映画から自己実現を!

映画を通して 人間性の回復、嫌いな自分からの大脱走、自己実現まで。 命をかけて筆をとります。

『ペイ・フォワード』PART1 ~あなたから世界へ「優しさは無限大」。もらうことと渡すことの意味~

2023-11-19 10:29:51 | 日記

 

『ペイ・フォワード』

~あなたから世界へ。「優しさは無限大」。もらうことと渡すことの意味~

 

 

01.はじめに

 

 

~主な登場人物~

 

トレバー・・・
中学1年生。「ペイ・フォワード」発案者。母子家庭。

アーリーン・・・
トレバーの母。暴力夫を持つ。アルコール依存症。夫に依存。母と絶縁。

シモネット・・・
トレバーの社会科教師。全身やけど痕。虐待児。

クリス・・・
記者。「ペイ・フォワード」の発案者を調査。

リッキー・・・
トレバーの父。DV夫。

アダム・・・
トレバーのクラスメイト。いじめられっ子。

一流弁護士・・・
シドニーからの「ペイ・フォワード」恩恵者

ジェリー・・・
ホームレス。トレバーからの「ペイ・フォワード」恩恵者

グレイス・・・
トレバーの祖母(アーリーンの母)。車上生活者。娘アーリーンからの「ペイ・フォワード」恩恵者

自殺志願者の女性・・・
ジェリーからの「ペイ・フォワード」恩恵者

シドニー・・・
町の不良。グレイスからの「ペイ・フォワード」恩恵者

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~「ペイ・フォワード」の譜系図~

☆トレバー→アーリーン(母)→グレイス(祖母)→シドニー(不良)→一流弁護士→クリス(記者)

☆トレバー→ジェリー(ホームレス)→自殺志願者の女性

☆トレバー→シモネット(先生)

☆トレバー→アダム(友人)

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~《誰かに伝えたい名セリフ》~

トレバー:「すごく難しいことなんだ。周りの人がどういう状況か...もっとよく見る努力をしなきゃ、守ってあげるために。心の声を聞くんだ。本当は世界は...思ったほどクソじゃない。だけど日々の暮らしに慣れ切った人たちは良くない事もなかなか変えられない。だから、あきらめてしまう。でも、あきらめたら...負けなんだ」
1:50:00~1:51:10

背景:善意を「次へ渡す」ムーブメントが広がり称賛されるも、自分は勇気が出ずに次へ渡せなかったと悔やむトレバー。~

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~《あなたに観せたい美しいキャメラシーン》~

☆身なりのいい女性が陸橋から飛び降り自殺しようとしていました。ホームレスのジェリーは自分に何ができるかを必死に考えます。「一緒にコーヒーを。どうか、お願いです。おれを救うために」欄干の上の彼女にオイルで汚れた手を伸ばすシーン☆
1:23:55~1:26:08

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今回の作品の『ペイ・フォワード』とは「先に贈る」という意味です。

いったい何を贈るのでしょうか。

それは「善意」です。「親切」ですね。

1人が3人に親切にする。恩を受けた人はまた他の3人に親切にする。

この作品は「ボランティアの心」の物語であり、他の人に希望を与えていく物語です。

たくさんの人に利益を与えると言う意味では、社会全体のため、一方では自分の利益に還ってくるという自己の利益のためでもあります。

損得勘定ですが、起こった結果としては自他ともにお得なのですね。

世界を幸せにする魔法の法則。

小さな少年が思いついた、世界とつながるお話です。

それでは作品に入って行きましょう。

 

02.高級車をタダで!?

