代科野国の時代から朝廷の人々や渡来人が住んだ地なのです。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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