行徳生活日記

「行徳雑学館」作者の日記。

2019年6月30日(日)の日記

2019年06月30日 | 日記

昨夜の酒はけっこう効いたが、今朝は7時半ぐらいには起きる。そして、午前中に昨日の日記を書き、行徳雑学館トップページの湊・水神宮の祭礼レポートを準備。

昼飯時になったので行徳駅前へ。念のために傘を持って出たら、すぐにパラパラッと来て、少ししたら弱くなった、と思ったらまた少し強くなったりと不安定な天気だった。

昼飯は行徳駅すぐ近くのカレー&ハンバーグ メイプル

過去日記を見るとハンバーグよりカレーを食べていることがずっと多い(ハンバーグカレーを食べていることも多いが)。それで今回はハンバーグを食べようと思い、一番オーソドックスなハンバーグ ライス付

久しぶりに味わう。

ところが、今日はショッキングなお知らせがレジのところに貼ってあった。7月12日(金)でカレー&ハンバーグ メイプルは閉店し、8月中旬にお好み焼き メイプルとしてリニューアルオープンするとのこと。

これまでのメイプルがオープンしたのは2001年4月とのこと。その頃だと、行徳駅のまわりはCoCo壱番屋もサイゼリヤ、ガスト(その場所は別のファミレスがあったように思うが)、やよい軒など、カレーやハンバーグで競合するチェーン系の店はほとんどなかった頃だ。でも徐々にそうした店が増えてきた。チェーン系の店は組織力があり人材も豊富で、コストを抑えつつ味を向上させる研究を続けることができるだろうから、やはり個人店が太刀打ちするのは難しいのだろう。それで業態を変えるのではないかと思う。

メイプルはおいしいが、決して群を抜いた特別感があるものというわけではなかった。いわゆる「ふつうにおいしい」店。なので、自分の中でも、ときどき気軽に入って食事をする洋食の店というイメージだったし位置づけだった。

だけど、そうした町の洋食屋的な店は好きなほうだから、やはり消えてしまうのは残念なことだ。

 

夜は家呑みしながら録画した映画を見る。つまみはコンビニで買ってきたウィンナーやピクルスと、家にある柿ピーや海苔・チーズ。

家にあるウィスキーでハイボールを作って飲む。まずはサントリーのトリスクラシックで。そして次はブラックニッカクリアで。

それからポケットボトルをいろいろ置いてあるうちから、サントリーの白州

最後に食事はコンビニの冷製パスタ。

 

見た映画は1956年(昭和31年)の邦画で、小津安二郎監督の「早春」。

描かれた物語も見るが、それにも増して興味深いのが、その時代の世相が現れていること。自分が生まれる前の時代がどんな時代だったか、若い頃は関心などなかったのに、年齢が上がるほど関心が高くなってきている。それで、昔の邦画を見るのが面白いくなってきた。

池部良と淡島千景が演じる夫婦が中心の話。子供は1人いたが幼いうちに赤痢で亡くし、数年経っているという設定。その夫婦の関係は冷え込んでしまうが、最後には再生するという物語。つまりは一度、冬の時代になってしまったが、やがて雪解けになるわけで、それで「早春」というタイトルのようだ。

だけど、物語の季節は早春ではなく、夏の暑い時期。最初のほうの朝の通勤時間帯の場面がまず、目を引く。場所は京浜東北線の蒲田。歩いている通勤者のほとんどが上着を着ていない。そして、ノーネクタイの人間も多い。

駅のホームで電車を待つ乗客の男性は、ほとんんどみんなが上着を着ていない。

その駅ホームの場面だが、中央に池部良、そして池部良と不倫関係になってしまう同じ会社の女性社員役の岸惠子。(1956年だと、OLという言葉はまだ誕生していなくて、BGと言っていたはず。だけど、この映画ではBGという言葉は出てこない。)この場面でも男たちはノー上着・ノーネクタイ。

ノー上着・ノーネクタイは今ならクールビズだが、当時はそんな言葉ない。

自分が生まれる前の時代のノー上着・ノーネクタイのサラリーマンの姿を見て、頭に浮かぶのは「サザエさん」。と言っても日曜日にやっているアニメではない。自分が10代の頃(1970年代)だが、過去に新聞連載された4コマ漫画の「サザエさん」を単行本にしたものが出版されていて、実家にも3冊か4冊あった。その中に、ノー上着・ノーネクタイ運動を取り上げた話があって、波平とマスオがノー上着・ノーネクタイ姿で帰宅するときに、まわりのサラリーマンたちの同じ姿を見てマスオが「ノー上着・ノーネクタイ運動が普及しましたね」と言う場面が出てきた。

それがいつ書かれたものかは分からなかったが、こちらの個人サイトの記事を見ると、「サザエさん」のそのエピソードは映画「早春」と同じ1956年(昭和31年)のもののようだ。やはり、ノーネクタイ・ノー上着運動はその時期のもなのだろう。実際、ネットで軽く探してみても、それぐらいしか情報が見つからないのだが。

今のクールビズは、地球温暖化防止のために二酸化炭素排出量を抑える必要があるので、夏場のエアコン使用で消費されるエネルギーを削減するのが目的。だけど、当時のノー上着・ノーネクタイ運動がどういう理由で行われたのかは、ネットで検索しても情報は見つからない。おそらくは、まだエアコンなど普及していない時代に、夏場の会社員の体力的な負担を軽減するためだったのではないかと思われる。

そしてもうひとつ印象に残ったのは最後のほう。池部良が転勤になって、勤務する窯業会社の兵庫県から岡山県に少し入ったとこにある工場へ行く。その工場の場面だが、煙突から煙がモクモクと立ち上る姿が次々と現れる。

自分などは、1970年代の公害に対して世の中がヒステリックになった時代に10代の多感な時期を過ごしている。その時代には、工場の煙突から立ち上る煙や排水口から川や海へ流される汚水は、まさに悪のシンボルだった。その感覚は未だに残り、この映画で次々現れる煙突からの煙の場面には、思わず嫌悪を抱いてしまった。

だけど、「早春」は1956年(昭和31年)の映画。まだ1970年代的な感覚などが世の中を覆うより、ずっと前の時代の作品だから、こういう描き方も当たり前だったのだろう。