 

カリフォルニアの記者クリスは警察無線を捕らえ、立てこもり現場に突撃取材します。

銃を持って外に待機する警官たち。

犯人が突然、車で突進してきて停めてあったクリスの車に正面衝突。

クリスの車は大破します。

犯人は逃走し、警官もパトカーで追従します。

現場に取り残されたクリスは見るも無惨な自分の愛車の傍らで茫然とします。

 


クリス:「ひどいよ」

通りがかりの男:「廃車だな」

クリス:「鋭い観察だね」

通りがかりの男:「力になろう」


 

彼はクリスにキーを軽快に放り投げて渡します。

 


通りがかりの男:「ジャガーだ」

クリス:「貸してくれるのか?」

通りがかりの男:

「いや、君にやる」

「そうしたいんだ」

クリス:「新車のジャガーをポンと?」

通りがかりの男:「そうとも、君の名刺をくれ」


 

クリスはポケットから名刺を取り出し、男に恐る恐る渡しました。

通りがかりの男はにこやかに平然と笑います。

 


通りがかりの男:「また連絡する」

クリス:「まさか奥さんを殺せとか?」

通りがかりの男:

「いや、心をそそられるが違うよ」

「見知らぬ者からの善意だ」

クリス:

「善意? だってジャガーだぞ」

「新ピカのジャガーを僕に?」

通りがかりの男:「そうだ」

クリス:

「あんた、イカれてる。頭が変だよ」

「ドアを開けたらドカンと爆発か?」

「木っ端みじんになっておさらばか?」

「だれがそんな手に乗るかよ!」


 

03.トレバー・マッキニー少年

シーンはその4ヶ月前の話に移ります。

神経質そうな少年が周りの学生たちを見ながら歩いています。

この12歳の少年はしっかり世界を観察していました。

そんな主人公の紹介シーンなんです。

映画の始まりのシーンというのはたくさんのことが詰まっています。

登場人物のキャラクター、作品の主題、ムード、テンポ、時には結末まで教えてくれます。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の冒頭シーンを覚えていますでしょうか?

チクタクチクタクの音を響かせた時計だらけの部屋から始まって、あのピタゴラスイッチの仕掛けで犬の缶詰を開けるシーン。

科学についての映画、時間についての映画、原因と結果の物語ということが一目で分かります。

主人公の11歳の少年、トレバーはラスベガスという夢と欲望の街に住んでいます。

しかしラスベガスという都市には影があり、華やかな電飾のある明るい場所を少し離れるとホームレス、車上生活、強盗、薬物依存、アルコール依存の巣窟で悪夢のような街でもあります。

トレバーの母のアーリーンはアルコール依存で仕事を2つ掛け持ち、父親は酒を飲むとDVを繰り返す男です。

アーリーンはお酒を断つためアルコール依存の自助の会に参加し、努力していました。

しかしお酒をやめることができず、洗濯機の中、棚の上、照明器具の上にお酒を隠していました。

トレバーは母がお酒を飲んでいるのをちゃんと知っており、そのことが原因で度々喧嘩します。

 

04.新しい先生と新しい世界

 

新学期が始まる学校のようです。

教室の中はガヤガヤと騒がしいです。

教師が掲示物を見るうしろ姿から振り返り、その顔を見た生徒たちは一瞬で沈黙します。

顔中がやけど痕の先生でした。

 


シモネット:

「新しい先生は初めてかね」

「シモネットだ」

「中学1年生にようこそ」

「まさに中間学校」

「この地獄のような橋を渡らないと、あこがれのハイスクール・エリートにはなれない」

「渡り終わるまで何も考えず、息を殺し目を閉じていようと思う者もいるだろう」

「だが言っておく、このクラスではそうはいかない」


 

そこに遅刻してきた生徒が入ってきます。

 


シモネット:

「遅刻だ、遅滞」

「登校第一日目の最初の授業に遅れるとはどういうことだ」

遅刻した生徒:「ヘアがキマらなくて」


 

生徒たちは一声に笑いました。

 


シモネット:

「尊敬の念が足りないのだ」

「私は毎日君たちのために教室に来る」

「だから君たちも私のために来たまえ」

「時間厳守、言い訳は許さない」

「授業は社会科」

「君たちと世界についてだ」

「世界は君たちの周りに存在し、望まずとも容赦なく立ちはだかる」

「本当だ」

「では世界についてみんなで考えてみよう」

「君たちにとって世界は何を指す?」


 

この前まで小学生だった考え込む生徒たち。

 


シモネット:

「どうした?もっと意見を」

「ウンザリする教室か?」

「君たちの家?道路?」

「それよりもっと遠くは?」

「君は?」

女の子:「ショッピングセンター、3キロ先よ」

シモネット:

「別の質問をしよう」

「この町の外で起きてる事を考えることは?」

「ニュースは見る?見ないか?」

「世界の事は考えないか、なぜだ?」

トレバー:「まだ11歳だから」

シモネット:「鋭い、名前は?」

トレバー:「トレバー」

シモネット:

「そう、なぜ世界のことなど考える?」

「世界は何を期待している?」


 

シモネットは世界と関わるとはどういう事かを生徒たちに問います。

 


トレバー:「期待?」

シモネット:

「君にだ」

「世界は君に何を期待してる?」

トレバー:「何も」

シモネット:

「何も?」

「そうとも、彼の言うとおり ’何も’ だ」

「免許も選挙権もない」

「許可なしではトイレもダメ」

「この中1の教室に縛られてる」

「永久にじゃない、いつか君たちは自由になれる」


 

生徒たちは自由という言葉に反応して大喜びします。

一方トレバーは決して自由を信じていません。

周囲の大人を観察して決して自由ではないと考えるからだと思います。

 


シモネット:

「だが何の準備もないまま自由の身になった時、自分の周りの世界が好きになれなかったら?」

「もし世界が’大きな ’失望’ でしかなかったら?」

「嫌いな部分をクルリと変えてしまえ」

「ケツからひっくり返すように」

「汚い言葉は親に内緒だよ」

「それを今日から始めてみよう」

「これが君たちへの課題だ」

黒板の文字:「Think of an idea to change our world - and put it into Action!
(世界を変えるアイデアを考えて、実行に移してください!)」

シモネット:

「特別のテーマだ、これから1年間ずっと続く」

「どうした?何か文句でもあるか?」

女の子A:「それってとても...」

シモネット:「その先は?誰か言葉を続けて」

女の子B:「変よ」

女の子C:「クレイジー」

女の子D:「難しい」

男の子A:「無理」

シモネット:

「無理、難しい...ではこれは?」

「’可能’ これは可能だ」

「可能の王国は一体どこに存在する?」

「それは君たちのここだ」


 

シモネットは頭を指さしました。

 


シモネット:
「君たちならできる」

「不可能を可能に」

「君たち次第だ」

「それとも何もせず可能性を萎縮させるか?」

「 ’萎縮’ 」

「分からない言葉はそこに辞書がある、調べろ」

「そしてこの辞書はいつも持ち歩くように」

「私の授業では言葉を愛することと意味を学ぶ」

「質問は?」

トレバー:

「世界を変えないと落第?」

「そんなことはない」

シモネット:「だが 'C' に泣くぞ」

トレバー:「先生は何かしたの?」

シモネット:

「夜はぐっすり眠りしっかり朝食を食べ、学校へ時間通りに来て君たちに考えさせる」

「では辞書に自分の名前を書いて」


 

ある人は世界を変えるのは難しいから、自分を変えようと言います。

いい考えですが、そこには既に世界は変えられないという妥協があります。

まずは諦めずに世界を変えるという発想に立とうということだと思います。

すると、世界を変えようとするには自分も変わる ことだと気づきます。

それは「世界に関わる、コミットする」ということです。

インターネットが普及し、テレビや新聞という限られた特定の媒体が姿を消そうとしています。

自分からの発信で考えを表明できる通りが70億通りあるということです。

今の時代は拡散の世界。

可能の王国を建設できる下地は整っています。

 

05.母アーリーン

 

少年トレバーが見る世界。

セピア色のフィルムを貼り付けたような周りの景色。

乾いた土地。

トレーラーの廃車。

働かずたむろする若者。

集団のホームレスがドラム缶の焚き火で暖を取っています。

その中でジェリーというホームレスが菓子パンをむさぼり食べていました。

トレバーとジェリーは目を合わせました。

トレバーは彼の貧困の原因に考えを向けました。

母アーリーンはバーで働いています。

青のかつら、下着姿で客に酒を配ります。

客から酒を勧められたり、デートに誘われたりしますが、いつも上手くかわしているようです。

客との軽い会話を交わしチップを受け取ります。

家で独り留守番のトレバーに母から電話が届きます。

 


アーリーン:「ねえ、どうだった?聞いてるの?」

トレバー:「何が?」

アーリーン:「学校の1日目よ」

トレバー:「よかったよ」

アーリーン:「聞こえない、大きな声で」

トレバー:「よかった」

アーリーン:

「帰れなくてごめんね、また残業なの」

「怒ってる?」

「何してるの?」

トレバー:「何も」


 

トレバーが食卓に座ると、隣でジェリーがシリアルコーンを食べていました。

ジェリーはトレバーのお皿にシリアルコーンを入れてミルクをかけて、スプーンを取ってあげます。

何とも不思議で滑稽なシーンです。

 


アーリーン:「スパゲッティは?」

トレバー:

「食べてるよ」

「もう切るよ」


 

息子をいつも気にかけていて、母の愛情が分かるいいシーンですね。

 

06.アルコール依存

 

深夜遅く帰宅したアーリーンはトレバーが寝ているのを確認します。

そっとガレージに行き、床に座って一瞬考えます。

そして洗濯機に隠してあった酒瓶を味わうことなく一気に流し込みました。

アルコール依存というのは本当に恐ろしい病です。

仕事のストレス、疲れ、夫との不和、貧困、未来への不安、過去への後悔。

これらから簡単に逃れる方法は何でしょうか?

一時的でも忘れたい。

自動的に頭に浮かんできてしまう過去、現実、未来への不安。

身も心も持ちません。

アルコールやストリートドラッグはそういった悲惨な生活から逃してくれる甘い罠です。

「回避行動」です。

ガレージには窓ガラスが割れ、ボンネットが開かれたままの壊れた車がありました。

その車の荷台でジェリーは不安そうに眠っていました。

アーリーンはベッドに酒瓶を置いたまま寝ていました。

母の帰りに気づいたトレバーは酒瓶の中身を流しに捨てます。

朝になり、親子の会話です。

 


アーリーン:「それが朝食なの?」


 

トレバーは魚肉ソーセージを食べています。

 


トレバー:「ママは朝食を食べないくせに」

アーリーン:

「食べるわよ」

「卵を焼くわ、一緒に食べる」

トレバー:「吐かない?」

アーリーン:「何のこと?」

トレバー:「分かるだろ?」

アーリーン:「何よ」

トレバー:「酒さ」

アーリーン:「飲んでないわ」


 

ウソを言われたトレバーはその場を離れようとしました。

 


アーリーン:

「トレバー、待って、悪かったわ」

「座って聞いてよ」

トレバー:「嘘つき!」

アーリーン:

「話がしたいの、座って」

「ちゃんと話を」


 

そこに見知らぬ男ジェリーがアーリーンの前に現れました。

 


ジェリー:

「失礼」

「トイレの紙がなくて」

アーリーン:

「誰なの?」

「出てって!早く!」

ジェリー:「すみません」

トレバー:「母さんがシャワーいいって」

アーリーン:「まさか!」

トレバー:「言ったよ」

アーリーン:「知らない人よ」

トレバー:「僕の友達だよ!」

アーリーン:「あんな人が友達?」

トレバー:「課題なんだよ」

アーリーン:「課題って?」

トレバー:「シモネット先生が出したんだ」

アーリーン:「シモネット先生ってだれ?」

トレバー:「新しい先生だよ!」


 

07.母、学校に抗議する

 

アーリーンは早速、苦情を言いにシモネットに会いに行きます。

学校の風景なのですが、至る所に掲示物や生徒の作品、アメリカ全土の地図などがたくさん貼られています。

こういう細かい雰囲気づくりが映画に人の温かみやつながりを感じさせてくれます。

 


アーリーン:「シモネット先生?」

シモネット:「はい、ユージーン・シモネットですが...」


 

アーリーンはシモネットのやけどに驚いた後、今朝の出来事を伝えました。

 


アーリーン:「課題って何?」

シモネット:「何がです?」

アーリーン:「息子がホームレスを家に」

シモネット:

「問題点が2つ」

「何の話なのかとあなたがだれか」

アーリーン:「アーリーン・マッキニー、トレバーの母です」

シモネット:

「トレバー...」

「思慮深く、知的追求心も旺盛、いい生徒だ」

「知的追求心とは...」

アーリーン:「分かります。なぜホームレスを家に?」

シモネット:「さあ」

アーリーン:「ウソ!知ってるでしょう」

シモネット:「息子さんの解釈だ」

アーリーン:「どう解釈したと言うの?」

シモネット:「分かりません、息子さんと話してみてください」

アーリーン:「話したわ」

シモネット:

「そうですか、ではなぜ私に聞きに来たんです?」

「課題は国家機密じゃない」

アーリーン:「だから何なの?」

シモネット:「学年の始めに出す課題です。結果は期待しませんが...」

アーリーン:「できっこないと?」

シモネット:「大事なのは結果より考えることです」

アーリーン:「できもしない課題を出すの?」

シモネット:「そうじゃない、やろうとすることに意義があります」

アーリーン:

「あなたはあの子を知らないわ」

「あなたを信じて失敗したら立ち直れない」


 

これは夫や母親との関係から出た思いなのでしょうか。

 


アーリーン:「あなたなんかすぐクビよ」

シモネット:

「そうはなりません、私は障害者だ」

「州は雇う義務がある」

アーリーン:「顔がひつれてれば何でも許されると思ってるの?」

シモネット:

「文句があるなら書面にしてください」

「意見箱に入れておきますから」

アーリーン:「あきれた、たいした人ね」

シモネット:「婉曲語法に感謝します。褒められた気分だ」


 

 

08.クリス、”次へ渡せ”を追う

 

シーンはまた冒頭のクリスと見知らぬ男との会話になります。

場所は大きな法律事務所または法廷のようです。

その男は一流の弁護士でした。

 


クリス:「車の書類が届いて驚きました」

一流弁護士:「迷惑なのか?」

クリス:「いいえ、ただあなたの指示が何のことか」

一流弁護士:「次へ渡せ(ペイ・フォワード)」

クリス:「なぜ?」

一流弁護士:「車をもらった義務だ」

クリス:「僕が知らん顔して、女でも拾ってメキシコへ逃げたら?」

一流弁護士:「君の自由だ」

クリス:

「どういうことなんです?」

「善意を運ぶ弁護士ですか?」

一流弁護士:「会議があり忙しいんだ」

クリス:

「記事にしたいんです」

「’一流弁護士、新車を他人に’」

「面白い秘話をでっち上げてもいい」

「あなたは頭が変で家は猫だらけとか?」

「待って!話を聞いてください」

「別れた妻は僕への当てつけにレズビアンになりました」

「話してください」


 

 

09.一流弁護士への”ロウソクの火”

 


一流弁護士:

「娘は喘息なんだ」

「ある晩とてもひどい発作が起きた」

「真夜中の救命救急室でいくら待っても診てもらえなかった」


 

シーンは病院の待合室になります。

 


一流弁護士:「吸入器が効かない」


 

看護師は弁護士を無視して隣の負傷した男に言いました。

 


看護師:「「どうなさいました?」

負傷した男:「妹に刺されちまって」

一流弁護士:「娘が先に待ってるんだ」

看護師:「外傷優先です」

一流弁護士:「息ができないんだ」

看護師:「お待ちを」

一流弁護士:「誰か診てくれ、ひどい状態だ」

看護師:「規則なんで座ってください」


 

負傷した男は喘息の娘をじっと観察していました。

 


一流弁護士:「4時間も待ってる、早く医者か酸素吸入の手配をしてくれ」


 

男は立ち上がり、看護師に言います。

 


負傷した男:

「おい、すぐに彼女を助けろ!」

「いいから酸素吸入しろ!」


 

看護師はその場を立ち去ろうとしました。

 


負傷した男:

「待ちなよ、あんたが責任者だろ?」

「今夜の責任者だ」

「分かったか?モタついてねえで娘さんを運んで酸素を吸わせてやれ!」

「もう大丈夫だ」

「さっさとしやがれ!」


 

負傷した男は拳銃を取り出して床に2発放ちました。

男は警察に連行され、代わりに喘息の娘は助けられました。

シーンはクリスとの会話に戻ります。

 


一流弁護士:

「彼に礼を言った」

「すると奇妙な方法で恩を返せというんだ」

「次へ渡せ。別の3人に善い行いをしろと」

クリス:

「人から人へですね」

「世直し協会か何かですか?」

「マザー・テレサの輪とか?ニューエイジっぽい」

「チベット仏教?」

「カルト集団?」

一流弁護士:

「カルトだと?」

「俺の名前を出したら裁判で高くつくぞ」

クリス:「病院にいた男の名前は?」

一流弁護士:「集団結婚式で急いでいるんだ、ははは」


 

 

10.ジェリーの「変化」

 

シーンはアーリーンの家になります。

アーリーンはガレージに人の気配がして、銃を持って行きます。

またジェリーがいました。

ジェリーは壊れた車を修理していました。

ジェリーは「ペイ・フォワード」するため、アーリーンのもとにやって来ました。

ジェリーは車の修理工として雇われて職を得ていました。

 


アーリーン:「なぜ息子があなたと?」

ジェリー:「おれを助け、立ち直らせようと、お金をくれました」

アーリーン:「お金を?」

ジェリー:「はい」

アーリーン:「あの子の貯金よ」

ジェリー:「服と靴を買い、仕事にも就けました」


 

アーリーンは男を観察して、その男のことを理解しようとします。

 


アーリーン:

「仕事は続けられるの?」

「どうやら麻薬の問題があるようね」


 

ジェリーの腕には注射針の痕が複数ありました。

 


ジェリー:

「やめます」

「でも急にどうして?」

「路上生活の経験はおありで?」

アーリーン:「それに近い経験なら」

ジェリー:

「あなたには分からないでしょう、自分がゴミ箱の前に立つまでは」

「初めてゴミ箱をあさり新聞紙で眠る時に、人生を台無しにしたと思い知る」

「そしてある日、救いの手が差し伸べられる」

「それが子供でも俺はすがりつく」

「また路上に戻ればおれは死んでしまう」


 

トレバーの人を観察する力と悩んでいる人への共感する力。

これが素晴らしいのだと思います。

その人自身になって考える力、その環境での生活を想像する力がすごいのだと思います。

 

ジョン・レノンの「イマジン」です。


♫ 想像してごらん 天国なんて無いんだと
ほら、簡単でしょう? ♫

♫ Imagine there's no Heaven
It's easy if you try. ♫


アーリーン:「修理は息子への恩返しね」

ジェリー:「恩を返すんじゃない」

アーリーン:「じゃ何なの?」

ジェリー:

「次へ渡せ」

「ご迷惑でしょう」

「出て行きます」

アーリーン:「次へ渡せって?」


 

パート2へ続く

 

 

 


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